2025年2月に親子3人でポルトガルを旅行した際、リスボンからシントラ、ロカ岬、カスカイスまで日帰りで訪れました。移動は電車やバス、Uberを組み合わせましたが、現地では想定以上に時間がかかることが多く、またガイドブックの情報も当てにならない場面が結構あり、余裕を持ったスケジュールと最新情報の収集が大切だと思いました。
この記事では、リスボンから日帰りでシントラやロカ岬を訪れようとしている方に向けて、私たちが実際に辿ったルートや所要時間を紹介すると共に、現地での観光で留意すべき点を経験談も交えてお伝えします。
全体のスケジュール

まずは私たちがリスボンからシントラ、ロカ岬、カスカイスまで日帰りで旅行した際の全体的なスケジュールを紹介します。移動時間・所要時間の参考にしてください。
それぞれの行程は後ほど詳しく説明します。
いきなり「出発時間遅すぎだろ…」とツッコミが入りそうですが、ホテルに忘れ物をしてしまったので出発が遅れました。普通は8時台の電車に乗る人が多いと思います。
どの駅から乗車するかにもよりますが、リスボン市内からシントラ駅までは40分程度で到着します。
ペーナ宮殿のチケットは事前に10:30のスロットを予約していたので、バスでは間に合わないと思い駅からはUberを使いました。
ペーナ宮殿の敷地入口(車の乗降場所)から実際の宮殿入口までは坂道を15分近く上る必要があり、ギリギリでしたが、走って何とか10:30までに宮殿入口に到着しました。
当日は霧が濃くて下界を見渡すことは出来ませんでしたが、宮殿自体は素晴らしかったです。
再びUberで市街地に戻り、レストランでランチ。
シントラの中心地からレガレイラ宮殿までは徒歩20分ほどです。
摩訶不思議な造りの宮殿と洞窟は、子供も大興奮でした。
レガレイラ宮殿前から1253番のバスでロカ岬へ。所要時間約35分。
いきなり雨が降ってきて風も強かったので、記念撮影だけして退散しました。
1624番のバスでカスカイスに向かいました。バスは30分おきです。カスカイスでも天気が悪かったので、特に観光はしませんでした。
カスカイス駅から電車でリスボンのCais do Sodré駅に戻りました。所要時間40分弱です。
シントラ~ロカ岬~カスカイス日帰り観光の詳細
上で記載した旅程を詳しく紹介していきます。
リスボンからシントラへ

リスボンからシントラへは、ポルトガル鉄道のシントラ線で行くことができます。ガイドブックや旅行サイトではリスボンのロシオ(Rossio)駅から乗車すると書いてあることが多いですが、シントラ行きはロシオ駅発の電車と、空港近くのオリエンテ(Oriente)発の電車があり、どちらを利用してもOKです。
ロシオ駅からシントラに行く場合
平日: シントラ行きの直通電車が30分間隔で、乗り換えが必要な電車が30分間隔で出ています(どちらかには15分おきに乗れる)。
土日: シントラ行きの直通電車が60分間隔で、乗り換えが必要な電車も60分間隔で出ています(どちらかには30分おきに乗れる)。
所要時間は直通電車が約40分、乗り換えが必要な場合はトータル50分ほどです。
オリエンテ駅発の電車を利用する場合
オリエンテ駅発シントラ駅行きの電車は、基本的に直通です。平日は10分おき、土日は30分おきにシントラ行きの電車が出発しています。
オリエンテ駅は中心部から離れているので、ほとんどの人は始発電車ではなく、途中の駅から乗ることになります。利用しやすいのは地下鉄グリーンラインと接続しているRoma駅、イエローラインと接続しているEntre Campos駅、ブルーラインと接続しているSete Rios駅でしょうか。
ちなみに私たちはSete Rios駅からシントラ行きの電車に乗りました。所要時間は約35分です。
どちらの電車を利用するかは、ご自身が宿泊しているホテルから便利な方を選べばよいと思います。Google Mapで検索すれば最速のルートが出てきますが、念のためポルトガル鉄道の公式HPで最新のダイヤを調べるのをおすすめします。

