ドイツ中西部のデュッセルドルフからイタリア北部の地中海沿岸の街・リヴォルノまで、スイスとフランスを経由して往復2,400kmの長距離ドライブをした際のレビュー記事第3回目です。
今回は、各国の高速道路にあるサービスエリアのレストラン、売店、トイレや子ども用の遊び場についてご紹介します。
利用する前は「ヨーロッパのサービスエリアは粗末なトイレとコーヒースタンドなど最低限の設備しかない」と聞いていましたが、実際は今回のドライブで通った各国ともサービスエリアはかなり充実しており、良い意味で期待を裏切られました。
もちろん、世界の中でもガラパゴス的に進化した日本の大型サービスエリアほどではありませんが、必要充分以上に快適に過ごせる施設・設備が揃っており、それも国ごとの特色が見られるサービスが展開されており、とても興味深かったです。
なお、今回の長距離ドライブではフランスのサービスエリアには立ち寄りませんでしたので、この記事ではドイツ、スイスおよびイタリアの3カ国の施設を対象としてご紹介します。
【走行・運転マナー編】は以下の記事をご参照ください。
【通行料金・景色・渋滞ポイント編】は、以下の記事をご覧ください。
ドライブルートのおさらい
あらためて、今回の往復2,400kmドライブのルートを簡単におさらいします。
往路はドイツのデュッセルドルフを出発し、途中スイスのバーゼルとイタリアのミラノで一泊ずつした後、3日目の昼頃にイタリア北部・フィレンツェ近くのリヴォルノ港に到着しました。総走行距離約1,200kmで、2泊3日の行程でした。
復路も往路と似たルートですが、スイスのバーゼルからはフランス側のルートを選択して北上した点が異なります。
食事・売店
さて、各国のサービスエリアの特徴について紹介していきます。まずは食事処と売店についてです。
ドイツ 食事はファストフード中心
ドイツの高速道路アウトバーンでは、ある程度の規模のサービスエリアにはファストフードコーナーがあり、ドイツお決まりのpommes(フライドポテト)、ソーセージ、ハンバーガー、サンドイッチ、サラダなどが売られています。
味は悪くはないですが、一般的な日本人の感覚ではジャンクフードに分類される食べ物が多いです。
ドイツのサービスエリアでは、大体同じ会社が食事コーナーを運営しているため、どこで休憩しても似たようなメニューが多いです。ドイツで長距離ドライブをする際にポテトやソーセージ、サンドイッチに飽きたら、個人的におすすめしたいのがgulaschesuppe(グーラッシュのスープ)です。日本ではハンガリーの「グヤーシュ」として知られていますね。
イメージ的にはビーフシチューのようなもので、牛肉とたくさんの野菜が入っていて、パプリカの旨味が効いています。大体どこのサービスエリアの食事コーナーでもあり、これとパン1個で一般的な日本人は満腹になると思います。サイズはgroß(大)とklein(小)がありますが、ランチなら小でも充分な量です(上の写真も小)。
また、バーガーキングやスターバックスなど大手チェーン店がテナントとして出店しているサービスエリアもあります。
料金の目安としては、ソーセージとフライドポテトの盛り合わせで10€前後、ドリンク付きのハンバーガーセットで10€~、サラダ単品で5~7€、グーラッシュのスープが単品で6~8€といったところです(2024年7月時点)。
サービスエリアによってはたくさんの座席が設けられているところもあり、眺めが良い席もあったりします。
屋外のテラス席もあるので、天気が良い日はピクニック気分で外で食べるのもおすすめです。
ドイツの大型サービスエリアでは、売店も充実しています。幅広い種類のお菓子、パンなどの軽食、アイスクリームに加え、おもちゃや本なども売られてたりします。
飲み物も水やジュースに加えて、なぜかビールやワインまで売られています。
ちなみに売店の値段は高く、500mlのペットボトルの水で3€前後します。長距離ドライブの前には、スーパーなどで水を買っておくのをおすすめします。
スイス ドイツと似てるが売店に独自色も
スイスの高速道路にも大型のサービスエリアが点在しており、ドイツと同様に充実した設備を誇ります。中には下記のような超スタイリッシュな施設もあります(ゴッタルド道路トンネルのスイス側にあるサービスエリア)。
中に入るとこんな感じで、明るくておしゃれな雰囲気です。
今回のドライブ旅行では、私たちはスイスのサービスエリアでは食事をしませんでしたが、ざっと見たところドイツと同じようなファストフード系のメニューが中心でした。
ただし、上の写真で紹介したスタイリッシュなサービスエリアでは、下記のようなおしゃれなサラダバーを備えたフードコートもあり、驚きました。
