ドイツのフォルクスワーゲン(VW)本社工場に隣接する、超大型の自動車テーマパーク「アウトシュタット」に親子で訪れたので、魅力と見どころを紹介します。
アウディやポルシェを含むVWグループ各ブランドの最新車から歴史的名車まで無数の展示に加え、高さ48mのガラス張りクルマ格納タワーや、貴重なグッズを取り扱うショップなど、見どころ満載の施設です。
また、フォルクスワーゲンの社員食堂でも提供されているという同社特製のカリーヴルスト(カレー風味ケチャップをかけたソーセージ)も食べることができ、話のネタにもってこいです。子ども用の遊び場もやたら充実しており、クルマ好きのお父さんだけでなく、お子さんも大興奮間違いなしです。
所要時間の目安は駆け足で回って2~3時間、ゆっくり楽しもうとすると一日でも足りないくらいです。
アウトシュタットについて
基本情報
アウトシュタットは、フォルクスワーゲンの企業城下町であるドイツ北部・ヴォルフスブルクにある自動車の総合テーマパークです。フォルクスワーゲン本社工場に隣接する面積28ヘクタール(東京ドーム6個分)という広大な敷地に、2000年に開業しました。
アウトシュタットがユニークなのは、単なる自動車展示・アミューズメント施設に留まらず、VWの新車を購入した顧客のうち希望する人に対して、ここで納車も行っているという点です(ドイツおよび一部の欧州国での購入のみ)。一日平均約500台の新車がアウトシュタットで納車されており、世界最大の納車センターとなっています。
ディーラー店舗ではなくアウトシュタットでの納車を希望する場合、アウトシュタットまでの旅費と施設入場料、さらに隣接する高級ホテル「ザ・リッツカールトン ヴォルフスブルク」の宿泊費用までフォルクスワーゲンが負担してくれるという太っ腹ぶりです。
実際私たちが訪れた際も、納車のためにアウトシュタットに来たと思われる家族連れが、楽しそうに展示を見学している光景をたくさん目にしました。
アウトシュタットはヴォルフスブルクを代表する観光施設であり、国内外から年間約200万人の来場者が訪れています。
- 施設名称:アウトシュタット(Autostadt)
- 住所:Stadtbrücke 38440, Wolfsburg
- 公式HP:https://www.autostadt.de/en/start
- 開館時間: 10:00~18:00(年中無休)
- 入場料(2024年10月時点)
- 大人18€、6歳~17歳は6€、5歳以下無料。
- 夫婦と3人の子供までの家族チケットは35€。
行き方
電車で行く場合
アウトシュタットの最寄り駅があるヴォルフスブルク中央駅(Wolfsburg Hbf)へは、高速鉄道ICEでベルリンから約1時間、フランクフルトから約3時間、ケルンから約4時間です。
アウトシュタットはヴォルフスブルク中央駅から川を挟んだ目の前にあり、駅からは橋を渡って徒歩約10分です。
車で行く場合
車で行く場合は、広い敷地内に有料駐車場が複数あります。初めてだと分かりにくいですが、チケット売場に近いのはPKという案内版が出ている駐車場です。
VWグループ各ブランドのパビリオン
ドイツのエンターテイメント施設にありがちですが、アウトシュタットもやり過ぎレベルな規模の大きさなので、チケット売場で配布している地図を必ず貰っておきましょう。施設の全体像は以下のとおりです。
場内の中心部にラグーン(池)があり、ラグーンの周囲に各ブランドのパビリオン(展示場)や納車のためのカスタマーセンターなどが集まっています。
以下、各ブランドのパビリオンを簡単に紹介します。なお、展示内容は2024年10月時点のものなので、今後変わる可能性があります。
フォルクスワーゲン
まずはVWグループの基幹ブランド、フォルクスワーゲンのパビリオンです。
どのパビリオンでもそうですが、入口ではシュッとした制服に身を包んだスタッフ(なぜか全員女性)が笑顔で出迎えてくれます。
中に入ると、EVのID.7ツアラー(左)とSUVタイロンのハイブリッドモデル(右)が展示されていました。いずれも日本では未発売のモデルです(2024年10月現在)。
