ドイツのポツダム市にある世界遺産「サンスーシ宮殿」を2024年10月に訪れたので、最新の観光情報と見どころなどをご紹介します。
サンスーシ宮殿は、18世紀のロココ様式の優雅さを備えつつもこじんまりとした控えめ感があり、この宮殿を建設させたフリードリヒ2世の趣味の良さが際立っていて、一見の価値ありです。ベルリンから日帰りで観光可能です。
サンスーシ宮殿について

宮殿の概要
サンスーシ宮殿(Schloss Sanssouci)は、首都ベルリンにほど近いブランデンブルク州ポツダム市にある宮殿です。プロイセン王国の王だったフリードリヒ2世が夏の間の居所として建設させたもので、わずか2年の建築期間で1747年に完成しました。
サンスーシ宮殿の内装は花や植物の葉、貝殻などをモチーフにした優雅な曲線のデザインに加え、金細工を多く使った装飾を多用するなど、当時のヨーロッパ宮廷建築で流行していた「ロココ様式」の代表的な建築物として知られています。周辺の宮殿や庭園と合わせて「ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群」として、1990年に世界遺産に登録されています。
なお、サンスーシ(Sanssouci)はフランス語で「憂いなし」という意味で、日本語では「無憂宮」と呼ばれることもありますが、この記事ではサンスーシ宮殿の呼称で統一します。
以下、この記事で紹介するサンスーシ宮殿や庭園についての説明は、主に筆者が現地を見学した際の音声ガイドの内容および、サンスーシ宮殿公式アプリにおける施設紹介の内容を参照しています。
基本情報
サンスーシ宮殿の基本情報は次のとおりです。
- 施設名称:サンスーシ宮殿(Schloss Sanssouci)
- 住所:Schloss Sanssouci Maulbeerallee, 14469 Potsdam
- 公式HP:https://www.spsg.de/en/palaces-gardens/object/sanssouci-palace
- 開館時間
- 4~10月:火~日曜日は10:00~17:30、月曜定休。
- 11~3月:火~日曜日は10:00~16:30、月曜定休。12月24、25日は閉館、26日、31日、1月1日は短縮営業(詳細は上記公式HPを参照)
- 入場料(2024年10月時点)
- サンスーシ宮殿のみのチケット: 大人14€、学生(7歳以上)10€、6歳以下の子ども無料。現地窓口でのみ購入可。
- サンスーシ・プラスチケット*: 大人22€、学生(7歳以上)17€、6歳以下の子ども無料。現地窓口またはオンラインで購入可。
*サンスーシ宮殿に加え、ツェツィーリエンホーフ宮殿など周辺の主要観光施設に入場可。詳細は公式HPを参照。
なお、サンスーシ宮殿への入場は時間指定制です。チケット購入時に空いている時間枠を指定する必要がありますが、土日は混雑しており、現地のチケットオフィスで購入する場合は数時間先の枠まで空きがないこともあります。可能な限り、オンラインで事前に時間枠を指定してチケットを購入しておくことをおすすめします。
行き方
公共交通機関で行く場合
ベルリン中央駅(Berlin Hbf)から電車で行く場合、まずはSバーンのS7またはRE1でポツダム駅まで行きます。
ポツダム駅からはバスの605、614、 650または 695番に乗り、「Potsdam, Schloss Sanssouci」停留所で降りてから徒歩5分弱です。
ベルリン中央駅からトータル1時間半弱で到着します。
車で行く場合
車で行く場合は、ベルリンの中心部から約1時間弱です。サンスーシ宮殿には大きな有料駐車場があります。
サンスーシ宮殿の見どころ
外観と庭園

サンスーシ宮殿を建設させたフリードリヒ2世は、プロイセンの偉大な王として軍事的・政治的に大きな功績を残していますが、私生活では芸術や自然を愛し、学問に秀で、歴史や文学、哲学に関する多数の著作を世に送りだしたことで知られています。
そんな芸術家・学者としての一面も持っているフリードリヒ2世が、自らの趣味・嗜好を余すところなく反映させ、落ち着けるプライベートな空間として建設したのがサンスーシ宮殿です。
宮殿の大まかな構造については、自らスケッチしたデザイン図を基に建築家に設計させたと言われており、実際の宮殿もフリードリヒ2世のデザインを踏襲する形で建設されました。

