海外旅行先でスマホを使うに当たり、eSIMがいかに便利でWiFiルーターと比べて優れているかを筆者の経験も交えて紹介します。海外旅行用eSIMには各国周遊プランが用意されていることも多いので、ヨーロッパや東南アジアを周遊する予定の方にもおすすめです。
また、当ブログではクルーズ関係の記事が多いですが、もちろんクルーズで海外寄港地観光をする際にもeSIMが便利です。
日本人の海外旅行者はいまだにWiFIルーター利用が多い?

年末年始に日本に一時帰国しましたが、帰りのフライトで羽田空港を利用した際に、相変わらずWiFiルーターの貸し出し窓口に行列が出来ているのを見て驚きました。これから海外旅行・出張に出かける日本人が、現地でネット環境を確保するためにWiFiルーターをレンタルするための行列です。
また、乗り継ぎのために使ったミュンヘン空港のラウンジでも、日本から旅行で来たと思われる親子が「WiFiルーターの設定できた?使える?」と話をしていました。
日本では海外旅行の際にいまだにWiFiルーターを使う人が多いことを伺わせるエピソードですが、現在多くの国の旅行者の間ではeSIMが主流になっており、WiFIルーターは過去の遺物になりつつあります。理由はeSIMの方が圧倒的に便利だからです。実際、外国人が日本に旅行・出張で訪れる際に、母国からWiFIルーターを持参するような人は見たことがありません。
なお、ここでいうWifiルーターとは、持ち運びができる小型のWiFi(無線LAN)ルーターのことです。海外旅行用のWiFiルーターは本体以外にも充電アダプターや変換プラグなどがセットになっており、結構かさばります。
WiFiルーター、モバイルルーター、ポケットWiFiなどいくつかの呼び方がありますが、この記事ではWiFiルーターという表記で統一します。
筆者は現在ドイツで生活しており、現地通信事業者(Vodafone)のSIMを契約していますが、当然物理カード不要のeSIMを使っています。
また、渡独した当初に現地SIMの開通手続きが完了するまでの「つなぎ」として、日本で用意した旅行用のeSIMを使ってましたが、設定が簡単かつヨーロッパ各国で快適にデータ通信が出来て大変便利でした。
海外旅行・出張にはeSIM一択の理由3つ

私は現在eSIMを愛用していますが、過去にはWiFiルーターも使ったことがあります。そして両方を使った経験から、海外旅行・出張にはeSIMの方が圧倒的に優れていると思います。理由は以下の3点です。
- スマホだけで手続き完結
- 荷物にならず、紛失・盗難リスクなし
- 充電切れの心配なし
順番に説明します。
スマホだけで手続き完結
eSIMの場合、スマホだけで申込みから利用開始までの手続きが完結します。いつでもどこでも申し込みが可能で、海外に渡航してからでも申し込み可能です(設定にはWiFi環境が必要)。
一方でWiFiルーターを使用する場合は、ネットで申込んでから出発前に空港で現物のルーターを受け取り、帰国後は再度空港で返却する必要があります。中には郵送で受け取り・返却が出来るプランもありますが、eSIMに比べて面倒なことに変わりはありません。
荷物にならず、紛失・盗難リスクなし
eSIIMは「プロファイル」と呼ばれるデータをスマホにダウンロード・インストールするだけで使用可能なので、物理的なカードやデバイスは不要です。そのため、旅行の際に荷物が増えることもないし、当然紛失や盗難の心配をする必要もありません。
一方で、WiFiルーターは物理的なデバイスなので荷物になりますし、万が一紛失してしまった場合は弁償する必要も出てきます。
充電切れの心配なし
eSIMはスマホの中に埋め込まれたデータなので、WiFiルーターのように電池残量を気にする必要はないし、充電をする手間もありません。
スマホ本体の電池は切れないように注意する必要がありますが、それはWiFiルーターを使う場合でも同じです。
eSIMの使い方は難しい?

