ベルリンにあるドイツ技術博物館を2024年10月に親子で訪れたので、最新の展示内容や見どころをご紹介します。
日本ではあり得ないほど広大な展示スペースと展示物の充実ぶりで、鉄道や飛行機、クルマが好きなお子さんとパパ・ママに特におすすめです。
ドイツ技術博物館について
博物館の概要
ドイツ技術博物館(Deutches Technikmuseum Berlin)は、首都ベルリンにある工業技術全般に関する博物館です。
鉄道の旧アンハルター駅跡地に1982年に設立され、約26,500㎡の敷地に鉄道、船舶、航空、自動車、写真、映画、通信、コンピューター、印刷など多岐にわたる分野の展示があります。親子連れに特に人気で、年間約50万人が訪れています。
ドイツ技術博物館はとても広大で、展示物も無限かと思うほど充実しているので、ちゃんと楽しもうと思ったら丸一日はかかると思った方がよいでしょう。
この記事では、お子さんに特に人気が高い鉄道と船舶、航空、自動車の展示に絞って紹介していきます。
基本情報
ドイツ技術博物館の基本情報は、次のとおりです。
- 施設名称:ドイツ技術博物館(Deutsches Technikmuseum Berlin)
- 住所:Trebbiner Straße 910963 Berlin
- 公式HP:https://technikmuseum.berlin/en/
- 開館時間: 火~金曜日は9:00~17:30、土日祝日は10:00~18:00、月曜定休。その他の休館日は公式HP参照。
- 入場料(2024年10月時点)
- 大人12€、18歳未満無料。
- ベルリン・ウェルカムカードがあれば37.5%引きの料金で入場可。
親子連れで訪れることが多い博物館なので、18歳未満が無料というのはとても魅力ですね。
行き方
ドイツ技術博物館へは、UバーンのGleisdreieck駅またはMöckernbrücke駅からそれぞれ徒歩約5分、あるいはSバーンのAnhalter駅から徒歩約15分です。
なお、ドイツ技術博物館は下記のとおり本館と別館に分かれています。鉄道、船舶、航空、写真などに関する展示は本館にあり、自動車や通信、コンピューターに関する展示は別館にあります。
1枚のチケットで本館・別館両方に入場可能ですが、本館から別館に行くには一度建物の外に出て2分ほど歩く必要があります。
別館のGoogle Mapは以下のとおりです。
鉄道の展示 異次元の充実ぶり
まずは鉄道コーナーから紹介します。入口を入って右側に広がる広大なスペースが鉄道展示エリアで、初期の蒸気機関車から最新の電車までが網羅されています。
ドイツ技術博物館は工業技術に関する総合的な博物館で、鉄道は数多くある展示カテゴリーの一部に過ぎないのですが、はっきり言ってスペース・展示内容共に鉄道専門の博物館を超える充実ぶりです。
こちらはドイツで初めて製造された蒸気機関車「BEUTH」です。
イギリスやアメリカの蒸気機関車をモデルにして1844年に製造されたもので、最高時速は42km/h。全部で75機が製造されました。
同じ時代(19世紀半ば)に使用されていた客車もありました。
このような客車を機関車で引っ張っていたようです。屋根も窓もなく完全にオープンエアで、どちらかというと「運搬車」という感じです。ドイツなので冬はとてつもなく寒かったことでしょう…。ちなみにこれは3等客車ということで、1等や2等はもっとマシだったと思われます。
赤の差し色が印象的なこちらの蒸気機関車は、プロイセン国鉄のT9.3型です。1903年にデビューして全部で2,000機以上が製造され、なんと1970年代まで現役だったようです。
最高時速は65km/hで、旅客輸送以外に貨物用にもよく使われていたようです。
引き続きプロイセン国鉄の蒸気機関車を紹介します。こちらのS10型は急行列車用に1911年に造られたもので、最高時速110km/hを誇りました。
質実剛健・重厚長大な感じが、いかにもドイツ製プロダクトという印象です。
下記写真のP8型もプロイセン国鉄の時代にデビューし、1970年代後半まで70年以上現役で活躍しました。合計4,000機近くが製造され、世界で最も多く造られた蒸気機関車とのことです。