画像引用: Sanssouci公式アプリより
サンスーシ宮殿は同時代のヨーロッパの宮殿と比べて小規模で、建物は平屋で幅は約100m、部屋数は12しかありません。上の図では、下が南側で瀟洒なぶどう畑の庭園に面しており、フリードリヒ2世の居室やダイニングルーム、客室なども南側の庭園に面しています。
南側の庭園から見た宮殿は以下のようになっており、中央にあるドームの下には「Sans, Souci.」と刻まれています。あえてカンマとピリオドを入れている所にフリードリヒ2世のこだわりを感じますね。

宮殿南側からは、このように庭園が見渡せます。6段のテラスの先には円形の噴水があり、とても開放感があります。

当時この庭園はぶどう畑だったようですが、いまでも多少ぶどうの木が栽培されています。
宮殿の北側は、コリント式の88個の柱で作られた半円形の回廊が宮殿の両端をつないでいます。

観光客用の入口やショップは、こちらの宮殿北側にあります。
玄関ホール
チケット購入時に指定された時間に北側入口に行き、チケットを見せると宮殿の中に入ることができます。入口では音声ガイドの端末を借りることができ、日本語を選ぶこともできます。
入口を過ぎて最初に現れるのは、宮殿中央部にある玄関ホールです。

ホールの右側には、ギリシャ神話に登場する戦いの神アレースの彫像があります。フランス国王ルイ15世から寄贈されたようです。

天井にはローマ神話に登場する花と植物の神、フローラを描いた絵画があります。周りでは天使たちがバラの花びらを散りばめています。

玄関ホールの奥は大理石ホールに続いており、ドアの上には酒の神バッカスと従者が描かれています。また、中央ドアの左右にあるドアの上にはぶどうをモチーフにした装飾があります。

前述のとおり、サンスーシ宮殿の庭園にはぶどう畑があり、フリードリヒ2世がこの宮殿を「ぶどう畑の邸宅」のように呼んでいたことから、ぶどうのモチーフは宮殿の内装で繰り返し登場します。
ギャラリー
玄関ホールから左側(東側)に進むと、細長いギャラリーがあり、18世紀のフランスの画家たちの絵画や彫刻などが展示されています。

壁と天井は「いかにもロココ様式」という感じの植物をモチーフにして曲線を多用したデザインで、部屋全体が優雅な金細工に彩られています。
ブドウのモチーフも随所に見られます。

絵画は人々が自然の中で人生を楽しむようなテーマが多く、フリードリヒ2世の嗜好を反映していると言われています。

ギャラリーに設置してある長イスは座面の奥行きが極端に短いですが、これらのイスは座るためのものではなく、ギャラリーのスペースを広く見せるための演出として置かれているためです。

絵画と絵画の間には、古代ギリシャ・ローマ世界の神々の彫像が置かれてあり、さながら美術館のようです。

図書室
ギャラリーを抜けて左側の細い通路を進むと、宮殿の図書室があります。
図書室は、フリードリヒ2世が誰にも邪魔されずにゆっくり読書と思索に耽るために作った部屋です。宮殿の他の部屋からは独立した造りになっており、本人と執事のみが入ることが許されていたようです。そして現在も一般客が入ることができないので、入口ドアから中を覗くしかありません。

ちなみにドアの内側は、本棚と一体となるようなデザインになっているとのことです。
図書室には2,000冊以上の蔵書があり、ジャンルも文学作品から歴史、建築、政治、自然科学など多岐に渡っていたようです。

