カタール航空のビジネスクラスQsuite(Qスイート)で、羽田とデュッセルドルフを往復した際の搭乗レビュー後編です。
今回は、デュッセルドルフからドーハを経由して東京までの復路のフライトの様子と、Qsuiteがヨーロッパ渡航におすすめな理由についてもまとめます。
前編の記事ではQsuiteの基本的な設備や、往路のフライトにおける一流のサービスや機内食などについてお伝えしていますので、併せてご覧ください。
復路のスケジュール
フライトスケジュールは以下のとおりです。ドーハでの乗り継ぎタイミングが悪く、8時間もトランジットがあるので、トータルの所要時間は怒涛の23時間45分です。ただ前編でも書きましたが、日本から直行便がない欧州路線では、2024年3月時点では他の航空会社でも片道20時間近くかかることが多いです(乗り継ぎ時間含む)。
デュッセルドルフからドーハへ
機体は往路と同じB787の中距離用機材(Qsuiteではないタイプ)で、フライト時間は6時間です。
ウェルカムドリンクはシャンパン・ロゼを頂きました。
離陸してすぐに、フォアグラを使ったアミューズが提供されました。
こちらはオーダーしたチーズの盛り合わせ。往路の日本路線よりもさらにボリューム満点です。
パンはちゃんと温かく、一緒にサーブされるバターはコクがあって美味。オリーブオイルも普通のエクストラバージンと辛いものが選べます。オリーブオイルはフレッシュでフルーティな香りが素晴らしく、パンのおいしさを引き立ててくれます。
離陸前に調子に乗って別の2品を頼んでしまいました。こちらの前菜はスモークサーモン。滑らかな触感でおいしかったです。
メインはラムの煮込み。おいしかったけど、食べ過ぎでお腹がはちきれそうです。付け合わせのじゃがいも、人参とズッキーニの旨味が濃厚で好印象でした。
食べ終わると間もなくドーハが近づいてきました。
ハマド国際空港で8時間のトランジット
現地時間の23時ごろ到着。ここから次の便まで約8時間もあります。普通だったら耐え難いほどの乗り継ぎ時間ですが、超豪華なアル・ムルジャン ビジネスラウンジと新しく出来たアル・ムルジャン ビジネスラウンジ「ザ・ガーデン」をはしごして、シャワーを浴びたり完全個室の仮眠スペースで休めたので、思ったほどつらくありませんでした。
これらのラウンジについては以下の記事で紹介しています。カタール航空またはワンワールドのビジネスクラスを利用してドーハ国際空港でトランジットする方は、必見です。
ドーハから羽田へ
機材は往路と同じA350-1000で、羽田までは9時間45分のフライトです。行きの飛行時間が12時間55分だったので、なんと往路より3時間以上、25%のフライト時間短縮になります。東行きは偏西風に乗って速く飛べるのでしょうか。
座席はもちろんQsuite。今回は左側の席なので、往路とは逆のレイアウトです。
食事メニューはこちら。往路ほどではないですが、和食メニューがいくつかあります。
「寿司と握りのセレクション」がありますが、日本人のCAさん曰く「あまり注文が入らない」とのことです。確かにドーハだとあまり新鮮な魚が手に入らなそうなイメージです。
日本的なものが恋しかったので、離陸してすぐにお茶(ほうじ茶)をリクエスト。湯呑み風の器でサーブしてくれるのがいいですね。
その後朝ごはんとして「ハマチの醤油焼き」を頂きました。
ハマチは脂がそこそこ乗っていておいしいです。ソースは外国人が好きそうな、分かりやすい照り焼き風味。ご飯は若干硬いけど許容範囲です。味噌汁はなぜか最初には付いてこなくて、リクエストして初めて出てきました。
その後は行きと同じくベッドにしてもらい、ゴロゴロしたり映画を見たりして快適に過ごしました。
離陸2時間半前に二回目の食事をお願いしました。前菜は「ポーチドロブスター、エビ、マグロのたたき」です。
これは今回の往復フライトの中で一番おいしかったです。エビはプリプリで、ロブスターは身が締まっています。マグロのたたきも生臭さは全くなく、ワサビピューレと胡麻ドレッシング(柚子の隠し味)にベストマッチです。
合わせたワインはチリのソーヴィニョン・ブラン。ミネラル感があってロブスターの自然な塩味によく合いました。
続いてサーモンのガーリックバター炒め。こちらも濃厚なバターソースが絶妙で、大満足です。
こちらの料理と一緒に頂いたのは、オーストラリア・アデレードのシャルドネ。オーストラリアらしい果実味の強さを感じつつ、樽感も強すぎずにおいしかったです。
