イタリアのカジュアル客船コスタクルーズが、2024年に大型客船「コスタセレーナ」で日本発着のクルーズの運航を再開しています。コロナ禍以来5年ぶりの復活です。
この記事では、2024年に予定されているコスタの日本発着クルーズを紹介すると共に、果たしてコスタセレーナが「あり」な選択肢かどうかについて考えてみたいと思います。
なお、私のクルーズ経験は次のとおりです。
- 2017年 オーシャニアクルーズ リビエラ(地中海 アテネ~ローマ)
- 2023年 MSCベリッシマ(横浜~鹿児島~沖縄~台湾~横浜)
- 2023年 ダイヤモンドプリンセス (横浜~鹿児島~釜山~秋田~青森~横浜)
- 2024年 MSCグランディオーサ(リヴォルノ~マルセイユ~バルセロナ~チュニス~パレルモ~ナポリ~リヴ ォルノ)
2024年9月23日追記:2024年11月~2025/26年秋冬シーズンにかけてのコスタセレーナの日本発着クルーズについては、最新情報を以下の記事でまとめましたので、併せてご覧ください。
コスタクルーズについて
公式HPによると、コスタクルーズはイタリアに本社があるクルーズ客船の会社で、カジュアルクラスに属するクルーズ船9隻を世界各地で運航しています。気取らない雰囲気とリーズナブルな料金、特にお得な子供料金と充実したキッズ向け設備によって、本場ヨーロッパではファミリー層に人気のようです。
日本では「コスタネオロマンチカ」という船で2019年まで国内発着便の運航を続けていましたが、2020年のコロナ禍以降は日本でのクルーズは中止されていました。
今回、5年ぶりに「コスタセレーナ」という大型客船で日本発着クルーズが再開されることになり、注目を集めています。
コスタセレーナについて
基本情報
コスタセレーナの基本情報は次のとおりです。
- 就航年:2007年(2023年改装)
- 総トン数:114,500トン
- 全長:290m
- 全幅:35.5m
- 乗客人数:3,780名
- 乗組員数:1,100名
乗員乗客比率は3.44人なので、同じイタリアのカジュアル客船であるMSCベリッシマの3.55人と大体同じですね。人数比率だけを見ると、サービスのレベルはベリッシマと同等と考えてよさそうです。
客室
客室は最上級のグランドスイート(約29㎡+バルコニー約8.2㎡)から一番リーズナブルな内側客室(約11㎡)まで6種類あり、最も人気が高いと思われる海側バルコニー客室(約14㎡+バルコニー約4㎡)はこんな感じです。
レストラン & バー
レストランはメインダイニングが二つと有料レストラン(イタリアンと寿司)、そしてビュッフェレストランが一つあります。ちなみにメインダイニングは二カ所とも吹き抜けの作りになっていて、とても開放感があります。
また、船内には計4カ所のバーとラウンジがあります。
主な施設
コスタセレーナには、主に以下の施設があります。
- 屋外プール
- 屋内プール
- ウォータースライダー
- ジム
- スパ
- シアター
- カジノ
- ショッピングエリア
- キッズクラブ
一般的な大型客船の設備は全てコスタセレーナにも備えてあり、設備的にはMSCベリッシマと似ています。
コスタセレーナ 2024年の日本発着クルーズ
2024年9月23日追記:ここでは2024年6月のクルーズ情報をお伝えしていますが、2024年11月以降のコスタセレーナの日本発着クルーズについては、最新情報を以下の記事でまとめましたので、併せてご覧ください。
予約可能なのは6月の3つのクルーズ
現時点(2024年5月3日)で予約可能なコスタセレーナの日本発着クルーズは以下の3種類で、2つ目と3つ目は旅行代理店ベストワンクルーズのチャータークルーズのようです。
6/12福岡出発 釜山、舞鶴、金沢着 ショートクルーズ 3泊4日
6月12日に福岡を出港し、6月15日に金沢で下船するという3泊4日のクルーズです。スケジュールは以下のとおりです。
一番安い内側客室であれば、料金はなんと一人59,000円からという破格ぶりです。
また、18才未満の子供は一人15,000円で乗船できるようです(同じ部屋に大人2名に加えて3-4人目として子供が乗る場合)。
詳細はベストワンクルーズの案内ページをご覧ください。
6/15金沢出発 釜山、福岡、舞鶴、金沢着 周遊ショートクルーズ 4泊5日