なお、フリードリヒ2世はかなりの読書家として知られており、自分の本コレクションをいつでも楽しめるように、この図書館の蔵書と同じ本たちを他の5つの住居でも揃えていたというから驚きです。
執務室兼寝室
図書室の反対側の通路を進むと、フリードリヒ2世が執務室兼寝室として使っていた部屋があります。

フリードリヒ2世はサンスーシ宮殿に滞在中、この部屋で仕事をこなし、夜は愛犬たちに囲まれて寝ていたそうです。
こちらのアームチェアはリクライニング機能がついており、呼吸困難のため背筋を伸ばして寝れなかった最晩年のフリードリヒ2世は、この椅子をベッド代わりにしていました。

そしてこの椅子で眠ったまま、74歳の生涯を閉じました。
執務室の奥のスペースには、フリードリヒ2世がアームチェアの上で亡くなった際の様子を描いた絵画があります。

その近くには、父のフリードリヒ1世と母のゾフィー・ドロテアの肖像画があります。

音楽室
先に進むと、音楽室(Music Room)に続いています。フリードリヒ2世は毎晩この部屋で音楽家の演奏を聴いたり、自身も楽器を演奏していました。

この部屋の内装はロココ様式のエッセンス全開という感じで、壁から天井にかけてこれでもかと植物や貝殻風のモチーフを、金細工で豪華絢爛に散りばめています。

そして音楽室の名のとおり、楽器をモチーフにしたデザインも多数あります。

芸術を愛していたフリードリヒ2世は自身も音楽家として活動しており、120曲ものフルートソナタを作曲していました。音楽室には当時のフォルテピアノが残されており、その上にはフリードリヒ2世が愛用していたフルートが置かれています。

ダイニング兼謁見の間
音楽室の隣は、会食や謁見のために使われていた部屋(Audience and Dining Room)です。

この部屋にはたくさんの絵画が飾られており、そのほとんどはギャラリーに展示されていたものと同じく18世紀のフランス画家による作品です。絵のテーマは文学、神話、歴史など様々です。

暖炉の左隣にはチェストのように見える家具がありますが、実はこれは薪を入れておくためのものです。引き出しは飾りで、左右のドアが開く構造になっているとのことです。

フリードリヒ2世はサンスーシ宮殿に滞在中、この部屋で客人たちとディナーテーブルを囲んで食事と議論を楽しんでいたようです。晩餐には大体7~10人の友人が招かれ、フランスの哲学者ヴォルテールをはじめ仲の良い作家、医師、数学者などがよく参加していたとのことです。
なお、当時のヨーロッパ貴族階級の例に漏れず、客人とはフランス語で会話していたと言われています。フリードリヒ2世自身、ドイツ語よりもフランス語の方が堪能だったようです。
大理石ホール
続いては、宮殿の真ん中にある大理石ホール(Marble Hall)です。この部屋は玄関ホールから直接入ることが出来て、主にパーティやお祝いのために使用されていたようです。

部屋の名前の由来でもある大理石の柱はイタリアから取り寄せたもので、一本一本が一つの石から出来ていています。
また、床にはブドウの木の蔓などをモチーフにしたと思われるデザインが施されています。

ドーム型の天井の中央からは、ローマのパンテオンのように光が差し込むデザインとなっています。

天井にはサンスーシ宮殿の一貫したテーマである植物や楽器をモチーフにした金細工があしらわれています。ドームの「ふち」の部分に配置された天使たちの彫像は、それぞれ天文学や建築、音楽、美術などを表しています。
水晶のシャンデリアもとても優雅です。

この部屋には大理石で作られたアポロとヴィーナスの像があります。

アポロが手に持つ書物にはラテン語でメッセージが刻まれており、「自然を詩で表現する手助けを」というような意味だそうです。

第一の客室
ここから先はサンスーシ宮殿の西側ウイングで、客室が続きます。ちなみに大理石ホールを挟んだ東側ウイング(今まで紹介してきた部屋)は、フリードリヒ2世自身が主に使用していたエリアになります。
一般的な宮殿だと、王様が使用するエリアの反対側は王妃のエリアになっていますが、フリードリヒ2世は妻と別居していたため、反対側の西側ウイングは客室エリアになっていました。
客室全体に言えることですが、フリードリヒ2世自身が使用していた部屋に比べると、内装は少し簡素です。例えば天井は白く塗られているのみで、これまで見てきた部屋のような豪華な金細工はありません。