その奥には、ドイツ人が大好きなゴルフGTIのクラブスポーツ、しかもGTI50周年記念カラーに塗装されたモデルが鎮座していました。ルーフキャリアまで50周年カラーという徹底ぶりです。
ちなみにパビリオンで展示されている車は、一部を除いて自由にドアを開けて乗り込むことができます。
うちの息子もそうですが、普段は座れない運転席でハンドルを握ってご機嫌な子供達がたくさんいました。
フォルクスワーゲンR
フォルクスワーゲンのハイパフォーマンスグレードである「R」は、独立したパビリオンがありました。
コンビニ一店舗分ぐらいのこじんまりとしたパビリオンで、展示されているのは最新のゴルフRのみという潔さです。
ちなみにゴルフRは日本ではあまり見かけませんが、ドイツではわりと目にします。ドイツはクルマ好きでスピード狂な人が多いですからねw。
レーシングドライバーが練習に使うというドライブシミュレータもありましたが、結構並んでいたので諦めました。
アウディ
続いては、VWグループの稼ぎ頭であるアウディのパビリオンです。キノコのような珍妙なデザインの建物が印象的です。
ちなみに今回見学した6つのパビリオンの中で、ここが一番混雑していました。アウディはプレミアムブランドという位置付けですが、車種によっては一般人でも手が届きそうで、ファミリー向けのクルマも多いので、現実的な選択肢として真剣に検討している家族連れが多いのでしょう。
合計4台が展示されていましたが、全てEVまたはハイブリッドモデルでした。
まずはEVのSQ6 e-tron(日本未発売)です。普通のQ6ではなく、スポーツグレードのSQ6というのがクルマ好きドイツ人客の心を鷲掴みにしてそうです。
こちらはアウディのフラッグシップであるA8のプラグイン・ハイブリッドモデル。日本でも売っているみたいですが、A8自体が日本ではデカすぎて、まず見かけないです。
EVのスポーツカー、RS e-tron GTもありました。鮮烈な赤がいかにも戦闘的ですね。
最後に、これまたEVのSUVでQ4 e-tronの登場です。日本でも売っていますが、ここで展示されているクワトロ(四輪駆動モデル)は未発売だと思います。
アウディのパビリオンは本当に家族連れで賑わっていて、みんな真剣に座席の座り心地や荷室の使い勝手などをチェックしていたのが印象的でした。
ポルシェ
言わずと知れた高級スポーツカーブランド、ポルシェのパビリオンを見ていきましょう。建物はかなり独創的なデザインで、流線形のように緩やかに前傾した屋根が池の上に張り出しています。
ここでは2台だけが展示されていました。1台はEVのタイカンです。ドイツの道路でも、まだあまり見かけません。
もう1台は、これまたEVのマカン4。EV版のマカンは、ドイツでもまだ少ないと思います。
ちなみに他のパビリオンとは異なり、ここでは車のドアを開けて中に乗り込むことは出来ませんでした。まぁポルシェですし、何となく分かる気がしますw。
シュコダ
続いては、シュコダ(Škoda)のパビリオンです。日本では正規輸入されていないのでほとんど知られてないですが、チェコの自動車メーカーでVWグループの一員です。ドイツをはじめ、ヨーロッパでは割とメジャーです。
こちらはアウトバーンでもよく見かけるCセグメントのステーションワゴン、OctaviaのスポーツグレードRSです。
あくまで個人的な印象ですが、シュコダの車はアウトバーンで飛ばしていることが多い気がしますw。
こちらはDセグメントのステーションワゴン、Superb Combi。この車もドイツでよく見かけます。フロントグリルのデザインが、遠くから見るとBMWのようにも見えます。
内装はVWグループで共通化を進めているためか、フォルクスワーゲンのゴルフやパサートとそっくりでした。
しかしシュコダのパビリオンは全然人がおらず、閑古鳥が鳴いてました。せっかくアウトシュタットに来たので、みんなポルシェとかアウディの展示を見たいのでしょうか?
