リスボンにあるジェロニモス修道院を2025年2月に訪れました。超メジャー観光地なのでオフシーズンでも混雑しているかと思いましたが、夕方に訪問したら拍子抜けするほど空いていて、快適に見学できました。
この記事では、ジェロニモス修道院に関する最新の観光情報をお伝えすると共に、名物エッグタルトの有名店をはじめ周辺のおすすめスポットも紹介します。
また、リスボン観光に必須ともいえる「リスボアカード」についての詳しい情報もお伝えします。
ジェロニモス修道院について

基本情報
ジェロニモス修道院はリスボンのベレン地区にある修道院で、ポルトガルが繁栄を極めた大航海時代に建築されました。
15世紀から16世紀にかけて、ポルトガルはエンリケ航海王子やヴァスコ・ダ・ガマによる新規航路開拓などにより海洋帝国として世界を席巻しましたが、それらの功績を称えて当時のポルトガル王マヌエル1世が1502年から建築をはじめたとされています。
海洋貿易で得た莫大な資金を投じて建設されたこの時代の建物は、王の名前を冠した「マヌエル様式」というやたら贅沢な装飾が施されているのが特徴ですが、ジェロニモス修道院はそのマヌエル様式の最高傑作と言われています。
ジェロニモス修道院は、近隣にある「ベレンの塔」と共に世界遺産に登録されています。
- 施設名称:ジェロニモス修道院(Mosteiro dos Jerónimos)
- 住所:Praça do Império 1400-206 Lisboa
- 公式HP:https://www.museusemonumentos.pt/en/museus-e-monumentos/mosteiro-dos-jeronimos-e-capela-de-sao-jeronimo
- 営業時間: 9:30~17:30*(月曜休館)
- *最終入場は17:00
- 入場料: 大人18€、13歳~24歳9€、12歳以下の子ども無料(2025年2月時点)
- リスボアカードで入場料無料(詳細は下記参照)。
アクセス
ジェロニモス修道院は、市電15番のMosteiro Jerónimos停留所から徒歩約1分です。
あるいは、鉄道のCais do Sodré駅からCascais行きに乗ってBelém駅で下車し、そこから徒歩約10分です。
リスボアカードが便利でおすすめ

ジェロニモス修道院は、リスボアカードがあれば無料で入場することができます。
リスボアカードは観光客向けのお得なカードで、リスボン市内のほぼ全ての交通機関(地下鉄、市電、バス、鉄道、ケーブルカーなど)が乗り放題になるほか、リスボンおよび周辺地域の主な観光地51カ所の入場料が無料になります。さらに、リスボンから日帰り可能なシントラやカスカイスへの電車にも無料で乗車できます。
リスボアカードで入場料が無料になる主な観光施設(一例)は次のとおりです。
- ジェロニモス修道院
- ベレンの塔
- 発見のモニュメント
- サンタ・ジュスタのエレベーター
- サン・ジョルジュ城
- アジュダ宮殿
- 国立アズレージョ博物館
- 国立馬車博物館
- 国立海洋博物館
- リスボン博物館
- リスボン・ストーリーセンター
リスボアカードで無料・割引になる施設の最新リストは、以下の公式HPをご覧ください。
リスボアカードは有効期限が24時間、48時間、72時間の3種類のカードがあり、それぞれの値段は以下のとおりです(2025年2月現在)。
有効期限 | 大人 | 子ども(4歳~15歳) |
---|---|---|
24時間 | 27€ | 18€ |
48時間 | 44€ | 24.5€ |
72時間 | 54€ | 30.5€ |
私たちは親子3人でリスボンに3日間滞在したので、72時間のカードを購入しました。滞在中に地下鉄や市電、ポルトガル鉄道にたくさん乗ったし、ジェロニモス修道院をはじめいくつもの観光地に無料で入れたので、リスボアカードを買ってよかったです。
現地での滞在時間やどこを訪れるかによりますが、多くの方にとってリスボアカードを買った方が金額的にお得になる場合が多いと思います。また、地下鉄や市電に乗るたびにチケットを買う手間が省けますし、観光地でチケット売場の長蛇の列に並ぶ必要もないため、金銭面以外のメリットも大きいです。
リスボアカードはリスボン空港や市内の観光案内所で買えますが、事前に
オンラインで購入すると引き換えバウチャーがメールで送付されるので、リスボン空港の到着エリアにある観光案内所(Ask Me Lisboa)でバウチャーを見せるとリスボアカードを入手できます。

