ドレスデン旧市街のツヴィンガー宮殿にある、アルテ・マイスター絵画館を2024年12月に訪れました。目玉の展示品であるラファエロやフェルメール、ルーベンス、レンブラントなど名だたる巨匠たちの名画を紹介すると共に、これから訪問する方で「あまり時間がない」という方のために、超有名画をサクッと効率よく鑑賞するためのおすすめ情報をお伝えします。
アルテ・マイスター絵画館について
基本情報
アルテ・マイスター絵画館は、ドレスデンのツヴィンガー宮殿にある美術館で、15世紀から18世紀頃にヨーロッパで描かれた著名な絵画作品を多数展示しています。
かつてドレスデンを治めていたザクセン選帝侯アウグスト1世と、息子のアウグスト2世が17世紀後半~18世紀に収集していた貴重な美術品コレクションを中心に所蔵品が拡大していき、現在は約750点の絵画を展示するヨーロッパ有数の規模の美術館です。
- 施設名称:アルテ・マイスター絵画館(Gemäldegalerie Alte Meister)
- 住所:Zwinger Theaterplatz 1, 01067 Dresden
- 公式HP:https://gemaeldegalerie.skd.museum/
- 営業時間: 10:00~18:00(月曜休館)
- 入場料: 大人16€、17歳以下の子ども無料(2025年1月時点)
アクセス
公共交通機関で行く場合
アルテ・マイスター絵画館には、ドレスデン中央駅(Dresden Hbf)からトラム(路面電車)の3番または7番に乗ってTheateeplatz駅で下車し、そこから徒歩約2分で到着します。
車で行く場合
車で行く場合は、近くに民間の駐車場がいくつかあります。私たちもライプツィヒから車で行きましたが、下記の駐車場を利用しました。
かなり大規模な立体駐車場で、値段も24時間停めても6€と安いです。
なお、アルテ・マイスター絵画館は有名なドレスデンのクリスマスマーケット会場にも近く、徒歩10分ほどです。11月~12月に訪れる方は、絵画館とクリスマスマーケットを併せて訪問するのをおすすめします。
クリスマスマーケットについてはこちらの記事で詳しく取り上げています。
おすすめの観覧方法
チケット売場は地下
アルテ・マイスター絵画館のチケット売場は、建物の地下1階にあります。
クロークやロッカー、トイレも地下1階にまとまっています。ここに限らず、ドイツの博物館・美術館ではロッカーの利用に1€または2€コインが必要なので(返却式)、小銭を用意しておくようにしましょう。
館内地図は必ずもらおう
チケット売場の横には無料の館内地図(ドイツ語または英語)が置いてあるので、忘れずに貰うようにしましょう。館内は3フロアに分かれていてとても広く、全ての展示品を丁寧に観ていたら一日でも足りないほどです。
ガチの美術ファンの方は丸一日この美術館で過ごすでしょうが、私を含めほとんどの「にわか」層はここだけに何時間も滞在する余裕がないでしょうし、子連れだとゆっくり鑑賞するのも無理ゲーです。
そこで、限られた時間で超有名な絵画を駆け足で観るために、館内地図でお目当ての作品の場所の目星を付けておくのが得策です。
展示品のうち、「誰もがテレビ等で目にしたことがある」レベルの超有名な絵画は、下の地図で展示場所が写真入りで示されています。
地図に載っていない絵で人気のある有名どころはフェルメールの『窓辺で手紙を読む女』とルーベンスの作品群ですが、フェルメールは上記の1階地図で赤い丸で囲んであるエリア、ルーベンスの作品は黄色い丸で囲んである辺りにあります。
所要時間の目安は、地図に載っている有名作品を中心に駆け足で回って約1時間、もう少しゆっくり他の作品も観て約2時間です。
オンラインガイドツアーも便利
受付でパンフレットを貰おうとしたところ、「パンフレットは無い。代わりに公式サイトで詳しいガイドがあるので見て」と言われました。
公式サイトでは英語も選択でき、「定番15作品」など複数のツアーを選択できます。
各ツアーの中では、対象作品の展示場所や作品の概要に関する音声ガイドがあります。音声を出さずにテキストだけで解説を見ることも可能です。もちろん館内では無料WiFIも使えます。
結構詳しい解説で役に立つので、オンラインのガイドツアーはおすすめです。
1階の主な展示
オランダ人画家のコーナー フェルメール、レンブラント、ルーベンなど
アルテ・マイスター絵画館では地上階(日本式1階)から2階(日本式3階)までの3フロアにわたって作品が展示されています。
地上階は彫像の展示と特別展のためのスペースになっていますが、この記事では地上階は割愛します。
地上階から階段を上って1階に向かいます。いかにも宮殿らしい重厚な雰囲気が漂っています。
階段を上がって最初に目に飛び込んでくるのは、この絵画館のコレクションを本格的に収集しはじめたザクセン選帝侯・アウグスト1世(1670~1733)の肖像画です。
この人は「アウグスト強王」の別名で知られているほど怪力の持ち主だったと言われていますが、よく考えると強王って凄い日本語のネーミングセンスですね。私生活では350人以上の子供がいたとかで、今だったらポリコレ的に完全アウトでしょう。
先に進んで広間から左側に行くと、ルーベンスの作品が複数展示されている部屋があります。まずは『ニンフとサトゥルヌスに導かれながら酔っ払うヘラクレス』(1613/14年)。英雄もただの酔っ払いオヤジとして描かれていますね
こちらもルーベンスの作品(1635年)で、ネプチューンが荒波を鎮める場面を描いています。