あっという間に日本に帰国です。トータルで20時間を超える長旅でしたが、豪華なラウンジとQsuiteのおかげであまり疲れませんでした。
ちなみに頂いたアメニティはこちらです(帰宅後に撮影)。Diptyqueですが、往路とは種類が違います。
また、到着前にスイスの老舗Läderach(レダラッハ)のチョコレートを各席に配っていました。ちなみに往路の羽田→ドーハのフライトでは、このチョコはなかったです。
大人向けの上質なチョコで満足です。最後の最後にこんな素敵な贈り物を頂けるとは、やはりカタール航空のビジネスクラスは最高ですね。
カタール航空ビジネスクラスQsuiteがヨーロッパ渡航におすすめな理由6つ
今回の体験を基に、ヨーロッパとの往復にQsuiteがおすすめな理由をまとめます。
なお、おすすめポイントはヨーロッパ渡航以外にも当てはまりますが、日本発のカタール航空のフライトは全て中東のドーハ経由となるため、地理的要因と日本人に渡航先の人気という観点から、基本的に日本からカタール航空を利用する需要はヨーロッパ行きが多数を占めると思われます。よって、ここではヨーロッパ行きの利用という前提でお話しします。
Qsuiteの快適性とプライベート感は別格
前編で詳しくお伝えしましたが、Qsuiteの座席はひと昔前のファーストクラスを超える豪華さと快適性があり、扉を閉めて個室にすることでプライベートもばっちり確保できます。さらに、夫婦やカップルで搭乗する際は横並びの席を2つ予約することにより、2人だけの空間を作りだすことも可能です。一人でも複数でも快適に過ごせる、素晴らしいと思いませんか?
これだけ快適な環境で移動できるのなら何時間でも乗っていられますし、飛行時間が長いヨーロッパへの渡航も苦にならないどころか、むしろ楽しみになります。
食事がおいしく自由度が高い
長いフライト時間の中で、食事は重要な楽しみの一つですよね。Qsuiteでは食事もメニューが豊富でどれも手が込んでいて、とてもおいしいです。特に日本発のフライトでは、ミシュラン二つ星の日本人シェフ成澤由浩氏が監修したというメニューがあります。もちろん、その他の日本食メニューも充実しています。
さらに、時間を気にせずいつでも自分の好きなタイミングで、好きなものをいくらでも注文できるというのもポイントです。至れり尽くせりですね。
飲み物の充実ぶりも目を見張るものがあり、特にワインは10種類から選べます(シャンパン2種類、赤3種類、白2種類、ロゼ1種類、デザートワイン2種類)。ワインがお好きな方であれば、食事に合わせて色々な選択肢があります。また路線によりますが、ボトルからグラスに直接注いでくれて、まるでレストランのようです(今回の往復では、直接注いでくれたのは行きの羽田~ドーハ間のみでしたが)。
アメニティが充実。パジャマの着心地が最高
日本~ドーハ間のフライトであれば、アメニティとしてパジャマとスリッパが提供されますが、このパジャマの着心地が最高です。綿の肌触りがいいし、リラックスできるサイズ感です。これのおかげでぐっすり安眠できます。
The White Companyというイギリスのメーカー製のようです。私は持って帰って自宅の予備用パジャマとして使ってます。
また、Diptyque(ディプティック)のアメニティセットも付いてきます。内容はフライトによって違うようですが、良い香りがするハンドクリームやリップクリームなどが入っています。正直言って男性はあまり使い道が無いかもしれませんが、奥さんやパートナーにあげると喜ばれると思います。
CAのサービスが素晴らしい
人によって違うかもしれませんが、おおむねCAさんのサービスレベルが高いです。ほどよい距離間で乗客の様子を伺ってくれて、食事の際も決してこちらを急かさず、絶妙なタイミングで下膳して次の食事をサーブしてくれます。飲み物が少なくなってないかもよく気にしてくれます。
また前編の記事でお伝えしましたが、靴の収納に関して、靴が汚れないように気配りをしてくれたりもしました(たまたまかもしれませんが)。
コスパが良い
世界最高レベルの快適性とサービスを提供しながら、カタール航空ビジネスクラスQsuiteの運賃は、他の航空会社と比べてむしろお得な方といえます。もちろん目的地や搭乗時期、予約時期によって異なるでしょうが、少なくとも私が利用した3月中旬~下旬では、デュッセルドルフ行きのビジネスクラスで比較したANAやJALよりも10万~20万円程度お得な料金でした。