こちらは6月15日に金沢を出港し、釜山、福岡、舞鶴に寄港して金沢に戻るという4泊5日のルートです。詳細スケジュールは下記をご覧ください。
料金は一人93,000円(内側客室)~368,000円(グランドスイート)というレンジです。子供の割引運賃については上記と同様です。
航路や料金プランの詳細はベストワンクルーズの案内ページをご参照ください。
6/19金沢出発 釜山、下関、舞鶴、金沢着 周遊ショートクルーズ 4泊5日
こちらは上記のクルーズに似ていますが、6月19日に金沢を出航後は釜山、下関、舞鶴に寄港して金沢で下船というコースです。日程表は次のとおりです。
料金は6/15出発のクルーズと基本的に同じレンジで、一人93,000円(内側客室)~368,000円(グランドスイート)となっています。子供の割引運賃については前出のクルーズと同様です。
興味がある方はベストワンクルーズの案内ページで詳細をご確認ください。
柔軟な日程アレンジ
コスタセレーナについては2024年6月に3種類のクルーズが予約可能ですが、3つのコースの一部分をそれぞれ切り分ける形で6月12日博多発着6日間、6月17日博多発着5日間、6月18日舞鶴発着5日間などのプランでも予約可能なようです。
また、部屋数限定で3日間の休みがあれば乗船できる途中下船プランもあるようです。休みが取りにくいけど外国クルーズ客船を体験してみたい、という人には良いかもしれません。
複数の割引プラン
元々の価格が安めに設定されているコスタセレーナですが、さらに複数の割引プランが用意されています。
例えば「ビュッフェプラン」は、食事はビュッフェの利用に限定(メインレストランは利用不可)する代わりに格安料金で乗船できるというものです。もはや何でもありという感じもしますが、人によってはビュッフェで充分(若者や赤ちゃん連れなど)という場合もあると思うので、こういう選択肢を用意するのは合理的だと思います。何といってもカジュアル船ですし、MSCベリッシマもそうですがイタリア客船は基本的にビュッフェもおいしいですからね。
また、学生グループ割というプランもあるようで、18歳以上の学生が複数で利用する際に最大40%オフの料金で乗船できるというものです。さすがにクルーズで学割というのは聞いたことが無かったので驚きましたが、若い人たちにクルーズを身近に感じてもらうという点では意義のある試みだと思います。
これらのプランの詳細はベストワンクルーズの案内ページをご覧ください。
ベリッシマとの比較
同じイタリアのカジュアル船でファミリー大歓迎という点で、コスタセレーナとMSCベリッシマには共通点が多いです。船のサイズや乗客乗員数はベリッシマの方が上ですが、クルーズ客船としての設備・施設の充実度は両者ほとんど同じです。また、18歳未満の子供の乗船料金が基本的に無料または格安という点でも両者は共通しています。
一方で、以下の違いもあります。
フォーマルナイトの有無
コスタセレーナでは、フォーマルナイトの設定がありません。パンフレットに記載の推奨ドレスコードによると、一般的なスマートカジュアルでOKなようです。
一方のMSCベリッシマでは、一週間程度のクルーズであれば1~2回はフォーマルナイトがあります(通常は終日航海日に設定)。フォーマルナイトのドレスコードでは、男性はジャケットとネクタイ着用が推奨されています。
両船ともカジュアルクラスで小さなお子さん連れで乗る方も多いと思うので、人によっては着飾ったりおしゃれを楽しむ余裕がない場合もあると思います。そういう方にとっては、船会社の方ではっきりとフォーマル不要と宣言してくれるのはありがたいのではないでしょうか。正装したい人は自主的にすれば良いだけですしね。
ただし、MSCベリッシマのフォーマルナイトについて少しフォローしておくと、私が乗船した時の印象ではフォーマルの日でもジーンズとパーカーのような格好でレストランに来ている人もいて、そういう人でもレストランには入れてもらえるようでした。
メインレストランが吹き抜け
前述のように、コスタセレーナには2カ所のメインダイニングがありますが、いずれも吹き抜けの構造になっています。これによってかなりゴージャスな雰囲気が生まれています。