なお、リスボン~シントラ間の電車はリスボアカードがあれば無料で乗車できます。リスボアカードの詳細は、こちらの記事をご覧ください。

ペーナ宮殿

バスとUberどっちが良い?
シントラ駅からペーナ宮殿までは周遊バス434番を利用する人が多いようですが、私たちは駅からUberで行きました。片道6~8€とかなり安いです。周遊バスの一日チケットが15.2€ということを考えると、複数人で訪れる場合はUberの方がお得だと思います。
シントラは観光地なのでかなりたくさんのUberが走っていて、私たちの時は待ち時間も少なく乗車できました。バスと違って確実に座れるのも大きいです。
シントラ駅からペーナ宮殿の敷地入口(チケット売場)までは、Uberでくねくね山道を上って15分ほどでした(道路状況により大幅に前後します)。
チケットは時間指定制
ペーナ宮殿への入場は時間指定制です。チケットは当日に現地で買うこともできますが、事前にネットで予約(時間指定)した方が良いです。チケット売場は長蛇の列で買うまでに1時間以上並ぶこともざらだし、ようやく買えたチケットの入場指定時間が5時間後ということもあります。ペーナ宮殿は山の上にあり、周りには何もないので時間を潰すこともできません。素直にネットでチケットを予約しておきましょう。
\ 事前予約は必須 /
本当の入口はまだまだ先
Uber(またはバス)を降り、入口でチケットを見せて宮殿の敷地内に入っても、実はペーナ宮殿の建物への入口はここからさらに15分ほど歩く必要があります。しかもかなり急な登り坂なので、歩きなれてない人や体力が無い人だと20分ほどかかるかもしれません。

なお、入場チケットを買う際に追加料金を払って「シャトルバスに乗車できるタイプのチケット」を購入すれば、建物入口まで歩かなくて済みますが、シャトルバスも混雑していて乗れないことがあります(私たちの時もそうでした)。シャトルバスにはあまり期待しない方が良いと思います。

宮殿の見学
ペーナ宮殿は、ポルトガル女王マリア2世と結婚したフェルディナンド2世が19世紀中頃に建築させた宮殿で、黄色を多用するなど奇抜な外観で知られています。

外観のインパクトに負けず、宮殿の内部もゴシック、ルネッサンス、イスラム様式などが融合した興味深いデザインと装飾が目を引きます。

ダイニングルーム、王の寝室、書斎などが保存状態良く残されており、見どころ満載です。




所要時間は、人の流れに乗ってひと通り見学して約1時間といったところです(チケット売場からの往復を含めると1時間半)。
宮殿の外には展望エリアもあり、天気が良ければ大西洋まで見渡せるようですが、この日は霧が濃くて何も見えませんでした。残念です。

シントラでランチ 地元の魚介に舌鼓
ペーナ宮殿を見学した後は、シントラの中心部へ戻るため再びUberを呼びました。時間がかかるかと思いましたが、10分ほどで到着。街中から宮殿まで観光客を乗せてきた車で、入れ替わりで私たちを乗せてくれたようです。料金はなんと6€でした。
10分ほどで街中に到着し、ランチを食べるためにやって来たのはこちらのお店タチョ・レアル(Tacho Real)です。
春節の時期だったので某国の団体客で混雑してましたが、予約なしで入ることができました。
私が頂いたのは、スズキのような白身魚(名前は失念)のグリルとポテトのロースト。香ばしく身がふっくらした魚は地元の白ワインと相性抜群でした。

妻が注文したのはバカリャウ(干しダラ)をフライにしたものと、いくつかの野菜の付け合わせ。シェアしてもらいましたが、これは名前のとおりバカうまでした。タラの旨味とサクサク感がくせになります。

デザートにはシントラ名物のケイジャーダ(チーズケーキ)を頂きました。チーズのコクはありながらもクセがなく、甘すぎなくて好みの味でした。

ランチの後は、少しだけシントラの街を散策してみました。昔タモリさんも何かの番組で言ってましたが、やはり坂がある街は魅力的な所が多いと思います。

何気なく覗いてみたお土産物屋では、ポルトガルらしい可愛い商品がたくさんありました。


レガレイラ宮殿
シントラの市街地からレガレイラ宮殿までは、徒歩20ほどの距離です。坂道が多いので人によって所要時間は前後すると思います(私たちは幼児連れなので時間がかかりました)。
レガレイラ宮殿はペーナ宮殿ほど混雑してないと聞いていたので、私たちは事前にチケットを購入していませんでしたが、待ち時間5分ほどでスムーズにチケット購入&入場できました。

レガレイラ宮殿は、20世紀前半にアントニオ・モンテイロという実業家が建築させた宮殿です。先に紹介したペーナ宮殿と同じく、ゴシック、ロマネスク、マヌエル様式など多様な建築様式が融合した奇抜なデザインの建物や庭園で知られています。

趣味が良いのか悪いのか、よく分からない装飾が散見されます。

レガレイラ宮殿で最も有名なのは、地下洞窟に続く謎のらせん階段でしょう。苔むしたらせん階段は27メートル下の底まで続いており、今にもモンスターとエンカウントしそうな怪しい雰囲気が漂ってます。