ドイツ国内だけでなく、第一次世界大戦後の賠償としてフランスやベルギーなどに提供され、ヨーロッパ各国で長年にわたり主力として活躍しました。何だかんだ言ってモノづくり大国ドイツの底力は凄まじいですね。
プロイセン王国最後の皇帝・ヴィルヘルム2世が使っていたお召し列車もありました。
ヴィルヘルム2世は「旅する皇帝」と言われるほど旅行が好きで、このお召し列車で各地を訪れていたようです。列車の中には入れませんが、窓をのぞき込むと豪華な内装が見えます。
蒸気機関車だけでなく、電車の展示も充実しています。こちらは1934年にデビューしたET125型Sバーン。
主にベルリン周辺で1980年代まで使われ、最高時速は120km/hという性能でした。
下記の電気機関車は、鮮やかな赤が特徴のE19 01型です。飛行機や自動車による輸送が発達した1930年代に、それらに負けないスピードをテーマに製造され、最高時速180km/hを誇りました。
時代背景もあり、先頭にはナチスのかぎ十字マークが取り付けられています。
ドイツ技術博物館の鉄道エリアには、この他にも数え切れないほどの鉄道車両が展示されており、電車好きのお子さんは大興奮間違いなしです(うちも息子もそうでした)。
全てを紹介することは出来ませんが、一部を写真だけ掲載します。
鉄道車両展示エリアの外には、転車台があります。思わず京都の鉄道博物館を思い出してしまいました。
鉄道ジオラマもありました。電車や線路やもちろん、工場などもかなりリアルに造り込んでいます。
船舶の展示 沈没船の実物も
ここからは、船舶に関する展示を紹介します。本館左側の地上階、1階、2階(ドイツ式の階数)が船のコーナーで、1,000点以上の展示物があります。
一番の目玉は、1840年にベルリン周辺の川で引き揚げられた木製の沈没船です。全長は33メートルもあり、この博物館で最大の展示物です。
この船は、屋根のタイルを運搬していた時に沈没したようです。今の基準で考えるとかなり粗末な造りに見えて、少し天候が悪いとすぐに沈没してしまいそうな気がします。
もう一つの大型展示は、1901年に建造された蒸気船、Kurt-Heinz号です。この船も海ではなく、内陸の河川で使用されていました。
甲板に乗ることもできました。5歳の息子は興味津々です。
船の仕組みに関する解説も充実しています。こちらのコーナーでは、博物館のスタッフが船の蒸気機関に関する説明を実物を使ってしていました。
蒸気船のボイラー(?)と思われる巨大な物体も展示されています。目の前で見るとド迫力です。
他にも吹き抜けの空間に吊り下げられた帆船があったり、
帆船の模型も充実しています。
航空機の展示 圧倒的スケール
本館3階から4階にかけては、航空機に関する展示コーナーです。船舶エリアに負けず劣らず、スケールの大きい展示物がこれでもかと並べられています。
最初に目に入るのは、この博物館で展示されている航空機で一番古い「Jeannin Stahltaube, type 11」です。鉄製のチューブ構造を持つタウベ型の飛行機で、1914年に製造されました。
航空機の様々なエンジンも多数展示されています。自動車のBMWも航空機エンジンを製造していたようで、1934年製のV型12気筒エンジンが展示されていました。ちゃんとBMWのロゴがあります。
おそらく一番の目玉は、ドイツの航空機メーカー・ユンカース社が製造した航空機Ju 52/3mでしょうか。1932年に開発されたエンジン3基搭載の画期的な航空機で、実物は圧倒的な迫力があります。
1952年までに合計5,000機以上が生産され、旅客機としてだけでなく軍事用としても幅広く使用されました。
こちらの博物館で展示されているのはルフトハンザが使用していた旅客用で、約15人の乗客を乗せるための座席を備えたモデルです。
Ju 52は汎用性の高さが特徴で、大きな改修を必要とせずに軍事用にも転用できたため、第二次世界大戦では輸送機や爆撃機としても使用されたという過去があります。
こちらは同じくユンカース社が開発した、軍用機Ju 88です。おどろおどろしい塗装が印象的です。