一方で、MSCベリッシマのレストランは一般的な1階天井の作りになっています。ベリッシマのレストランも天井が低いということはないので問題はないですが、レストランの開放感はコスタセレーナに軍配があがるかもしれません。
結局コスタセレーナは「あり」か「なし」か
海外のクルーズ口コミ掲示板などでは、コスタクルーズに関してあまりポジティブでない評判も目にしますが、実際のところコスタセレーナの日本発着クルーズってどうなんでしょうか?結論から言うと、私は大いに「あり」だと思います。理由は次のとおりです。
子連れに優しい料金体系
上記で紹介した2024年6月のコスタセレーナのクルーズでは、18才未満の子供は一人15,000円という格安料金で乗船できる(同じ部屋に大人2名に加えて3-4人目として子供が乗る場合)ようですし、7月以降のクルーズの子供料金は明らかではないものの、コロナ前は基本的に18歳未満が無料だったので、同様に無料または格安料金が適用されると思われます。
円安が続いている昨今、家族で海外旅行に行くにはかなりのコストがかかりますが、コスタのクルーズであればかなりお得に子供に海外を経験させることができるので、おすすめです。
短い休みで乗船可
2024年6月のコスタセレーナのクルーズは、いずれも4~5日あれば乗船できる日程なので、短い休みでも「憧れの外国船クルーズ」を経験することができます。また、前述のとおり3日あれば乗船できる「途中下船プラン」も用意されているため、さらに短い休みしか取れない場合でも乗船するチャンスがあります。
一般的に外国船のクルーズだと最低でも一週間~10日程度の休みがないと乗れないことが多いので、コスタセレーナは休みが取りにくい日本人に格安で海外クルーズの機会を提供してくるありがたい存在だと思います。
若い世代にクルーズの魅力をアピール
2024年6月のコスタセレーナのクルーズでは「学生グループ割」という割引プランも用意されており、明らかに若い世代にクルーズを経験してもらおうという狙いが見えます。
個人的には、この狙いは良いことだと思います。日本でクルーズと言えば、伝統的に「定年退職後の時間にも資金にも余裕のある世代が優雅に楽しむもの」というイメージがありましたが、欧米では若者や子育て世代も気軽にカジュアル客船のクルーズを楽しんでおり、日本でも若い世代のクルーズ需要を拡大させる良いきっかけになると思います。
日本のクルーズ人口増加に貢献
コスタセレーナは元々の料金が安めであるのに加えて、ビュッフェ限定プランや学生グループ割など、とにかく安く気軽に乗るためのプランが複数用意されています。「安ければなんでもいいのか」という批判も聞こえてきそうですが、カジュアル客船というコスタの立ち位置を考えると、この戦略はありだと思います。
どの業界でもそうですが、価格帯のローエンドに属しているセグメントは、その業界のサービス・商品を初めて購入するための入口としての役割もあるため、今回のコスタセレーナの試みで少しでも日本におけるクルーズ人口を増やすことが出来れば、それが今後の日本のクルーズ業界全体にとってもプラスになることが見込まれます。
理由は次のとおりで、以下のような好循環が生まれることが期待されます。
コスタでクルーズを気軽に初体験
↓
日本のクルーズ人口・需要増加
↓
より多くのクルーズ会社が日本に参入
↓
クルーズ会社間でサービス・価格面での競争が起きる
↓
クルーズ利用者がより良いサービスをよりリーズナブルな価格で利用できる
まとめ
この記事では、2024年に5年ぶりに復活したコスタクルーズの日本発着クルーズについて紹介すると共に、MSCベリッシマとの違いについてもお伝えしました。まとめると、コスタセレーナはリーズナブルな料金や子連れフレンドリーな施策、また若い世代にも門戸を広げるという点で魅力があり、日本発着の外国船クルーズの中でも有力な選択肢として検討できそうです。
また、価格帯が似ているMSCベリッシマも併せて検討してはいかがでしょうか。
当ブログでは以下のとおりクルーズ関係の記事が多数ありますので、ぜひご覧ください。日本発着の外国船クルーズの雰囲気を知るという点で、MSCベリッシマやダイヤモンドプリンセスの乗船記もおすすめです。
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