ライプツィヒにあるバッハ博物館を2024年12月に訪れたので、見どころを紹介します。
バッハの音楽家としての人生と功績が分かりやすく説明されているのはもちろん、実際に演奏していた楽器や有名楽曲の直筆楽譜などが展示されており、クラシックファンにとっては必見の博物館です。
同じライプツィヒにあるメンデルスゾーンハウスについては、こちらの記事で紹介しています。

バッハ博物館について

基本情報
バッハ博物館はドイツ東部ライプツィヒにある、バロック音楽の大家ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750年、以下単に「バッハ」と表記)の生涯と音楽家としての軌跡を総合的に展示している博物館です。
バッハは38歳の時にライプツィヒに家族で移り住み、65歳で亡くなるまでの27年間、ライプツィヒ・トーマス教会のカントル(教会音楽家)として活動しました。
バッハ博物館はトーマス教会の正面にあり、その建物はバッハと親交が深かった実業家・ボーゼ家が暮らしていた住居を利用しています。
- 施設名称:バッハ博物館(Bach Museum)
- 住所:Thomaskirchhof 15/16, 04109 Leipzig
- 公式HP:https://www.bachmuseumleipzig.de/en/bach-museum
- 営業時間: 10:00~18:00(月曜休館)
- 入場料: 大人10€、16歳以下の子ども無料(2025年2月時点)
アクセス
バッハ博物館は、ライプツィヒ旧市街のトーマス教会の真向かいにあり、ライプツィヒ中央駅から徒歩15分ほどです。
クリスマスマーケットの会場からも近いです。

バッハ博物館のみどころ

音声ガイドは必須
バッハ博物館を見学するに当たっては、公式アプリが提供している音声ガイドを利用するのがおすすめです。日本語の音声も選択でき、各展示コーナーの内容を詳しく紹介してくれます。

自分のスマホを使いたくないという場合は、受付で音声ガイドの端末を無料で貸してくれるので、ぜひ利用してみましょう。
端末はこんな感じで、貸出時に希望言語を聞かれるので”Japanese”を選択すれば、日本語に設定した状態で貸してくれます。

音楽一族の軌跡
バッハ博物館の展示スペースは地上階と1階(日本式2階)に分かれています。
地上階の受付でチケットを見せて入場手続きを済ますと、背後ではバッハの胸像が出迎えてくれます。

この胸像は大理石で出来ていて、60歳頃のバッハをモデルとして造られたものです。ライプツィヒで活躍していた彫刻家カール・ルードヴィヒ・ゼフナーが、1894年に発見されたバッハの遺骨のレプリカと多数の肖像画を参考にしながら制作したとのことです。
本格的な展示は1階からはじまります。最初に現れるのはバッハ家の家系図です。

この家系図はバッハが50歳の時にまとめた「音楽一族バッハ家の起源」という年代記をベースにしたもので、バッハの前後の世代を生きた男子53名の氏名と略歴が記されています。そのほとんどが音楽関係の仕事をしていたということで、まさに音楽一族という呼び名がふさわしいと思います。
ちなみにバッハ本人には20人の子供がいましたが、うち10人は幼いうちに亡くなり、残り10人のうち男子6名の名前が家系図の右端に記されています。
バッハゆかりの楽器
先に進むと、バッハが実際に演奏していたオルガンの演奏台が展示されています。

これはライプツィヒに残っているバッハが関わったオルガンの中で、現存する唯一のものということです。ただしパイプやオルガンの音響機構は失われているため、音は出ません。
このオルガンはヨハン・シャイベという職人がヨハネス教会のために制作したもので、バッハはこのオルガンについてかなり厳しい品質検査をした上で、「良好」という評価をしたといわれています。
オルガン演奏台の正面にはこのようなオルガンパイプ風のオブジェがいくつかあり、手で触れるとオルガンの音色が聴こえてくるという面白い仕掛けです。

奥に進むと、バッハの時代に使われていたオーケストラ楽器が展示されています。ひときわ目を引くこちらの大型弦楽器はヴィオローネで、コントラバスの原型と考えられています。バッハのオーケストラの中で最も大きく、最も低い音を出していました。

ほかにも現代では使われていないような弦楽器と管楽器が多数展示されています。右側にある6弦の楽器はヴィオラ・ダモーレでしょうか?