「eSIMって何だか難しそう…」と思う方もいるかもしれませんが、実際は簡単に設定できます。通信事業者やスマホの機種にもよりますが、おおむね以下のような流れで使用できます。
スマホがeSIM対応機種かを確認
まずはご自身のスマホがeSIMに対応しているかを確認しましょう。以下の方法でチェックできます。
iPhoneの場合
設定>>一般>>情報と進んでいき、下の方にスクロールして「EID」の項目に32ケタのEIDが表示されていれば、eSIMに対応している機種です。
iPhoneの場合、基本的にiPhone 11以降であればeSIMに対応しています。
Androidの場合
設定>>端末情報と進んでいき、下の方にスクロールして「EID」の項目に32ケタのEIDが表示されていればeSIMに対応している機種です。
なお、ご自身のスマホがeSIM対応であることに加えて、SIMフリーまたはSIMロック解除済みである必要もありますのでご注意ください。

申し込みから利用開始まで
どの通信事業者のeSIMを使う場合でも、流れはほとんど同じです。参考として、私が2024年にドイツ生活を開始した際に最初の2週間(現地SIMを契約するまで)利用したグローカルネット
渡航先の国を選び、利用する期間や必要なデータ量に応じたプランを選択し、申込を行います。料金はクレジットカードで支払う場合が多いです。
支払いが完了すると、すぐにメールで利用案内が送られてきます。メールには設定に関する詳しい説明が書かれています。
案内メールに書かれている手順に従ってスマホの設定をします。具体的にはプロファイルという利用データをダウンロード&インストールしますが、最近はどの通信事業者でも、メールに記載されているQRコードをスキャンするだけで簡単に設定が行えるようになっています。
なお、設定を行うにはデータ通信環境が必要です。
現地に到着したら回線をオンにし、利用を開始しましょう。

利用プランはどうする?
どの通信事業者でも、利用先の国ごとに複数の料金プランを用意しています。eSIMを利用する期間と用途によって、ご自身に最適なプランを選べばOKです。参考までに、私がドイツで2週間使ったグローカルネット
対象地域 | 利用期間・データ量 |
---|---|
アジア周遊(14か国) | 8日間 / 毎日1GB / |
ヨーロッパ周遊(35か国) | 15日間 / 6GB / |
オセアニア周遊(オーストラリア・ニュージーランド) | 5日間 / 毎日1GB / |
中華圏周遊(中国、香港、マカオ) | 15日間 / 10GB / |
アメリカ周遊(米国、カナダ、メキシコ) | 30日間 / 5GB / |
1GBとか5GBとか言われてもイメージが沸かないかもしれませんが、1GBのデータで利用できる目安は以下のとおりです。
利用用途 | 1GBあたりの利用可能目安 |
---|---|
Web閲覧 | 約3,000ページ |
LINEテキスト | 約30万通 |
LINE通話 | 約40時間(音声通話)、約3時間(ビデオ通話) |
地図アプリ | 約65時間(15MB/時間) |
動画 | 約2時間(中画質480p) |
音楽 | 約250曲(1曲約4分) |
メール送受信 | 約330通(添付ファイル含、約3MB/通) |
旅行先でWeb検索やメールチェック、地図アプリを中心に利用するような使い方であれば、1GBでかなりのことができるのが分かると思います。Youtube動画を見まくるとかであればデータが足りなくなりますが、旅行中ぐらいは我慢しても良いのではないでしょうか。
実際、私はヨーロッパ周遊15日間・6GBのプランを申し込みましたが、結局2週間で3GBほどしか使いませんでした。利用用途は主にウェブ閲覧、Google Map使用、Apple CarPlayで地図アプリをカーナビとして使用、ドライブ中にSpotifyで音楽ストリーミング再生などです。
また、ドイツから車で国境を越えて隣国に移動しましたが、Apple CarPlayで地図アプリをナビとして使用し続けるのに全く問題なく、データ通信が途切れることはありませんでした。