リスボアカードの有効期限は最初に使った時からカウントが始まるので、ご自身の旅行計画に合わせて、最初に使うタイミングをコントロールするのが良いかと思います。
ジェロニモス修道院の見どころ

夕方は待ち時間ゼロだった
私たちは夕方16時ごろにジェロニモス修道院に到着しました。ガイドブックやウェブ上の口コミでは「1時間以上は並ぶ」とか「混雑を避けるために朝イチで行くべし」などと書いてあるのでどうなるかと思いましたが、全く行列は無く、待ち時間ゼロで入場できました。
訪問時期が2月というオフシーズンだからかと思いましたが、海外の掲示板によると最近はコロナ後のオーバーツーリズムで真冬でも朝から行列しているらしいので、意外と夕方に行ってみるのもアリだと思います(確実に空いていると保証はできません)。
なお、ジュロニモス修道院の最終入場時間は17時なのでお気を付けください。ある程度ゆっくり見ても1時間もあれば十分なので、16時半に入場すれば、閉場時間の17時半まで余裕をもって見学できます。
ただし、隣接するサンタ・マリア教会は17時で閉まってしまうので注意が必要です。
2階の回廊 大航海モチーフの装飾たち
入口にある機械にチケット(またはリスボアカード)をかざすと、ジェロニモス修道院の建物内に入ることができます。

ジェロニモス修道院は2階建てで、1階部分と2階部分で別々の建築家がデザインしたという珍しい建物です。1階はディオゴ・ボイダックというフランス人の建築家が設計し、2階はボイダックの没後にスペイン人の建築家ジョアン・デ・カスティーリョが設計しました。
順路に沿って進むと、まずは階段を上がって2階から見学することになります。

ジェロニモス修道院の基本構造は、1階・2階ともに一辺55mの回廊が正方形の形で四方を囲み、その内側に大きな中庭があります。
2階の回廊はこんな感じで、リブ・ヴォールトと呼ばれる複数の交差したアーチが天井を形成しています。たくさんのアーチが一つの根元に束ねられている様子も見事です。

回廊には一辺につき6つの逆U字形の窓(アーチ)があり、中庭を見渡すことができます。

1階と2階で設計者が異なることもあり、中庭に面したアーチ部分も良く見ると雰囲気が結構違いますね。

アーチの周りや柱には、それぞれ異なるモチーフの装飾が施されています。

この修道院自体が大航海時代のポルトガルの英雄を称えて造られたこともあり、装飾のモチーフも海や船、ロープ、海藻、インドや南米の植物などに関するものが多いです。

一つとして同じデザインの柱が無いと思われるほど、多様なモチーフが採用されています。

しかし建物のスケールの大きさと装飾の豪華絢爛さは、修道院というより「王宮」と言った方がしっくりくるような気がします。

逆に言うと、宗教施設でこんなに豪華である必要があるのかという声もあると思いますが、実際ヨーロッパにはそういう施設がたくさんありますよね。それでも先人たちが豪華で美しい建築物を造ってくれたおかげで、後世の私たちが観光を楽しめているのでありがたいと思います。

問題は、ポルトガルの場合は一時期世界最強レベルの海洋帝国を築いたにも関わらず、貿易で得た莫大な富をこういう贅沢な建物の建築に費やし、国内産業の振興・保護を後回しにしたこともあり、その覇権が長続きしなかったとも言われていることです。

大航海時代におけるポルトガルの栄華の象徴のようなジェロニモス修道院を見学しながら、盛者必衰という言葉がふと頭をよぎりました。
1階食堂のアズレージョは必見
緩やかなスロープを通って1階に降りていきます。

