最近、日本の運転免許証からドイツの運転免許証に書き換えを行いました。手続きを始めてから約1カ月で正式な免許証が手元に届き、意外と簡単でしたので、流れを共有したいと思います。
この記事で紹介する内容は、筆者が2024年の7月~8月にかけてドイツのデュッセルドルフで運転免許証の書き換えを行った時の体験を共有するものであり、現地の運転免許・交通規則に関する解説を行うものではありません。
必要な手続きや書類は、居住地や書き換え時期、免許センターの担当官により扱いが異なることがあります。より正確な情報はADAC(ドイツ自動車連盟)や居住地を管轄する免許センター・交通局の情報などをご参照ください。
2024年12月10日追記:ドイツで1万km以上を運転したうえで、「日本人ドライバーが注意すべき点」を9つの観点からまとめてみました。安全運転に役立つ情報も記載してますので、ぜひ併せてご覧ください。

ドイツでの運転に必要なもの

まずは日本の運転免許証を保持している方が、ドイツで自動車を運転する際に必要な条件を確認したいと思います。
滞在期間が6カ月以内の場合
6カ月以内の短期滞在の場合、以下のいずれかを所持していればドイツ国内で運転が可能です。
(1) 日本の運転免許証 + 国際運転免許証
または
(2) 日本の運転免許証 + 免許証のドイツ語翻訳
参照資料:
BMDV – Validity of foreign driving licences in the Federal Republic of Germany
在デュッセルドルフ日本国総領事館 – 車両の運転と運転免許証
上記のとおり、滞在期間が6カ月以内の場合(旅行者や短期出張でドイツに来て運転する場合)は、ドイツの運転免許証を取得する必要はありません。
なお、滞在6カ月以内の場合は上記(2)を選択すれば国際免許証は不要と思われるかもしれませんが、近隣国(フランス、オランダ、ベルギーなど)で車を運転する可能性もあり、これらの国では日本の免許証&国際免許証が必要なので、どちらにしても国際免許証を取得しておくことをおすすめします。
滞在期間が6カ月を超える場合
ドイツでの滞在期間が6カ月を超える場合は、ドイツで自動車を運転するには日本の免許証をドイツの免許証に書き換える必要があります。
なお、EU/EEA加盟国以外で発行された免許証の場合、滞在期間6カ月経過後は原則としてドイツで試験を受けて免許証を取得する必要がありますが、日本の免許証の場合はドイツとの間の条約により、以下で紹介する簡単な手続きでドイツの免許証への書き換えが可能です。
ドイツの免許証への書き換えの流れ

日本の運転免許証をドイツの免許証に書き換える際の流れは、以下のとおりです。繰り返しですが、下記の情報は私がデュッセルドルフで免許書き換えを行った時のものであり、他の地域では異なる場合があります。
以下、順番に解説します。
日本の免許証のドイツ語翻訳を取得
日本の大使館・総領事館で取得する場合
書き換え手続きで使用可能なドイツ語翻訳を入手する方法はいくつかありますが、日本の大使館または総領事館で取得するのがコスト・手間の面で一番優れています。
大使館・総領事館で取得できるのは、正式には「自動車運転免許証抜粋証明」と呼ばれるものです。デュッセルドルフ総領事館のHPによると、申請に必要な書類は次のとおりです。
- パスポート
- 日本の運転免許証
- 自動車運転免許証抜粋証明の申請書
総領事館のHPでは、証明書の申請はEメールまたは郵送で行う前提で記載されていますが、実は現在はオンラインでも申請が可能となっています。私もオンラインで申請し、とてもスムーズでしたので、申請方法をお伝えします。
なお、ドイツに5つある日本の在外公館(ベルリン、デュッセルドルフ、ハンブルク、フランクフルト、ミュンヘン)の全てで、証明書のオンライン申請が可能です。
オンライン申請の仕方
まずは外務省の「オンライン在留届」のHPで利用者IDを取得します。
在留届自体の提出がまだの方は、この機会に上記HPで「オンライン在留届」を提出すれば、利用者IDも同時に発行されます。
すでに大使館や総領事館に訪問または郵送で在留届を提出している方も、利用者IDを取得するためにはオンライン在留届を提出する必要があるようです。
利用者IDを取得したら、「パスポート・証明書のオンライン申請を行う」のページから必要事項を記入し、必要な添付ファイルをアップロードします。具体的にはパスポートと運転免許証のコピーです。