また、カタール航空は定期的に自社予約サイトでセールやキャンペーンを行っていますので、タイミングによってはさらにお得に利用できる可能性もあります。
ドーハのラウンジが異世界なほど素晴らしい
日本からカタール航空でヨーロッパに行く場合、必ずドーハでの乗り継ぎが発生します。接続によっては乗り継ぎ時間が長くなることがありますが、ビジネスクラスの利用者は世界的にも有名な豪華さを誇る専用ラウンジを使えます。これが普通のビジネスラウンジではありえないほどの壮大さと充実した設備なので、このラウンジのためだけでもカタール航空のビジネスクラスを使いたくなるほどです。
ラウンジの詳細は以下をご参照ください。
カタール航空がヨーロッパ渡航にイマイチな点2つ
所要時間が長い
最終目的地によりますが、一般的に日系やヨーロッパ系の航空会社よりもトータルの所要時間が長くなりがちです。
特に、目的地に日本からの直行便がある場合(ロンドン、パリ、フランクフルトなど)、その差が顕著になります。直行便があれば、今でも13~14時間で到着する目的地が多いですが、カタール航空でドーハ経由だと最低でも20時間以上かかりますので、直行便がある場合は無理にカタール航空を選ばなくても良いかもしれません。
一方で、直行便がないヨーロッパの目的地の場合は、他の航空会社でもトータルで20時間近くかかる場合も珍しくありませんので(2024年3月現在)、カタール航空との差が縮まります。
日本語はあまり通じない
外資系の航空会社全般に言えますが、日本路線には日本人CAが乗務しているものの、人数が限られているので、いつでも日本語で対応してもらえるとは限りません。今回の私のフライトでも、ビジネスクラスを担当していた日本人CAは1~2名だったと思います。日本語オンリーでサービスを受けたいという人は、日系の航空会社を選んだ方が良いでしょう。
まとめ
2回にわたって、カタール航空ビジネスクラスQsuite(Qスイート)を利用してヨーロッパを往復した時の様子とおすすめポイント、そして気になる点についてお伝えしました。
カタール航空は、最高レベルの設備とサービスで快適なフライトを楽しめるだけでなく、なんと燃油サーチャージが無料であるため、価格も比較的良心的です。ヨーロッパや中東、アフリカ方面の渡航において非常に魅力的な選択肢です。
公式HPでの予約が一番お得です。私もカタール航空のHPで予約しました。
なお、カタール航空は2024年4月1日から羽田~ドーハ間のフライトを休止し、同路線はJAL運航のコードシェア便となります。
ただし、引き続き成田~ドーハ間と関西~ドーハ間のフライトは毎日運航しますし、ビジネスクラスは基本的にQsuiteが使用されているので、カタール航空は引き続きヨーロッパ渡航の有力な選択肢になりそうです。
2024年8月20日追記:現在カタール航空の成田~ドーハ間のフライトは週7往復ありますが、なんと2025年2月から週11往復に増便することになりました。これはうれしいニュースですね。快適なQsuiteを出張・旅行で利用できる機会がさらに増えそうです。
自分が予約するフライトがQsuiteであるかどうかは、予約画面で以下の表示があるかどうかを見れば確認できます。Qsuiteの表示があれば大丈夫です。
なお、ANAのビジネスクラスを利用して再度ヨーロッパに渡航した際の搭乗記もありますので、ぜひご覧ください。
現地で滞在するホテルは早めに手配した方が、お得な値段で予約できます。
\ 早めの予約がお得 /
現地では運転せずに電車やバスで移動される場合は、事前の予約がおすすめです。
\ 事前に予約であんしん /
海外渡航の際は、事前に現地SIMカードを準備しておくのがおすすめです。国内で手配した方が手間がかからないし、現地での時間節約にもなります。物理カードが不要のeSIMが便利です。
\ 海外旅行にいくなら /
\ 180以上の国と地域で使える /
おまけ ー JALビジネスクラスのチャイルドミール
今回は諸事情により、家族は別のフライトで欧州に渡航したのですが、その時に家族が利用したJALのビジネスクラスで提供されたチャイルドミール(キッズミール)が秀逸だったので、共有しておきます。
すごくないですか?JALのビジネスクラスは、エコノミーとは別に専用チャイルドメニューを用意しているようです。一方でANAは座席クラスに関わらず共通みたいですね。参考まで。
小さなお子様連れはJALも良い選択肢ですね。