猫助です。今日は大手外資系企業でよく使われていて、役立つ英語のフレーズや言い回しについて紹介します。会議でもメールでも両方使えます。
みなさん、仕事で英語を使っていますか?グローバル化が進んでいる昨今、日系・外資を問わず多くのビジネスパーソンが仕事の中で英語を使う機会が増えていると思います。英語力やモチベーションは人それぞれだと思いますが、外国人とミーティングや交渉をしたり、メールでやり取りをする中で、こんな風に思うことはありませんか?
・会議で使う英語のフレーズが思い浮かばない…
・外資に転職したけど英語があまりできない…
・英語の表現がワンパターン…
・ビジネス英語で使えるフレーズを増やしたい…
私も英語が今ほど得意じゃなかったころ(20年ほど前)は、よく歯がゆい思いをすることがありました。
そのような悩みを持つ方に少しでも参考になればと思い、外資系勤務歴15年以上、英語圏に留学・就労経験ありで数多くの外国人上司や同僚と働いてきた私が、シンプルながら活用場面が多い英単語・言い回しを場面別に紹介します。簡単で誰でも今すぐ使えます!
前提
- 複数の大手外資系企業での筆者の勤務経験から、ビジネスの現場で世界各国のリーダー・マネジメント層がよく使用している英語の表現や言い回しを紹介することが目的です。英語のレッスンという趣旨ではなく、あくまで「このような表現・用法がよく使われている」という観察結果を共有するものであり、文法的正確さについて議論するつもりはありません。
- 筆者のスペック:外資系勤務経験15年以上、その全てでレポートラインは外国人上司であり、業務のほぼ全てを英語で実施。英語圏の大学院修士課程修了。詳細プロフィールはこちらをご覧ください。
状況や性質の説明、物事の程度を表す表現8つ
Nature
この単語自体に複数の意味があり、ビジネスでも非常に使用範囲が広いです。ある対象の性質や、その対象がもともと持っている何かを表す際などに使われます。
使用例
- What is the nature of this expense? *特定の費用の内容について質問する場合
- What is the nature of their services? *ある会社のサービス内容について尋ねる場合
- This is a transaction of suspicious nature. *怪しい要素のある取引
- This issue is quite complex by nature.*性質上そもそも複雑な問題
- By nature of this project, we should expect some issues to happen in near future. *プロジェクトの性質上、何らかの問題発生を見込んでおくべき。
How it works
物事がどのように機能するかや進んでいくかに関する表現です。
使用例
- (プロセスの流れなどを説明した後に) This is how it works.
- How it works is that…(実際の流れを説明)
また、疑問形で「それってどんな仕組みなの?」という風に尋ねる際にも使えます。例えば以下のような使い方があります。
使用例
- Person A: Our new system will allow you to significantly reduce manual labor in the accounting process.
- Person B: Sounds amazing but how would that work?
High level
ハイレベル。日本語の感覚だと「レベルが高い」というニュアンスで、実際に英語のコミュニケーションでもそういう意味で使われる場合もありますが、ビジネスでは物事の大枠や概要について言及する場面でよく使われます。「ハイレベルで今後のアクションについて合意する」、「(ざっくりした)ハイレベルのプランを作成する」などです。
使用例
- They agreed on a high-level direction for this project.
- We discussed a high-level summary of future action items.
- Let’s make a high-level plan/solution.
Time sensitive
時間に制約があるものや、一定期限内に完了しなければならないものなどを指す際に使います。
使用例
- It is a time sensitive process/item/action so must be completed with priority.
- This is not really time sensitive so we can prioritize other items for now.
Straightforward
ストレイトフォワード。単純、シンプル、簡単なものを指す際に用いられます。
使用例
- This task is quite straightforward.
- Today’s agenda is pretty straightforward.
- It is a straightforward issue without any complexities.
Stretch
ストレッチ。日本語のイメージに近いですが、ビジネスでは若干背伸びや無理をした目標、または状況を指す際によく使われます。
使用例
- We are working on a stretched target in this quarter.
- He is currently super stretched. *このような状況にはなりたくないですね…
As-is/To-be
コンサル業界などでよく使われます。現状そのままの姿(As-is)および、今後のあるべき姿(To-be)を指す表現です。
使用例
- The “As-is” process has a lot of inefficiencies which will be eliminated after we have implemented a “To-be” process.
- We delivered our products on an “as-is” basis.
Bottom line
ボトムライン。元々は損益計算書の一番下のライン、つまり純利益(損失)を表す言葉ですが、転じて物事の最も重要な部分や結論、絶対カバーすべき内容などを指す際に使われます。ビジネスで使用範囲が広く、とても便利な言葉です。
使用例
- The bottom line is that we achieved a 10% growth in the past quarter.
- The bottom line of our discussion was that we agreed to take necessary actions to resolve the current issues.
Space
そのまんま「スペース」です。もはや日本語として日常用語化しているため、ビジネス英語で使えるのかと思うかもしれませんが、特定のビジネス領域や議論の対象範囲などを指す言葉として、広くゆるく使えます。似たような言葉として”area”もありますが、それの代替というイメージです。大手外資コンサル企業のエグゼクティブ層も、意外と以下のような表現を好んで使っていたのが印象的です。
使用例
- We have many years of experience in the financial advisory space.
- Question: Would you see particular risks in our financial management processes? Answer: No I don’t have any concerns in that space.