セアト
最後はセアト(SEAT)のパビリオンです。セアトも日本では正規輸入されていないので全然知られていませんが、スペインの自動車メーカーで、フォルクスワーゲンの子会社です。ドイツの道路でもそこそこ目にします。
ちなみにセアトのロゴは頭文字のSを形どっていて、スズキのロゴに似ているような気がします。私もドイツに来たばかりの頃は、セアトの車を見て「スズキもヨーロッパでイケてる車を売ってるんだな」と勘違いしてました。
セアトの中の高性能ブランドであるクプラ(CUPRA)の展示もあります。
クプラは色使いのセンスが良い車が多いので、個人的に好きです。ドイツでも結構走ってますが、見かけるたびにカッコいいなと思います。
食堂でVW純正ソーセージを食す
食堂は納車用のカスタマーセンターにある
アウトシュタットには本格的なレストランからセルフサービスの食堂まで、食事に関してはいくつか選択肢がありますが、せっかくなのでフォルクスワーゲン特製のカリーヴルスト(カレー風味ケチャップがけソーセージ)を食べるのがおすすめです。
食堂は、ポルシェパビリオンの先を進んだところにある「カスタマーセンター」の中にあります。場内地図では13番の建物です。
カスタマーセンターは主に納車センターとして使われている建物で、地上階では、納車準備が整ったクルマ達が新しいオーナーを待っています。
特製カリーヴルストはかなりレベルが高い
VW特製カリーヴルストが食べられる食堂「TACHOMETER(タコメーター)」は、建物の2階(ドイツ式数え方)にあります。この食堂名、クルマ好きの方だったら思わずニヤリとするのではないでしょうか。
私たちが訪れた時は以下のとおり3種類のメニューがありました。
一番上が一人前で10.9€、二番目が二人前の盛り合わせで19.9€、三番目がヴィーガン用で一人前10.9€です。街中で食べるカリーヴルストに比べて値段が高めですが、仕方ないですね。ちなみにソーセージは一人前で170gあるので、結構なボリュームです。
それぞれのメニューには付け合わせとして(1) ポメス(フライドポテト)、(2)ポテトサラダ、(3)パンのいずれか一つを選ぶことができます。好みの問題ですが、ほとんどの人がフライドポテトを選んでいます。
私たちは夫婦と5歳児一人なので、二人前の盛り合わせを注文しました。付け合わせはもちろんフライドポテトです。注文するとスタッフがその場でソーセージを焼いてくれます。出来上がりはこんな感じで、写真だと分かりにくいですが、かなり大型の深皿にポテトを盛りだくさん入れてくれました。
ソーセージには、食べやすいように切れ目を入れてくれています。
味の方はというと、今まで食べたカリーヴルストの中で一番おいしかったです。妻と息子も同意してました。
カリーヴルストはドイツのソウルフードと言えるほどポピュラーな食べ物なので、この国で生活していると食べる機会があり過ぎて困るほどですが、ここのカリーヴルストはソーセージがとにかく上品です。ジューシーだけど脂が多すぎず、旨味が凝縮されていて、塩加減もちょうど良い塩梅でした。
ちなみにこのソーセージはフォルクスワーゲンが自社で製造しているもので、豚肉等の原材料はこだわりの地元産を使っているようです。
カレー味のケチャップも酸味と甘みのバランスが絶妙で、変なしつこさもなく、ポテトとの相性が抜群でした。また、ポテトも油っこさがなくて、いくらでも食べられそうでした。
なお、フォルクスワーゲン特製のソーセージとケチャップは、おみやげとして食堂で購入することもできます。
食堂で使用している皿も売っています。一人前の皿が18€、二人前用が36€でした。グラタンやぎゅうぎゅう焼き用としても重宝しそうですね。
ここ以外でも、ヴォルフスブルク市内のスーパーではVW製ソーセージとケチャップを売っているので、おみやげとして購入するのも良いと思います。私たちも市内のスーパー、EDEKAでケチャップを買いました。
ショップではオリジナルグッズが