記入内容・アップロードファイルが正しければ「申請」ボタンを押します。そうすると、申請を受け付けたことを知らせるメールが届きます。
なお、証明書発行料はオンラインでの支払い、または証明書受け取り時に現地払いのいずれかを選択できます。オンラインの場合は日本円で2,100円、現地払いの場合は14€でした(私はオンラインで支払いました)。
申請後、証明書が出来るまでは通常4営業日かかると総領事館のHPに記載がありましたが、私の場合はオンライン申請の翌日に完了を知らせるメールが届きました。
早速デュッセルドルフの総領事館へ。

総領事館には、事前にオンラインでアップロードしておいた書類の原本を持参しました。特に問題もなく、すぐに「自動車運転免許証抜粋証明」を受け取ることができました。
ADACで取得する場合
日本の運転免許証のドイツ語翻訳は、ADAC(ドイツ自動車連盟)でも取得することができます。
ただし、料金は大使館・総領事館よりも割高(2024年8月時点で85€)ですし、基本的にドイツ語でやり取りをする必要があります。なので前述のとおり、よほど事情が無い限りは大使館・総領事館で「自動車運転免許証抜粋証明」を入手した方が良いと思います。
なお、免許センターによっては、大使館・総領事館が発行する「自動車運転免許証抜粋証明」では受け付けてくれない場合もあるようなので、その場合はADACで翻訳を取得する必要が出てくると思います(私の周りでは聞いたことがありませんが)。
免許センター/交通局にアポを取る
次に、居住地を管轄する免許センター/交通局(Fahrerlaubnisbehörde /Führerscheinstelle)を訪問するためのアポを取りましょう。
お住いの地域によって異なると思いますが、デュッセルドルフ市の場合はオンラインでアポを取る形式でした。詳しくはご自分が住んでいる市町村のHPなどで確認してください。
以下、デュッセルドルフでのアポの取り方について簡単に紹介します。
まずは以下のページから
“Umschreibung ausländischer Führerschein (Anlage 11 FeV)”を選択し、数量1を入力します。これはドイツの運転免許規則のAppendix 11に記載の国(日本を含む)の免許証を書き換える、という意味です。

次のページに進むと、アポ取得対象の役所としてFahrerlaubnisbehörde(免許センター)が出てくるので、選択します。
そうすると、アポを取れる時間帯が出てくるので、都合の良い日時を選択します。

なお、あまり空きが無いことが多いので、その場合は少し時間を変えて再度トライしてみてください。毎日朝の時間帯に新しい枠がリリースされるようです。
日時を選択して氏名や生年月日、メールアドレスを入力し、送信ボタンを押すと、アポは完了です。

送信後、受付番号とQRコードが記されたメールが届きます。
免許センター/交通局に必要書類を持参して仮免許証をもらう
アポが取れたら、あとは指定日時に免許センター/交通局に出向くだけです。なお、私の場合は以下の書類を持参しました。いずれも原本です。
- パスポート
- 日本の運転免許証
- 自動車運転免許証抜粋証明(ADACのドイツ語翻訳でも可)
- 住民登録票(Meldebescheinigung)
- 証明写真1枚(縦45mm x 横35mm)
証明写真については、私は住民登録をした際にデュッセルドルフ市役所庁舎内にある撮影機で入手しました(日本の証明写真機と同じようなものがあります)。また、ドラッグストア大手のdmでも店舗によっては撮影可能です。
上記の書類を持って、免許センターに行きました。デュッセルドルフの場合は以下の場所です。ドイツの公的機関の例に漏れず、Google Mapのクチコミ評価がやたら低いですw。

入口付近に受付機があるので、QRコードをかざすか受付番号を入力すれば、チェックインができます。

チェックイン後は2階に上がり、電光掲示板に自分の番号の順番が表示されるまで待ちます。
自分の番号が来たら、指定された部屋に入り、名前を伝えて必要書類を渡せば、手続きを進めてくれるはずです。なお、私を担当してくれた人は英語でやり取りが可能だったのでラッキーでしたが、担当者によってはドイツ語だけで通す人もいるみたいなので、可能であれば会社や知り合いのドイツ人などに同席してもらうのがベターだと思います。
担当者が必要書類に問題が無いことを確認後、手数料としてその場で56.4€の支払いを求められました。基本はカード決済です。

