ライプツィヒにあるメンデルスゾーンハウス(メンデルスゾーンの家)を2024年12月に訪れたので、見どころを紹介します。
メンデルスゾーンが家族で暮らした住居がそのまま残されており、名曲を生み出した仕事部屋や家族で過ごしたリビングルーム等から、天才作曲家のライプツィヒでの生活を垣間見ることができます。また、姉でピアニストでもあったファニーに関する展示も充実しています。
ハイテクを駆使したオーケストラの指揮体験コーナーでは、メンデルスゾーンの名曲を自分が指揮棒を振って演奏させるという貴重な経験もできます。かなりハマるのでおすすめです。
同じライプツィヒにあるバッハ博物館については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

メンデルスゾーンハウスについて

基本情報
メンデルスゾーンハウスはドイツ東部ライプツィヒにある、19世紀に活躍した音楽家フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ(1809-1847年、以下「メンデルスゾーン」と表記)に関する総合的な博物館です。
博物館の建物は、メンデルスゾーンが晩年2年間を家族で過ごした住居がそのまま使われています。
- 施設名称:メンデルスゾーンハウス(Mendelssohn Haus)
- 住所:Goldschmidtstraße 12, 04103 Leipzig
- 公式HP:https://www.mendelssohn-stiftung.de/en/
- 営業時間: 10:00~18:00(年中無休、12月24日と31日のみ15時まで)
- 入場料: 大人10€、18歳以下の子ども無料(2025年2月時点)
アクセス
メンデルスゾーンハウスはライプツィヒ中央駅(Leipzig Hbf)から徒歩約15分の距離にあります。
また、駅とは方向が異なりますが、旧市街のトーマス教会近くにあるバッハ博物館からも徒歩約15分なので、クラシック音楽好きの方はメンデルスゾーンハウスとバッハ博物館をまとめて訪れるのもおすすめです。
メンデルスゾーンが暮らした住居

日本語音声ガイドもあるけど微妙?
メンデルスゾーンハウスでは、受付で音声ガイド端末を借りることができます(無料)。対応言語は5か国語から選ぶことができ、なんとその中に我らが日本語もあります(独、英、仏、西、日)。

イタリア語やロシア語、ポーランド語、中国語が無いのに日本語があるとは驚きですが、スタッフによると結構日本人の来場者が多いらしいです。ライプツィヒは観光地としてはマイナーなのに、どんだけメンデルスゾーンが好きなんだ日本人…。
音声ガイドを使ってみましたが、各展示スペースでドイツ語で書かれている内容を1から10まで機械的に翻訳する感じなのではっきり言って冗長で、再生スピードも遅いので全部聞いていたらやたら時間がかかります。
展示スペースではドイツ語に英語が併記されていることも多いので、無理に音声ガイドを使わなくても良いかと個人的には思いました。
仕事部屋など
メンデルスゾーンハウスの展示スペースは地上階(日本式1階)、1階(同2階)、2階(同3階)に分かれており、主な展示エリアはメンデルスゾーン一家が暮らしていた1階にあります。
地上階から1階に上がってみましょう。1845年にメンデルスゾーンが暮らし始めた時からあるという階段を使います。

1階入口のドアを開けると、すぐメンデルスゾーンの肖像画がありました。ドイツの画家テオドール・ヒルデブラントが描いたものです。

隣の小部屋には直筆の楽譜が展示されています。

突き当りの廊下を左に進むと、メンデルスゾーンが仕事用に使っていた部屋があります。この部屋で聖譚曲のエリアや弦楽四重奏曲第6番を作曲したといわれています。狭い部屋ですが、ここで後世に残る名曲を生み出していたと思うと感慨深いです。

右側の壁には本人が描いた水彩画が多数飾られていますね。そして左側の棚の上にはバッハ(奥)と文豪ゲーテ(手前)の胸像があります。
ちなみに、メンデルスゾーンは少年時代に師事していた音楽家カール・フリードリヒ・ツェルターの紹介でゲーテのもとを訪れたことがあり、ゲーテの詩に曲を付けるなど交流があったようです。
子供と家族の部屋
廊下を挟んで反対側には、子供部屋として使っていた部屋があります。当時の様子を再現するためにリノベーション済みですが、家具は実際にメンデルスゾーン家で使っていたものだということです。

その隣には、メンデルスゾーンが家族で使っていた部屋がありました。奥には本人と妻セシルの等身大の像がありますね。


その横には家系図が掲げてあります。赤い丸で囲んであるのがメンデルスゾーン本人で、妻との間に5人の子供(男子3人、女子2人)がいました。

子供たちの中には歴史家や化学者として活躍した人もいましたが、プロの音楽家になった人はいなかったようです。
右隣に進むとメンデルスゾーンが寝室として使っていた部屋があります。ここでメンデルスゾーンは1847年11月4日に38歳で永眠しました。詳しいことは分かっていませんが、脳卒中が原因と言われています。
ここではメンデルスゾーンのデスマスクが展示されています。

その横にはメンデルスゾーンの訃報に接したプロイセン王フリードリヒ4世が、妻のセシルに宛てた手紙(を再現したもの)がありました。ドイツ語版と英語版があり、哀悼の意とメンデルスゾーンの生前の功績を称える言葉が記されています。