左側の小部屋に進むと、15世紀の画家ヤン・ファン・エイクの『ドレスデンの祭壇画』(1437年)があります。サイズが小さいのは、ヨーロッパ各地を旅する聖職者のための携帯用祭壇画として制作されたからと言われています。
小部屋を出て左に進むと、レンブラントの作品が集められている部屋に出ます。こちらは有名な『ガニュメデスの略奪』(1635年)。うちの6歳の息子は「こどもがつれていかれてかわいそうだよ…」と言って怖がってました。
右の方の部屋に進むと、私が楽しみにしていたフェルメールの『窓辺で手紙を読む女』(1657-1659年)が展示されていました。
元々この絵では右上のキューピッドが存在しない状態で長年展示されていましたが、詳しい調査でキューピッドが塗りつぶされていること分かり、2021年に完了した修復作業で今の「真の姿」になった経緯があります。
ちなみに私はテレビ東京で20年以上前から放映されている「美の巨人たち」という番組が好きで、若い頃は毎週土曜日の夜に晩酌しながらこの番組を見るのが楽しみでした。
「美の巨人たち」では、古今東西の様々な美術作品を毎回一点ずつ紹介していくのですが、フェルメールの作品が取り上げられることが多く、それでフェルメールが好きになりました。
私は美術に関しては完全な素人ですが、フェルメールの作品は人間の情感みたいなものが艶めかしく表現されているのが魅力的です。上の『窓辺で手紙を読む女』もそうですね。
イタリア&スペイン人画家のコーナー 『システィーナの聖母』は必見
先に進みましょう。こちらは17世紀のスペイン人画家フランシスコ・デ・スルバランの『祈るボナヴェントゥラ』(1628/29年)。
新しいローマ教皇を選出するに当たり、枢機卿たち(右側の赤い服の人達)が誰を選出すべきか議論している横で、天使が神学者ボナヴェントゥラに「神が考えるふさわしい候補者」をこっそり告げる場面を描いているとのことです。
こちらの作品は、おそらくこの絵画館で一番有名なラファエロの『システィーナの聖母』(1512/13年)です。ひときわ豪華な金ピカ額縁に収められており、完全に別格の扱いですね。
下に描かれている小さな天使たちは、日本ではサイゼリヤの店内でよく飾られていることで有名ですね。
聖母の周りの雲というかモヤモヤには、よく見ると小さな天使の顔がたくさん描かれていて、なんだか心霊写真のように見えます。
ルネサンス期のイタリア人画家、ジョルジョーネの代表作『眠れるヴィーナス』(1508-1510年頃)もありました。この種の裸体画は、この絵が先駆けだということです。
同じくルネサンス期のイタリア画家コレッジョの『羊飼いの礼拝』(1528-1530年頃)。光の濃淡の使い方が印象的です。
修復作業コーナーも
このほか、1階の右端には絵画の修復作業ブースがあり、科学的な手法による慎重な修復作業が行われています。私たちが訪れた時は、コレッジョの『聖セバスティアヌスの聖母』(1524年頃)の修復作業が行われているところでした。
一点物の貴重な名画を、原画の塗料を維持したまま自然な形で修復するのは大変な苦労が伴うと思います。そしてこのような地道な作業が、不朽の名作を後世に伝えるうえで重要な役割を果たしているのでしょう。
2階の主な展示
2階に上がると、ようやくドイツの作品が登場です。こちらの絵はルネサンス期のドイツの画家ルーカス・クラナッハ(子)の『アダムとイブ』(1537)。
親子で画家だったようで、父親が同じテーマで描いたアダムとイブも展示されていました。というか、親子でアダムとイブ画を何作も残したようです。
こちらは18世紀のスイス人画家、レオタールによる『チョコレートを運ぶ少女』(1744)。
当時は貴族の飲み物だったチョコレートを、召使いの少女が慎重に運ぶ様子です。
最後に紹介するのは、18世紀のスイスで活躍した風景画家、ベルナルド・ベッロット(カナレット)の『アウグスト橋下流のエルベ川右岸から見たドレスデン』(1748年)。
エルベ川の水面の描写がまるで写真のようにリアルですね。
カフェとショップ
疲れたらカフェで軽食&休憩
アルテ・マイスター絵画館は宮殿の広大な建物を利用した美術館なので、とにかく広くて鑑賞には体力が要ります。休憩用のベンチもあまりないので、疲れたら1階の端にあるカフェで休憩するのがおすすめです。
サンドイッチやケーキなどの軽食で小腹を満たすこともできます。私たちも軽い昼食をここで食べましたが、わりと美味しかったです。ビールやワインなどアルコールも結構充実してます。
売店も充実
アルテ・マイスター絵画館の売店は、チケットと売場と同じ地下1階にあります。ここでは、作品が展示されている画家をテーマにした書籍や絵葉書、関連グッズなどがたくさん揃っています。
日本語の書籍もありました。表紙はやはり『システィーナの聖母』ですね。
まとめ
この記事では、ドレスデンのツヴィンガー宮殿にあるアルテ・マイスター絵画館で展示されている主な有名絵画を紹介しました。また、限られた時間で有名な作品を効率的に鑑賞するためのおすすめ情報もお伝えしました。
アルテ・マイスター絵画館にはラファエロの『システィーナの聖母』をはじめ、フェルメールやレンブラント、ルーベンス等の巨匠たちによる有名作品が多数展示されており、一見の価値ありです。ドレスデンに訪れたらぜひ訪問してみてはいかがでしょうか。
ドレスデン・ライプツィヒの観光関係の記事はこちらもご覧ください。
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