売店についてはドイツと同じような品揃えで、お菓子、軽食、雑貨類などひと通り必要なものが揃っています。また、なぜかグミのコーナーがたいへん充実していました。
後ほど説明するトイレのバウチャーを使うために、つい買い物をしたくなってしまいます。息子にせがまれてアイスを買いました。
スイスの高速道路は山間部を縫うように走ることが多く、サービスエリアも標高の高い山の中にあったりします。大自然で空気がきれいなので、天気が許せば屋外のテーブルで休憩すると気持ちがいいです。
売店に話を戻すと、飲み物はドイツと同様にアルコール類も普通に売られています。しかし、ただでさえスイスは物価が高いのに、サービスエリア価格なのでとんでもなく高額になってます。
また、スイスのサービスエリアでは生鮮食料品も売られており、レタスやトマト、チェリー、生の肉、各種チーズなども店頭に並んでました。
特にチーズは充実しており、こんな所にもお国柄が現れていて面白いです。
イタリアのSAは食事が充実
美食の国として知られるイタリアでは、サービスエリアの食事もドイツやスイスより充実していました。いくつかのサービスエリアに立ち寄りましたが、基本的には以下の2種類の選択肢があるところが多いように思います。
(1) サンドイッチやフォカッチャなど出来合いの軽食を販売しているコーナー
(2) 注文を受けてから簡単な調理をしたり、料理を切り分けたりして提供するコーナー
(1) の軽食コーナーは、長蛇の列になっていることが多かったです。
より本格的な食事を出す(2)のコーナーの例として、パルマの近くのサービスエリアではパスタやラザニア、ちょっとした肉料理などを提供していました。
パスタは事前に茹でたものを使っていましたが、ソースはその場でフライパンでトマトソースをこしらえて、パスタに絡めて提供していたので、SAとは思えないほど本格的です。ラザニアも注文を受けて温めなおしてから出してくれました。
こちらが私たちがランチに食べた食事です。
右がトマトソースのパスタで、巨大な水牛のモッツァレラチーズ付き。ちなみに他のテーブルでは、このチーズを2個3個と乗せている人もいました。パスタの味はまぁまぁ、チーズはおいしかったです。
左はラザニアです。大体想像どおりの味で、息子が喜んで食べてました。右上は標準で付いてくるパンで、左上がこの地域の名物(?)のデザートです。名前は忘れました。
これにペットボトルの水を買って、全部あわせて30€弱だったと思います。日本のサービスエリアと比べると高いかもしれませんが、ヨーロッパの外食としては普通の値段です。
特筆すべき点として、食事コーナーには以下のようにたくさんのオリーブオイルと白ワインビネガーの瓶が用意されており、自分のテーブルに持って行って自由に使うことができます。また、電子レンジも用意されていました。
オリーブオイルは、ちゃんとしたエクストラバージンのものでした。世界的にオリーブオイルの価格が高騰している中で、使い放題のセルフ式で提供するあたり、太っ腹というか、さすが食を大切にするイタリアですね。イタリア料理にオリーブオイルは欠かせないですからね。日本のセルフ式食堂で、しょうゆの瓶を自由に使えるのと同じです。
売店はドイツやスイスと同じくお菓子、スナック、飲料などがひと通り揃っていました。
加えて、またしてもイタリアらしいのが、ものすごい種類の生ハム、加熱済みのハム、サラミ、塩漬け肉、各種チーズなどがドーンと並んでいたことです。
冷蔵が必要だと思うので、ドライブの途中で誰がどういう用途で買っていくのか分かりませんが、これだけ揃っているということは、需要があるということなんでしょう。不思議です。
サービスエリアは、このようにお国柄が見られて面白いので、海外で高速道路を利用する際はぜひ立ち寄ってみることをおすすめします。
トイレ
続いては、みんな気になるサービスエリアのトイレ事情です。
ドイツは有料 驚きの自動回転便座やシャワー室も
ドイツの大型サービスエリアのトイレは、基本的に有料です(トイレだけの簡易休憩所は無料の場所もあります)。
トイレの入口には、大体このようなゲートと支払い用の機械があり、ほとんどの場合で入場料は一人1€です。
代金は現金またはクレジットカード(タッチ決済対応)で支払います。支払いが済むとゲートが開きますが、その際に機械から以下のようなバウチャーが出てくるので、取り忘れないようにしてください。
このバウチャーは1€分の価値があり、サービスエリアの売店や食堂で支払いをする際に、割引券として使えます。つまり、1€を支払ってトイレを利用した後、買い物で1€分を割り引いてもらえるので、実質無料でトイレを使用できることになります。