同じ部屋にはメンデルスゾーンの直筆の楽譜や書簡なども展示されていました。

画家としてのメンデルスゾーン
寝室から廊下に出て左に進むと、突き当りに仕事部屋として使っていたもう一つの部屋があります。ここではメンデルスゾーンが描いた水彩画が飾られています。

裕福な一家に生まれたメンデルスゾーンは幼少期から絵画の教育も受けており、各地を旅する際には欠かさずスケッチブックを携えていたようです。特にお気に入りは4回も訪れたスイスで、アルプスを描いた水彩画が多数残されています。

完全にアマチュアの域を超えている完成度だと思います。天は二物を与えまくってますね…。
姉ファニーに関する展示
2階(日本式3階)に進むと、メンデルスゾーンの3歳上の姉ファニー・メンデルスゾーン(1805-1847年)に関する展示があります。
ファニーも弟のフェリックス・メンデルゾーンと共に幼少から本格的な音楽教育を受けており、ピアニスト・作曲家として優れた才能を発揮した人です。

きょうだいで音楽家だった訳ですが、メンデルスゾーンとはお互い良き理解者・相談者として、成人してからも密に連絡を取り合っていたようです。二人の間の往復書簡はそれ自体が研究対象になるほど膨大な量が残っており、その一部はここで展示されています。
当時は女性がプロの音楽家として活動することが一般的ではなかったからなのか、ファニーが作曲した楽曲のうちいくつかは、弟名義の作品として発表されたりもしました。
メンデルスゾーンの作品ってピアノ曲にしてもオーケストラにしても、どことなく女性的な繊細さみたいなものを感じる曲が多い気がしますが、姉の影響もどこかであるのかもしれないと思いました。
さて、このフロアではファニーが音楽サロンでピアノを演奏する様子を背景にして記念撮影ができます。このようなカメラがあるので指定場所に立って撮影ボタンを押すと…

写真が出来上がります。写真はQRコードを介してスマホにダウンロードすることも可能です。

オーケストラの指揮を疑似体験
地上階(日本式1階)に戻りましょう。奥の大部屋はエフェクトリウムと呼ばれる装置があり、メンデルスゾーンの曲のオーケストラを指揮者として演奏させることができます。

まずはデジタル譜面台で演奏したい曲を選びます。この時は「夏の夜の夢」の序曲を選択。するとオーケストラを構成する13種類の楽器(パート)と、それぞれの譜面が総譜として現れます。

部屋には13本の特殊なスピーカーがあり、それぞれが13の楽器に対応しています。

チューニングの音が短く流れ、それが終わると演奏開始。備え付けの指揮棒を振ると、そのスピードに合わせて曲のテンポが速くなったり遅くなったりします。

スピーカーには各パートの音量が表示されます。特定のパートの音量を上げたり、オフにするなど細かい設定も可能です。また、楽器の編成も当時の楽器と現代のオーケストラ用編成の切り替えができます。

このような装置は初めて経験しましたが、かなり面白いです。適当に指揮棒を振っていても曲は進んでいくし、それっぽく振っていると本当に指揮者になったような気持ちになれます。
昔エアーギター(ギターの弾き真似パフォーマンス)というのが流行りましたが、これはエアー指揮とでも呼べそうです。お子さんも楽しめるので、ぜひ家族でエアー指揮のスキルを競ってみてください。
なお、この部屋の隣には視聴ルームがあり、メンデルスゾーンの数多くの作品をゆっくりと鑑賞することができます。

椅子もたくさんあるので、ひととおり館内を見学したらこの部屋で休憩がてら名曲に耳を傾けるのもおすすめです。
ショップ
メンデルスゾーンハウスの地上階入口付近にはショップがあり、CDや書籍をはじめとしたメンデルゾーン関係のグッズが揃っています。ピアノ曲のスコアも売ってました。

なんと日本語の書籍が2冊もありました。本当に日本人が多く訪れてるんでしょうね(私たちの時は遭遇しませんでしたが)。

毎週日曜はコンサートも
メンデルスゾーンハウスでは、1階にあるサロンで毎週日曜日の午前11時からミニコンサートが開かれています。ピアノや弦楽四重奏でメンデルゾーンの曲の生演奏が聴けるようです。

メンデルスゾーンが暮らしていた家で生演奏を聴けるというのは、かなり贅沢で素敵だと思うので、タイミングが合えばぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
コンサートの入場料は大人18€で、事前の予約を推奨しているとのことです。詳細は以下の公式HPを確認してください。
まとめ
この記事では、ライプツィヒにあるメンデルスゾーンハウスの最新の様子と見どころを紹介しました。
メンデルスゾーンが晩年に暮らした家がそのまま博物館として使われており、名曲を生み出した仕事部屋や家族と過ごした住居をゆっくりと見学できます。
また、オーケストラの指揮者を疑似体験することもでき、インタラクティブに音楽体験を楽しむことが出来ます。
毎週日曜日にこの建物でコンサートを開いているというのも、メンデルスゾーンが生きた時代の音楽サロン文化を引き継いでいるようで魅力的です。
ライプツィヒは音楽の都として知られており、徒歩圏内にはバッハ博物館もあります。クラシック音楽好きの方はぜひバッハ博物館も訪れてみてください。

ライプツィヒ・ドレスデンの観光関係の記事はこちらもご覧ください。
当ブログには、ドイツ旅行・観光スポットに関する記事が多数あります。地域ごとにまとめてありますので、下記リンクからご覧ください。
ドイツ生活に関する記事はこちらから。