データ使用料がどうしても多くなりそうな場合は、データ無制限プランもあります。
\ あんしんの日本語サポート /
なお、私の妻はドイツで最初の2週間World eSIMを使っていました。つながりやすさ等は私が使ったグローカルネットと大差なかったですが、World eSIMの方が利用期間やデータ量のプランがより細かく用意されていた印象です。
\ 180以上の国と地域で使える /
eSIMのデメリット2つ

ここまでeSIMの優れている点を紹介してきましたが、デメリットもあります。主に以下の2つです。
電話番号は(基本的に)付与されない
海外旅行用のeSIMのほとんどはデータ通信が可能なだけで、一部のプランを除いて現地の電話番号は付与されません。ただ、実際には電話番号が無くて困る場面はほとんど無いと思います。
ほとんどの人の使用用途はウェブ閲覧やメールチェック、地図アプリ使用なのでデータ通信だけで問題ないし、家族や友達に電話を掛ける際は通話アプリ(LINEやWhatsAppなど)を使用すればOKなので、電話番号が無くてもほぼ問題ないといえるでしょう(通話アプリはデータ通信のみで利用可)。
なお、現地の電話番号が付与されないという点ではWiFiルーターも同じです。
eSIM対応機種でしか使えない
eSIMは比較的新しい技術なので、古いスマホでは非対応となっている場合が多いです。古い機種では使えないというのは、eSIMのデメリットの一つといえるでしょう。
スマホがeSIMに対応してない場合はどうする?
WiFiルーターよりはSIMカード

ご自身のスマホがeSIMに対応していない場合は、WiFiルーターよりは物理SIMカードの利用をおすすめします。理由は以下の3つです。
- SIMカードは使い終わったらカードを処分するだけ。WiFiルーターのように返却する手間がない。
- SIMカードは使用中はスマホの中に格納されているので、WiFiルーターと違って紛失リスクが低い(スマホ本体を紛失しない限り大丈夫)
- WiFiルーターと違って充電する必要がない。
私自身、過去にeSIM非対応のスマホを使っていた時は、海外旅行の際にSIMカードを使用していました。
ヨーロッパではこちらのSIMカードを過去に使いました。データ容量は6GBで、1~2週間の滞在であれば充分です。電話番号が付与され、国際電話30分無料も付いてきます。
クルーズで訪れた台湾では下記のSIMカードを使いました。高速データ通信が無制限で値段も安いので、1日だけ寄港地観光をする際におすすめです。
韓国にクルーズで寄港した際には、以下のSIMカードを使いました。高速データ通信が無制限です。
WiFiルーターを選ぶ場面は?
これまで紹介してきたとおり、筆者は海外旅行・出張でスマホを使うにはeSIMがベストであり、eSIM非対応機種の場合は物理SIMカードがベターだと考えていますが、それでもWiFiルーターを選ぶようなシチュエーションはあるのでしょうか?
唯一思い当たるのは、自身のスマホがSIMフリーではない(SIMロックされていてSIMの入れ替え不可)場合でしょうか。この場合は、SIMロック解除をするかSIMフリーのスマホに買い替えない限り、WiFiルーターが現実的な選択肢になりそうです。
\ 最短1日から利用可 /
まとめ
この記事では、海外旅行や海外出張でスマホを使うにはeSIMがおすすめな理由を、筆者の経験とWiFiルーターとの比較を交えてご紹介しました。
eSIMはスマホだけで申し込み手続きが完結し、簡単な設定で利用開始できます。物理的なデバイスを使わないので荷物にならず、紛失や盗難のリスクとも無縁です。また、WiFiルーターと違って充電の手間もありません。
スマホがeSIMに対応している機種であれば、海外旅行・出張でeSIMを使わない手はないと思います。
\ あんしんの日本語サポート /
\ 180以上の国と地域で使える /