1930年代に製造開始され、1,000kmの航続距離と500kgの爆弾を搭載する能力があったということです。
4階フロアは屋上テラスに通じており、そこには巨大なアメリカのC47スカイトレイン輸送機が空中に吊り下げられています。
C47は、1948~1949年にかけてソ連が行ったベルリン封鎖の際に、連合国側が当時の西ベルリンに食料品や生活物資を届ける作戦「ベルリン大空輸」に使われたことで知られています。
ちなみにこのC47はドイツ技術博物館のシンボルでもあり、博物館からかなり離れた所からでも見えるほどの存在感を放っています(この記事の最初に掲載した建物外観の写真にも写っています)。
自動車の展示 クルマ好き垂涎
最後に自動車の展示コーナーを紹介します。行き方で紹介したとおり、自動車の展示は別館にあります。
別館には、本館と同じチケットで入場することができます。ここでは約40種類の自動車(バイクや馬車を含む)が展示されています。
こちらは1914年に製造されたベンツ21/50psで、当時の帝政ドイツ駐イギリス大使のための特別使用車です。「大使閣下の車」という感じで貫禄たっぷりです。
深い青が目を引くのは、ダイムラー・ベンツ社が1929年に製造したニュルブルク460です。
8気筒エンジン搭載のラグジュアリーカーとして、同社の設計部門のディレクターだったフェルディナンド・ポルシェ博士が中心となって開発しました。最高出力80ps、最高速度100km/hというスペックです。
もちろん大衆車も多く展示されています。こちらはフォルクスワーゲンの1951年製ビートル・タイプ1で、二つに分かれたリアウィンドウの形から「プレッツェル・ビートル」と呼ばれているモデルです。なぜか後ろで白い狼が睨みを利かせているのが謎ですw。
スペックは控えめで、排気量1,130cc、最高出力24.5psのエンジンで最高時速は105km/hです。
こちらの車は1963年製造のメルセデスベンツ190 Dです。VWビートルと並んで当時のドイツを代表する車で、タクシーにも多く採用されていたようです。
最高出力55psの2,000ccディーゼルエンジンを搭載し、最高時速は130km/hでした。
レーシングカーの展示もあります。こちらは1983年製のアウディ・クワトロで、WRCのマニュファクチャラーズ選手権でチャンピオンに輝いた車両です。
2,150ccの5気筒ターボエンジンは、340psという大出力を発生するガチのレースカーです。タイヤの太さもやる気を感じさせますね。
このほか、自動車の仕組みについて解説する展示もたくさんあります。中には、下記のようにディーゼルエンジン車を大胆に縦半分に切った断面図で、エンジンやトランスミッションの機構を解説しているコーナーもありました。
ショップ&レストラン
ドイツ技術博物館の本館では、ショップとレストランも充実しています。
ショップは本館の入口を入って右側にあり、鉄道や船、飛行機、自動車などの模型やおもちゃ、様々な書籍(ドイツ語中心)などが売られています。中にはかなりスケールの大きい模型もあったりして、見ているだけで楽しいです。
本館の入口を入って左側にはレストランがあります。食べ物はドイツでお馴染みのソーセージ、フライドポテト、フラムクーヘン(ドイツ風ピザ)、パスタなどが揃っています。味はまぁまぁで、量は多めです。
飲み物も充実しており、コーヒーやジュースに加え、各種ビール(ノンアル含む)が揃っています。ベルリン名物のカクテル、ベルリーナー・ヴァイセもあり、思わず注文してしまいました。甘めなので、食事と合わせるなら普通のビールの方が良いと思います。
まとめ
この記事では、ベルリンにあるドイツ技術博物館について、2024年10月時点の鉄道、船舶、航空、自動車の主な展示内容をご紹介しました。
ドイツ技術博物館は、日本の博物館とは桁違いのスケールの大きさで圧倒的な数の展示物が広大なエリアに並んでおり、急いで見て回ったとしても半日~丸一日はかかります。時間には余裕を持って訪問するのをおすすめします。
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