階段の周囲には23個の窓があり、そこから底を覗き込めます。

底から入口を眺めた様子です。底の中心部は立入禁止ですが、スマホのカメラを反転にして手を伸ばせばこのような写真が撮れます。

降りた先は洞窟になっており、RPGのダンジョンのようにいくつか分岐があります。

しばらく歩いて行くと、滝つぼの裏側のような所に出ました。

レガレイラ宮殿は何とも珍妙な空間ですが、視覚的に面白さが分かりやすいので、お子さんにとってはペーナ宮殿よりもこっちの方が楽しめると思います。
レガレイラ宮殿の敷地は広く急坂や階段も多いので、見学には時間がかかります。ある程度満遍なく見て1時間半、らせん階段の洞窟を中心にサクッと見学しても1時間程度はかかると思った方が良いでしょう。
ロカ岬
レガレイラ宮殿を見学した後は、路線バス1253番でユーラシア大陸最西端のロカ岬に向かいました。バス停は宮殿の入口前にあります。

バスは20~30分間隔で運行しています。料金は確か大人4.5€ほどで、乗車時にバスの運転手に直接支払います。私たちが乗車したバスはクレジットカードは使えないと言われ、現金のみでした。
バスはカーブが続く細い山道を爆走し、35分ほどでロカ岬に到着。
バスを降りたら、まずは帰りのバスの時刻表を確認した方が良いと思います。シントラ行きもカスカイス行きもおおむね30分おきに出発するので、その時間に合わせて行動するのをおすすめします。

「ユーラシア大陸最西端到達証明書」を取得しようと考えている方は、はじめにツーリストオフィスで証明書の発行を申し込んだ方が良いと思います。私たちの時は空いてましたが、団体客が来ると順番待ちが出来てバスの時間に間に合わない恐れがあります。
証明書は11€でした(2025年2月時点)。息子の名前で発行してもらいましたが、名前と日付の部分はちゃんと手書きです。

裏面には、証明書の内容が各国語で書かれています。ちゃんと日本語もありますね。

外に出ると、本降りの雨と強風が吹き荒れており、海からの塩水を巻き上げてとんでもないことになってました。

傘をさしている人もいましたが、横殴りの雨なので全く役に立ちません。どんどん全身が濡れていきます。

天気が良ければ真っ青な大海原が広がっているはずですが、自然には勝てませんね。

有名な「ここに地果て海始まる」が刻まれた石碑で記念撮影をして、すぐに屋根があるツーリストオフィスに戻りました。

ピニャコラーダの屋台もありましたが、もちろん客はゼロです。というか店番の人すらいませんw。

バスを待っている間、甘栗を売っているおじさんがいたので、子供のおやつとして買いました。一袋3.5€です。

日本で買う天津甘栗ほど美味ではないですが、それなりに甘みがありました。ドイツのクリスマスマーケットで売ってる栗よりはおいしかったです。

カスカイス
ロカ岬からは1624番のバスに乗って、港町カスカイスに向かいました。運賃は一人2.6€で、現金払いのみ。バスにはロカ岬を訪れた観光客が一斉に乗るので、座れない場合もあります。
バスは時刻表どおりに出発し、35分ほどでカスカイス駅近くの停留所に到着しました。
カスカイスはきれいなビーチと新鮮なシーフード料理で知られていますが、この日は雨が降っていたし、息子も疲れていたのでそのままリスボンに帰ることにしました。
バス停から2分ほど歩いてカスカイス駅へ向かい、Cais do Sodré行きの電車に乗ってリスボンに戻りました。所要時間は約30分。

なお、カスカイス~リスボン間の電車には、リスボアカードがあれば無料で乗車できます。
気を付けたいこと5つ
リスボンからシントラ、ロカ岬、カスカイスを一日で巡るルートを紹介してきましたが、私たちの体験を基に、日帰り観光をする際に気を付けたい点を共有します。以下の5点です。
- 予定を詰め込みすぎない
- ペーナ宮殿は絶対オンライン予約する
- 電車やバスは常に最新情報をチェック
- シントラ観光はハイキングのつもりで
- 現地ネット環境は必須
それぞれ見ていきましょう。
予定を詰め込みすぎない