支払い後、下記のような仮免許証が発行されました。正式な免許証は約2週間後に郵送で届くようですが、この日から仮免許証で運転して良いとのことでした。

なお、ドイツの免許証に書き換えるに当たり、日本の免許証は免許センターに「回収」される旨の注意書きが大使館・総領事館のHPにありましたが、少なくとも私がデュッセルドルフの免許センターで2024年8月に手続きした時は、日本の免許証は返してもらえました。
ただし、返却に当たって裏面に以下のようなシールが張られました。「ドイツではこの免許証では運転できない」という意味だと思います。

事前に聞いていた情報とは異なっていましたが、ちゃんと日本の免許証が返ってきてよかったです。
正式な免許証が送られてくる
免許センターで仮免許証が発行されてから約2週間後に、正式な免許証が自宅に送られてきました。なんと普通郵便です。

ドイツって銀行のキャッシュカードやクレジットカードも普通郵便でガンガン送られてきますが、そんな大事なものを追跡不可の普通郵便で送るのは止めて欲しいですね…。
何はともあれ、こちらが無事に発行されたドイツの免許証です。

デュッセルドルフの日本総領事館にドイツ語翻訳をオンラインで申請してから、実際の免許証が手元に届くまで、ほぼ1ヵ月でした。一番時間がかかったのは免許センターのアポ取りです(最短で2週間後のアポだったため)。
ただしネット上の情報によると、他の地域では数カ月以上かかっている人もいるようなので、居住地や申請する時期によってかかる時間は大幅に変わるようですね。
ドイツの運転免許証について
免許証の記載事項
私が入手したドイツの免許証の表面には、以下の事項が記載されています。

個人情報なのでモザイクをかけていますが、1.~3.までは氏名と生年月日、出生地が記載されています。
4a.は発行日、4b.は有効期限です。なんとこの免許証は15年間も有効のようですが、15年後は写真とは別人のようになっている可能性もあるので、日本人的には「本当にそれでいいのか?」と思ってしまいます。
左下の9.には、この免許証で運転が可能な車両の種類が書いてあります。基本的には日本の免許証で運転可能な種別に相当する車両が運転可能で、日本で普通自動車免許を持っていれば、ドイツでもほとんどの乗用車(車両総重量3,500kg以下、乗車定員8名まで)が運転可能です。
なお、日本でオートマ限定の免許しか持っていない方は、ドイツの免許証に書き換えた場合でも、オートマ限定の旨が裏面に記載されます。メガネ等の条件も同様です。日本の免許証と違って文字ではなく数字のコードで「免許の条件」が記載されますが、ちゃんと警察官が見たら分かるようになっています。
ドイツの免許証でどの国で運転できるか
ドイツの運転免許証があれば、それだけでEUおよびEEA加盟国で運転が可能です。つまり、ほぼ全てのヨーロッパの国で運転が可能ということです。
参照資料:
Decision of the EU Commission on Equivalences between Certain Categories of Driving Licences
なお、スイスはEUにもEEAにも加盟していませんが、ドイツの免許証で運転可能です(12か月以上居住する場合は現地免許に書き換えが必要)。
ドイツに住んでいると車で他のヨーロッパ国に行くことも結構あると思いますが、ドイツの免許証だけで事足りるというのは魅力的ですね。
しかも有効期限が15年もあるので、日本に帰国した後もヨーロッパに来る度に使えます。
ドイツ運転免許の点数制度
晴れてドイツの免許証を入手しましたが、免許証を維持するためにルールを守って安全運転を心がけたいと思います。
日本と同様、ドイツの運転免許にも交通違反の際に加算される「点数」があり、免停や免許取り消しの処分もあります。また、違反の種類ごとに反則金も課されます。
例えばスピード違反の場合、市街地・郊外ともに速度超過21km/h以上から1点が加算されるようです。
市街地の場合

郊外の場合

違反の種類ごとの点数および反則金の全リストについては、以下をご参照ください。
Das kosten Verkehrsverstöße (PDF)
累積の違反点数が8点になると、免許取り消しになるようなのでご注意ください。
もちろん、日頃からルール遵守・安全運転をしていれば関係のない話だと思います。
まとめ
この記事では、筆者がデュッセルドルフで日本の運転免許証からドイツの免許証への書き換えた際の手続きの流れをご紹介しました。また、ドイツの免許証の主な記載事項や点数制度の概要についてもお伝えしました。
安全運転で楽しいカーライフをお過ごしください。
ドイツでの運転に関しては以下の記事もありますので、併せてご覧ください。
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