この部屋(第一の客室)の特徴は、中国をモチーフにしたデザインが随所に用いられていることです。

部屋の中央奥のくぼんだ部分は、ベッドを設置するためのスペースです。

ベッドスペースの左右にはドアがあります(絵画の下がドア)。一つは当時トイレとして使用していたchamber pot(おまるのようなもの)が設置されたスペースに続いており、もう一つのドアは使用人の部屋に続いていました。
なお、各客室は南側の庭園に面しており、客人たちは庭園側から直接客室に出入りしていたようです。
第二の客室
こちらの客室は壁の装飾がほとんどないシンプルなデザインで、代わりに絵画がたくさん掛けられています。

部屋の基本的な造りや大きさは、前の部屋とほとんど同じです。基本的に青と白を基調としたすっきりしたデザインです。

第三の客室
こちらの客室も、前の部屋と同様に壁の装飾は最低限で、代わりに多数の絵画が飾られています。

絵画の多くはイタリアのヴェニスやローマを描写したものです。

フリードリヒ2世は、同時代の貴族たちとは異なり南ヨーロッパへ見聞を広めるための旅に出る機会が無かったため、代わりに絵画を見て現地への思いを馳せていたと言われています。
こちらの磁器の花瓶は、フリードリヒ2世が治めていたプロイセン王国の隣のザクセン公国で作られたものです。

ちなみにザクセン公国では、18世紀はじめにヨーロッパで初めて磁器製品の工場が建設されたという経緯があるようです(それ以前は全て中国から輸入)。
第四の客室
最後の客室は、これまでの部屋とは一線を画したカラフルさと賑やかさです。

壁が黄色という時点で異色ですが、さらに壁と天井にはたくさんの草花や果物、動物たちをモチーフにした装飾があり、それぞれが本物そっくりの色で塗られています。
なんとシャンデリアまで草花のモチーフです。

果物の装飾は、ぶどうはもちろん、桃、アプリコット、さくらんぼなどがあり、いずれも18世紀当時にサンスーシ宮殿の庭園で栽培されていました。

フリードリヒ2世がはさくらんぼが好物で、たった一粒のために現在の価値で100€以上払うこともあったようです。
猿の装飾もユニークです。

なお、この部屋にはフリードリヒ2世の友人でフランスの哲学者ヴォルテールが度々泊まっていたようです。
以上で宮殿の見学は終了です。音声ガイドをゆっくり聞きながら見学して、約1時間弱の楽しい時間でした。
出口に向かう廊下には、アメリカの画家アンディ・ウォーホルがフリードリヒ2世の肖像画を基に制作した作品があります。

ポップな雰囲気で、もし本人が見たら意外と気に入るんじゃないかと思いました。
まとめ
この記事では、ポツダムにある世界遺産「サンスーシ宮殿」を2024年10月に訪れた際の現地の観光情報と、宮殿の見どころなどを詳細にお伝えしました。
サンスーシ宮殿は、18世紀のロココ様式特有の草花や果物をモチーフとした内装デザインが特徴的で、比較的小規模ながらも、フリードリヒ2世がプライベート時間を充実されるためにこだわりまくって作った空間は見どころ満載です。ベルリンからも日帰りで行けるので、ベルリン観光プラスアルファの目的地として検討してはいかがでしょうか。
「ポツダム会談」の舞台となったツェツィーリエンホーフ宮殿も近くにあるので、併せて訪問するのがおすすめです。サンスーシ・プラスチケットを購入すれば、サンスーシ宮殿とツェツィーリエンホーフ宮殿の両方を見学可能です。

ベルリン・ポツダム周辺の旅行記事については、こちらもおすすめです。
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