リスボンから日帰りでシントラ~ロカ岬~カスカイスまで行って帰ってくる場合、ちゃんと「観光」しようと思うとシントラで訪れるスポットは2カ所までが現実的だと思います。シントラは坂道ばかりで交通手段も限られているため、何をするにも想定以上に時間がかかるし、体力も消耗します。
私たちも最初はペーナ宮殿と王宮、レガレイラ宮殿の3カ所を訪れる予定でしたが、ペーナ宮殿を見学し終わった時点で3カ所は無理だと悟り、王宮はパスしました。
ただし、外観だけを眺めてすぐに次の目的地に行く、というスタンプラリーのようなスタイルであれば3カ所以上の訪問も可能かもしれません(そういうスタイルが楽しいかは別ですが)。
ペーナ宮殿は絶対オンライン予約する

記事の前半でお伝えしたように、ペーナ宮殿の入場は時間指定制な上に、当日のチケット購入は不確実性が高いので、絶対に事前にオンライン予約すべきです。
そして予約時間に宮殿の建物入口に必ず到着するように、余裕をもってスケジュールを組むべきです(指定時間を過ぎると入場できない)。
バスやUberの降車場所(チケット売場付近)から宮殿の建物入口までは、徒歩15~20分ほどかかるので注意が必要です。例えば予約したチケットの指定時間が10:30だとしたら、10:10までにはチケット売場に到着するようにするのが安全です。
\ 事前予約は必須 /
電車やバスは常に最新情報をチェック

リスボンからシントラやロカ岬方面に遠征する場合、多くの人は電車やバスを利用すると思いますが、ガイドブックに載っている交通情報は参考程度にとどめて、自分で鉄道会社の公式HPなどで最新情報を収集した方が良いです。
例えば、日本人に人気の某ガイドブックの2024~2025年版には「リスボンのロシオ駅からシントラへの電車が15分~20分おきに運行」と書いてありますが、私たちが訪れた2025年2月時点では土日は30分おきの運行だったし、直通電車に限ると土日は60分に一本でした。
ガイドブックよりはGoogle Mapのルート検索結果の方がより最新情報である可能性が高いですが、Google Mapの情報も古い場合があるので注意が必要です。
リスボン~シントラ間の電車の最新ダイヤは、ポルトガル鉄道のHPで確認できます(英語表記あり)。
シントラ観光はハイキングのつもりで
シントラの観光地はペーナ宮殿にしろレガレイラ宮殿にしろ、山道・坂道ばかりでちょっとしたハイキングだと思った方が良いです。徒歩で移動する場合は、地図アプリで出てくる所要時間の2倍はかかると思った方が安全だと思います。
また、坂道が多いので歩きやすい靴や服装をおすすめしますし、夏は大量に汗をかくので水分補給も充分にしましょう。
現地ネット環境は必須
シントラ~ロカ岬を訪れる方は、一度に複数の目的地を訪問する場合がほとんどだと思います。その際に、現地で観光スポット間を移動するにはGoogle Map等の地図アプリが欠かせませんし、Uberを使いこなすと旅がぐっと便利になります。
そのためには、現地でスマホのデータ通信環境を用意するのが必須です。現地でスマホを使うには、物理カードが不要で設定も簡単なeSimが便利です。
海外旅行におけるeSim活用については、こちらで詳しく取り上げています。

無理せずツアー参加もあり

ここまで、リスボンから自力でシントラ~ロカ岬~カスカイスに日帰り旅行する際のお役立ち情報をお伝えしてきましたが、特にシントラは移動だけでやたら時間と体力を消耗するし、はっきり言って自力で全て手配するのはだるいです。
旅行の下準備にあまり時間を割けない人もいるでしょうし、限られた時間で効率よく楽に観光地を周りたいという人もいると思います。あるいは、小さなお子さん連れだと全て公共交通機関で移動するのも大変です。
そんな場合は、現地発の一日ツアーに参加するもありだと思います。リスボンを朝に出発して、シントラで2~3カ所の宮殿を回り、ロカ岬にも訪れるようなツアーがいくつかありますので、ご自身の希望に合うツアーを探してみてはいかがでしょうか。
\ ツアーならあんしん /
まとめ
この記事では、リスボンからシントラ、ロカ岬、カスカイスを日帰りで観光する際のお役立ち情報を、私たちの体験談を交えてお伝えしました。
シントラのペーナ宮殿やレガレイラ宮殿はいずれも素晴らしいですし、ユーラシア大陸最西端のロカ岬も(天気が良ければ)忘れられない思い出になると思います。
一日で複数の観光スポットを効率良く回るには事前の下調べが重要なので、ぜひこの記事を参考にして良い旅を楽しんでください。
ポルトガル旅行に関してはこちらの記事もありますので、ぜひご覧ください。
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