1階の回廊から見た中庭はこんな感じ。やはり2階とはアーチの装飾が結構違いますね。

いろんなモチーフが混在してますが、全体として調和がとれているように見えるのが不思議です。

こちらの部屋はチャプタールームで、聖職者たちの会議などに使われていたとのこと。

天井アーチの複雑さがとんでもないレベルに達してますね。

さらに進むと、食堂として使われていた部屋が現れます。

この部屋の壁面には、ポルトガルの伝統装飾タイル「アズレージョ」が飾られています。

壁一面を彩るカラフルなアズレージョは圧巻ですね。これを一枚一枚タイルとして焼き上げているので、信じられないほど手間がかかってそうです。


見学を終える頃にはだいぶ日が傾いていました。夕陽に照らされるジェロニモス修道院も風情があって良いと思います。

見学後はぜひ名店のエッグタルトを
ジェロニモス修道院のすぐ近くには、ポルトガル名物エッグタルトの名店「パステイス・デ・ベレン」があります。徒歩2分ほどの距離なので、修道院の見学ついでに訪れることをおすすめします。
大勢の観光客がひっきりなしに出入りしているので、すぐ分かると思います。

中はカフェになっていてテーブルで注文することもできますが、混雑していたのでテイクアウトにしました。テクアウトならすぐ買えます。

店の前で立ち食いしている人もたくさんいますが、私たちは座りたかったので大通りを挟んで反対側にある公園のベンチで食べました。紙の容器のデザインが大航海時代っぽくておしゃれです。

エッグタルトは焼き立てで温かく、外はサクッとしていて中はしっとりで、クリームはコクがあるけどしつこくなく、何個でも食べられそうでした。大満足です。

周辺のおすすめスポット
ジェロニモス修道院から徒歩圏内には、有名な観光スポットがいくつかあります。時間に余裕があれば一緒に見学するのも良いと思います。
まずはベレンの塔。16世紀前半に建設され、要塞・灯台として使用されてきた施設です。

私たちが訪れた時はかなり並んでいたので外から写真を撮るだけにしましたが、建物の内部を見学することもできます。リスボアカードがあれば入場無料です。

ちなみにこの時は2月ですが、目が覚めるような空の青さは真冬とは思えないですね。私たちが住んでいるドイツは秋~冬にかけて毎日灰色の曇天で気が滅入るので、この青空を見られただけでポルトガルに来て良かったと思えます。気温も15℃近くあったので、極寒のドイツから来たらもはや夏ですね。
ベレンの塔へは、ジェロニモス修道院から大通りを挟んで徒歩15分ほどです。
同じくテージョ川沿いには、発見のモニュメントもあります。ベレンの塔から徒歩15分弱の距離です。

私たちは時間の関係で外から見るだけでしたが、入場料を払えば展望台に上ることもできるようです(リスボアカードがあれば無料)。
ちなみに「発見(discovery)」という名称を使っていますが、大航海時代の「英雄」たちが辿り着く前から当然インドや南米大陸、もちろん日本も存在していて、そこに先祖代々暮らしている人々がいたので、「発見」という考え方はヨーロッパ中心主義にもほどがあると思います。
それはさておき、テージョ川沿いは開放的な雰囲気で緑が多く、天気が良ければただ散歩をしているだけで気持ちが良いです。ベレンの塔から西に進むと、印象的なデザインのモニュメントがありました。

これはポルトガルの海外植民地で命を落とした兵士を追悼するための施設だということです。
テージョ川沿いには他にもこのような飛行機のオブジェがあったりして、散歩していて飽きません。

近くにはピニャコラーダの屋台も出てたりしたので、休憩がてら一杯もいいかもしれませんね。
まとめ
この記事では、ジェロニモス修道院と周辺エリアのおすすめ観光情報を、私たちの体験と共に紹介しました。
ジェロニモス修道院は一年中混雑していることで知られていますが、私たちが夕方に訪れた時はすんなり入場することができました。
リスボンは限られた観光名所に人が集中するため有名スポットでは混雑することが多いですが、リスボアカードがあればチケット売場に並ぶ必要もなく、交通機関も乗り放題なのでおすすめです。切符やチケットを都度購入する手間と時間も節約できます。
ポルトガル旅行に関してはこちらの記事もありますので、ぜひご覧ください。
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