個人の考え、認識、判断などに関する6つの表現
Standpoint
考え方や視点を指す言葉で、私が所属していた大手外資コンサルではかなりの頻度で使用されていました。意味や使い方としてはPerspectiveやpoint of viewとほぼ同じ感覚ですが、日本人的にはこちらstandpointのほうが発音しやすく、気軽に使えると思います。「その観点では~」「~の点において」などの意味で使います。
使用例
- We have no concerns on this matter from a compliance standpoint.
- From my standpoint, this is a very simple issue.
Basis
何らかの前提を付ける場合に使います。こちらもとても使用範囲が広く、ビジネスでは活用する場面が多い言葉だと思います。
使用例
- On the basis that we can reduce the cost by 10%, we would be able to achieve a better profit in this fiscal year.
- Company A is having quality issues and we expect their problems to persist. On this basis, I think we will be able to expand our market shares significantly.
- We can complete all the actions by end of this week on the following basis (前提条件を列挙):
Judgment call/Matter of judgment
いわゆる「”決め”の問題」です。特に判断のベースとなるルールや基準が存在するわけではなく、誰かが(通常はマネージャー等の責任者)が主観も交えながら判断しなければならない場合に使います。
使用例
- It is just a matter of judgment.
- Whether we should buy the product A or B is a judgment call.
Aware/Awareness
認識(している)、知っている、存じているなどの意味で使われます。逆に「知らなった」ことを伝える場合に、単に”I don’t know”だと直接すぎる際にも”None (not) that I am aware of”など否定形と組み合わせて使うことで、あまり悪びれなく「知らない」ということを伝えることができます。
使用例
- We should raise our employees’ awareness of the company policies.
- I was not aware of that matter.
- Question: Did you know anything about this problem? Answer: Hmm…not that I am aware of.
Mindset
マインドセット。和製英語化していますが、ビジネス英語でも使う場面は多いです。意味や使われ方は日本語の「マインドセット」とほぼ同じですが、英語ではどのような単語との組み合わせで使われるかについて例を紹介します。
使用例
- The company’s cultures have changed the mindset of employees in a positive way.
- She still maintains a learner mindset even after 5 years with our company.
- I always have a growth mindset.
Mindful
気を配る、気にする、気にかけるなどの意味です。相手に対して「気にしてもらえるとうれしい」というニュアンスを伝えるときに、単に”Please…”と言うよりも丁寧かつスマートです。例えば、海外とのリモート会議では常に時差の問題がありますが、あまりこちらの負担にならないような時間帯に設定してくるとうれしい、というような場合に以下のような表現があります。
使用例
- It would be great if you could be mindful of differences in time zones.
また、ミーティング時間が超過しないように気を付けるべき、という場合にも以下のように使えます。
使用例
- You must be mindful so that the meeting does not over runs.
行動に関する表現5つ
Leverage
レバレッジ。和製英語として日本語会話でも使われており、元の英語の意味も複数あります。一般的には金融業界で「レバレッジをかける」等の意味で用いられることが多いですが、ここでは、大手外資コンサル等でよく使われている「既にある何かを利用する」という使用方法について紹介します。例えば、過去の資料を利用(流用)して新しい新規クライアント向け提案書を作成する、あるいは過去の製品で得られた知見をを活かして新しい製品を売るなどです。
使用例
- We should leverage our past materials to create proposals for new clients.
- We can leverage our experience in product A to sell the new product B.
Manage
マネージ。ビジネスにおいて究極のポジティブワードでありながら良い意味で曖昧さもあり、とても使用範囲が広いです。とりあえずmanageと言っておけば何とかなるし、上司は安心します(一番重要)。
使用例
- I managed to get the work done.
- Let me manage the situation.
- You must manage the conflicting schedule/timelines.
Let’s see
どうなるかは分からないが、とりあえず成り行きを見てみよう、というような場合に使います。日常会話でもよく使いますが、ビジネスでも使用場面は結構あり、意外と便利な言葉です。例えば、新規クライアントにプレゼンをしたものの、実際にクライアントが興味を持ってくれるかどうか不透明なシチュエーションで、以下のような場面での使用が想定されます。
使用例
- Person A: I think we did very well in our presentation to the client today, but not sure if they are interested in our services…
- Person B: I am not sure either. Let’ see…(how it goes/what happens).
Wanted to
基本過ぎて「中学生の英語教科書かよ?」と思うかもしれませんが、さにあらず。単なる”Want to…”ではなく”Wanted to…”と過去形にすることで微妙な丁寧さが生まれ、目上や初見の人とのコミュニケーションでも使えます。どちらかというとアメリカ人が好んで使っているイメージ。”I would like to…”でももちろん良いですが、それだとちょっと硬すぎる場合にもこちらを代わりに使えます。私も対上司、部下、部内、部外と全方位のコミュニケーションでよく使っています。
使用例
- I wanted to set up a meeting with you to discuss this matter.
- I wanted to introduce my team members to you.
Momentum
物事の勢いを表す言葉です。ビジネスにおいては仕事の「勢いをつける」、「流れを維持する」などの文脈で使います。
使用例
- We must keep our momentum going.
- Let us continue this momentum to stay well-positioned in the market.
- We need to gain momentum in proceeding with this project.
まとめ
この記事では、筆者の経験に基づき「大手外資系企業でよく使われている英語のフレーズ・言い回し」を、以下の3つの場面に分けて紹介してきました。
- 状況や性質の説明、物事の程度を表すもの
- 個人の考え、認識、判断などに関するもの
- 行動に関するもの
共有した内容が、英語でのビジネスコミュニケーションに悩んでいる方にとって何らかの参考になれば幸いです。