ただし、バウチャーの利用には条件があり、例えば10€未満の買い物には1€分のバウチャーしか使えなかったり、一度に最大で2€分しか使えなかったり、色々な制限があります。バウチャーの利用条件はサービスエリアによって異なるので、利用する際は店員さんに確認してください。
ちなみに小さな子供用の入口もあり、この入口を通れる大きさの子供は無料でトイレを利用できます。
高速のサービスエリアに限った話ではありませんが、ドイツの場合は有料のトイレは大体きれいです。
ドイツのサービスエリアで驚きなのが、使用後に便座が自動で回転して洗浄される、謎の進化系トイレがあることです。
どういうことかと言うと…
トイレの画像なので、気にならない方だけ開いてください。
トイレを使用後に流すと、便座が自動で回転を始めます。少し動いているのが分かりますでしょうか。
上の写真の赤丸で囲まれた部分には、拭き掃除で使うような便座クリーナーが仕込まれており、クリーナーが便座の表面と接するようになっています。
そこに便座が自動で回転することで、便座の表面がキレイに清掃されるという仕組みです。
どんどん回転していきます。
ぐるりと360度回りました。洗浄完了です。クリーナーは、回転のつど新しい物に自動で交換されているようです。
日本の温水洗浄暖房機能付きウォシュレットも、世界的に見れば異次元のガラパゴス的進化を遂げた代物ですが、ドイツは別の方向にトイレを進化させているようですね。
個人的には、こんな大がかりな仕組みを導入するぐらいならウォシュレットを設置してくれた方がよっぽど良いと思いますが、これはこれで面白いアイデアだと思いました。
ほかにも、トイレの近くにはこのようなシャワー室が設置されていることがあります。
このシャワー室は一回の利用料が4€で、売店のスタッフにお金を払って鍵をもらってから利用するようです。おそらく長距離トラックドライバーや、キャンピングカーで旅している人たちが利用するのではないでしょうか。
スイスも有料 かなりキレイ
スイスのサービスエリアのトイレも基本的に有料で、仕組みはドイツとほぼ一緒です。
トイレの入口には、このようなゲートと支払い機があり、1 CHFまたは1€を支払います。クレジットカードでの支払いにも対応しています。
料金を払うとゲートが開き、同時にバウチャーが発券されます。基本的には1 CHF分のバウチャーが出てきます。
バウチャーの使い方は、ドイツのサービスエリアと同じです。一度に利用できるバウチャーの金額に制限があるということや、利用条件がサービスエリアごとに異なるという点も、ドイツと同様です。
なお、スイスもサービスエリアの有料トイレはとてもキレイなので、安心して利用できると思います。ただし、ドイツで見たような自動回転便座は、少なくとも私が利用した範囲では存在しませんでした。
イタリアは基本無料 便座なしが標準
私たちが利用した範囲では、イタリアのサービスエリアのトイレは無料でした。
一方で清潔さについては、正直言ってドイツやスイスには及ばないレベルです。具体的には臭いが気になったり、水が流れない場合があったり、ツッコミどころが多いです。まぁ無料だから仕方ないですかね…。
また、イタリアではよくあることですが、ほとんどの便器には便座がないので要注意です。
子ども遊び場
最後に、サービスエリア内にある子ども用の遊び場についてご紹介します。
ドイツのSAは遊具が充実
今回の旅行以外でも私たちはドイツの高速道路をよく利用しますが、基本的にドイツの大型サービスエリアには、何らかの遊具や遊び場が設置されており、中には公園のような規模のものもあります。
遊び場は、だいたい食事処の屋外テラスに隣接しています。
かなり本格的な遊具もあります。
この写真だけ見たら、ここが高速道路のサービスエリアだとは思えませんよね。
なお、スイスとイタリアの大型サービスエリアにも子ども用遊び場が設置されているはずですが、ドイツほど利用しやすい場所にはなかったのか、私たちの目には留まりませんでした。今後利用する機会があれば、別途お伝えします。
まとめ
この記事では、デュッセルドルフからリヴォルノまで、スイスとフランスを経由して往復2,400kmの長距離ドライブを通じて観察した各国のサービスエリアの食事処、売店、トイレや子ども用遊び場についてお伝えしました。
【走行・運転マナー編】は以下の記事をご参照ください。
【通行料金・景色・渋滞ポイント編】は、以下の記事をご覧ください。
ドイツを中心に運転する方は、下記の記事も併せてぜひご覧ください。
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