食堂の一つ下の階には、VWオリジナルグッズのショップがあります。
ブランド名や車種名が入ったアウトドアグッズ、洋服、バッグなど多様な品揃えです。
なんとワーゲンバスのデザインの冷蔵庫までありました。ジョークグッズかと思いましたが、本物の冷蔵庫です。
うちの妻はクルマには興味がありませんが、なぜかワーゲンバスだけは「かわいいから好き」みたいで、こちらのぬいぐるみを購入しました。約30€だったと思います。
ガラス張りの巨大な車格納サイロに驚き
カスタマーセンター棟の隣には、高さ48mの巨大なガラス張りのタワーが2本そびえ立っています。
2本のタワーのうちの一つは、見学用に中に入ることができます。実はこのタワーは、隣接する工場で生産された新車が納車センターで顧客に引き渡されるまでの間、一時的に格納しておくための施設です。
タワーには20層のフロアがあり、2本のタワーで合わせて800台を収容できるとのことです。
タワーはVWの工場と長さ700mの地下トンネルでつながっており、工場で車が完成した後、このタワーに自動で運ばれてきます。そして納車のタイミングになると、以下の写真のようにロボットでタワーから搬出され、隣の納車センターに移送されます。
この仕組みにより、アウトシュタットで納車される新車は一度も自走することなく顧客に引き渡せるので、納車時の走行メーターはゼロのままだそうです。
ちなみに見学ツアーに申し込めば、昇降用の機械に乗ってタワーの中を見学することも出来ます。アウトシュタットの入場料とは別に大人一人15€、子ども8€が必要です。ツアーは時間指定制で、下記サイトから予約できます。
車の博物館は世界中の名車がずらり
博物館の展示
アウトシュタットの敷地内には、Zeithausという車の博物館があります。ここでは、自動車の歴史上で重要な役割を果たした世界中の名車が、メーカーを問わず展示されています。
博物館の展示スペースは3フロアにわたり、60以上のメーカーの名車たちが揃っています。以下、そのうちのいくつかを紹介します。
ブガッティ 57 SC(1938年)
ポルシェ タイプ60(1938年) VWビートルの原型となったモデル
ワーゲンバス(1950年)
シトロエン DS19(1956年)
ランボルギーニ カウンタック(1975年) 「こち亀」の中川巡査が乗っていた車
ランボルギーニ ウラカン(現行モデル)
ショップ
博物館の地上階には大型のショップがあり、自動車にちなんだ数多くのグッズが売っています。
VWグループ各ブランドのグッズも充実しています。
子ども向け施設・遊び場
アウトシュタットには、子どもが楽しめる施設も揃っています。
車の博物館の近くにはゴーカート用のコースがあり、子ども達が自分で運転してコースを走ることができます。
その隣には、高さ10mはありそうな超巨大ジャングルジムをはじめ、遊具が揃っています。
さらに、尋常じゃない高さからすべり落ちるスライダーもあります。高さが異なる3種類のコースがありますが、一番下のコースでもかなりのスピードが出て大人でもスリル満点です。
子連れの観点でいうと、アウトシュタットではトイレもキレイで、親子トイレもあり、しかもおむつやおむつ替え用の台まで揃えられています。まるで日本のように至れり尽くせりです。
さらに、施設内の至る所に無料の飲料水スタンドがあり、とてもドイツとは思えない「おもてなし」を感じます。
まとめ
この記事では、VWグループの大型テーマパーク「アウトシュタット」の施設と展示内容の見どころを紹介しました。また、VW特製のカリーヴルストの詳細な実食レポートもお届けしました。
アウトシュタットはクルマ好きなパパ・ママだけでなく、お子さんも含めて丸一日楽しめる施設なので、ドイツ在住者はもちろん、日本から旅行で訪れる方にもおすすめです。
当ブログでは他にもクルマ関係の記事がありますので、併せてご覧ください。
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