これらの楽器は、バッハの指揮のもと実際のオーケストラ演奏に使われていたということです。
そしてこの部屋の壁には各楽器を描いたパネルがあり、下のボタンを押すと楽器にスポットライトが当たり、その楽器の演奏の音がスピーカーから流れてくる仕組みです。

この時は管弦楽組曲第3番が流れていました。バッハによるオリジナルの編成に基づく演奏だそうです。
ライプツィヒでの生活と仕事
バッハがライプツィヒでどのように生活し、トーマス教会のカントル(教会音楽家)としてどのような仕事をしていたかについても詳しい展示があります。
こちらの模型は、バッハ博物館の真向かいにあったトーマスシューレ音楽学校を再現したものです。この建物は教会少年合唱団の寄宿舎も兼ねており、バッハは1723年に家族と共にここに引っ越してきて、建物内の専用住居で暮らしていたようです。

トーマス教会カントルとしてのバッハの仕事は多忙を極めていたようで、日曜礼拝、平日礼拝、葬儀、婚礼、各種催しでの演奏を取り仕切るのはもちろんのこと、最初の数年間はほぼ毎週新しい教会カンタータを作曲していました。また、コーヒーハウスで学生オーケストラとのコンサートなども定期的に10年以上続けていたそうです。
そのほか音楽学校で教師としての職務もあり、多忙な生活の合間を縫って偉大な名曲を多数作曲していたということで、才能だけでなく努力の人でもあったのだと思います。
そんなバッハが世に残した数々の名曲の中でも、傑作と言われている「平均律クラヴィーア曲集第2巻 前奏曲とフーガ変イ長調」の直筆譜面が展示されていました。音符が生き生きとしていて、躍動感を感じます。

また、バッハ家が実際に使っていたチェストも展示されています。これはバッハ家の物と特定できた唯一の家具で、バッハ家のモノグラム(紋章)が刻まれています。

このチェストは11個のかんぬきで施錠されるということですが、バッハがこれに何をしまっていたのかは分かっていません。
音響オブジェ
1階展示スペースの奥には作曲室という名前の小部屋があり、バッハの時代にあった様々なオブジェ(ベル、水筒、音叉など)を持ち上げたり振ったりすると、音が鳴る仕組みになっています。

うちの息子もいろんな音を鳴らして、ちょっとした作曲家気分になっていました。
庭園
バッハ博物館の地上階には、小ぶりながらよく手入れされた庭園があります。

庭園は、現在のバッハ博物館の建物で暮らしていた実業家ボーゼ家が18世紀初頭に作らせたものです。当時としては一般の家庭にこのような庭園があるのは珍しかったようです。
当時はこの庭園にバロック風の花壇や東屋がこしらえてあり、中央には石造りの噴水もあったとのです。バッハ家はボーゼ家と家族ぐるみの親交があったので、もしかしたらこの庭園に遊びにきていたかもしれませんね。
ショップ
バッハ博物館の地上階には、チケットオフィス兼ミュージアムショップがあります。

ショップではバッハが作曲した楽曲のCDやバッハ関連の書籍に加え、Tシャツや傘など幅広いバッハグッズが販売されています。
まとめ
この記事では、ライプツィヒにあるバッハ博物館の最新の展示内容と見どころを紹介しました。
博物館ではバッハ一族の歴史やバッハ本人の音楽家としての人生、功績、そしてライプツィヒとの関りなどが豊富な資料と共に分かりやすく解説されています。また、バッハ本人が演奏したオルガンの一部や実際に使っていた家具などゆかりの品も展示されており、クラシック音楽ファンにとっては必見の内容となっています。
ライプツィヒを訪れる機会があったら、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
同じライプツィヒにあるメンデルスゾーンハウスについては、こちらの記事で紹介しています。

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