2023年のゴールデンウィークに、MSCベリッシマに子連れの家族3人で乗船したので、乗船レビューをお届けします。
航路は横浜を出発して鹿児島、那覇、石垣島、基隆(台湾)を回り、また横浜に帰ってくるというルートで、8泊9日の船旅でした。
同じような航路のクルーズは今もたくさんあるようですので、船内の様子や寄港地などについてお役に立てる情報を提供していきます。
2025年のベリッシマの日本発着クルーズについては、以下の記事で全コースをまとめています。
クルーズ基本情報
スケジュール
乗船したクルーズの正式名称は「南国薩摩と石垣島・那覇・台湾 美ら海クルーズ」で、期間は2023年4月29日~5月7日でした。HIS、クルーズプラネット、ベストワンクルーズの3社による共同チャーター企画です。
スケジュールは以下のとおりです。
出発地と最終目的地が同じなので、8泊9日のうち3日も終日航海日があります。まぁ仕方ないですね。
地図上で見た航路は次のとおりです。
鹿児島から基隆までは距離が近いので連日寄港ですが、基隆を出航後は怒涛の2連続航海日で横浜にトンボ返りです。
MSCベリッシマ概要
MSCは、クルーズ業界の中では「カジュアルクラス」に属しており、12歳未満の子供の料金が無料であることから、本場ヨーロッパでは費用を抑えてクルーズを楽しみたいファミリー層に人気のようです。
MSCの本社はスイスにありますが、オペレーションの中心地はイタリアであり、同社のクルーズ船も実質的にイタリア船と考えて良いかと思います。
乗船したベリッシマの概要や、船の主要設備などは公式HPをご覧ください。
なお、ベリッシマの初就航年は2019年前半ですが、その後すぐにコロナ禍になったため日本発着クルーズは延期や中止が相次いでいました。そのため今回私たちが乗船したクルーズが、日本におけるベリッシマの就航第1弾だったのではないかと思います。
利用した部屋とプラン
私たちが利用した部屋は「海側バルコニー客室」です。当時はブログをやっていなかったため、残念ながら写真を撮っていませんでした。部屋の概要は公式HPの画像をご参照ください。
この写真では結構広く見えますが、実際はこんなに幅広くないです。実物はウナギの寝床のような縦長の作りになっています。
レイアウトはこんな感じです。
2024年10月16日追記:2024年の夏に、ベリッシマの姉妹船であるMSCグランディオーサの地中海クルーズに乗船しました。部屋はベリッシマの時と同じ「海側バルコニー客室」で、両方に乗船した経験から、部屋の造りは99%同じだと思いました。
グランディオーサの乗船記では、海側バルコニー客室の写真もたくさん掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
さて、MSCのクルーズには、部屋の種類とは別に「エクスペリエンス」という概念があり、どのエクスペリエンスを選択するかで受けられるサービスの内容が変わります。詳細は公式HPを参照して頂きたいのですが、ベッラ、ファンタスティカ、アウレアの3種類があります。なお、ここでは完全に別枠であるMSCヨットクラブを除外しています。
日本路線で予約できるプランはファンタスティカ以上が中心だと思いますので、ファンタスティカとの比較でいうと、アウレアの主な特典は以下のとおりです。
- 好きな時間に予約不要でディナー(マイチョイス・ダイニング)
- 優先乗船
- サーマルエリアを無料で利用可能(スパ、サウナなど)
- 専用のプールエリアへのアクセス(トップ・エクスクルーシブ・ソラリウム)
- 部屋にバスローブとスリッパを用意
- 24時間OKのルームサービス (デリバリー無料)
- ウェルカムパッケージ(プロセッコのボトル、フレグランスツリー、チョコレート)の提供
アウレアのおすすめポイント
マイチョイス・ダイニング
アウレアのメリットのうち、個人的に一番魅力的だと思ったのは「予約不要でいつでもレストランの夕食を楽しめる」というマイチョイス・ダイニングでした。
通常だと、ベリッシマのようなカジュアルクラスの客船では事前に夕食時間が指定され、基本的には毎日同じ時間帯に同じテーブルで食事をすることになります。
ただ、その日の予定や体調によって、どうしても指定された時間帯では都合が悪い時も出てくると思うので、その点でアウレアのマイチョイス・ダイニングとても魅力的でした。
マイチョイス・ダイニングの仕組みですが、一般レストランの一部のエリアがアウレアの乗客用に確保されており、一般席が満席でも、アウレアであれば専用エリアの座席に案内してもらえるようになっています。
レストランの入口で順番待ちの列が出来ていても、それに並ばずに受付の人にアウレアのクルーズカードを見せれば、すぐに案内してもらえます。
優先乗船
アウレアの乗客は船の中でも眺めや環境が良い部屋にアサインされており、乗船受付時間も早いです。私たちは午前10:30から受付開始でした。それに加え、港でのチェックイン手続きでも優先レーンが設置されており、列に並ばずにスムーズに乗船することができました。
おかげさまで、11時過ぎには船に入ることができました(部屋のセッティングが完了するのは午後)。受付開始時間が遅い回だと15:00開始などもあったりするので、初日に船内で使える時間が全然違います。
サーマルエリアを無料利用
MSCベリッシマには、デッキ7にサーマルエリアと呼ばれるスパ施設があります。私が乗船した時のパンフレットによると、通常は一日の利用料がUSD 80以上だったと思いますが、アウレアとMSCヨットクラブの乗客は無料で利用可能です。私も航海日には必ず利用していました。
このサーマルエリアが想像以上に良かったです。とても広くてきれいな施設内には複数の大型バス、ジャグジー、ドライサウナとミストサウナがあります。
特にドライサウナは15人程度は収容できるほど広く、セルフロウリュウ(焼けた石に水をかけて水蒸気を発生させること)が可能で、サウナ好きにも満足できるものでした。水風呂はないものの、ミントの香りがする全身水シャワーブースがあり、とても爽快でした。
休憩室も3つあり、快適なリクライニングチェアでゆっくり「ととのう」ことが出来ます。タオルも好きなだけ使用できます。
一つだけ注意点として、サーマルエリアは男女共用施設なので、必ず水着を着用する必要があります。また、マッサージなどの施術は有料ですのでご注意ください。
アウレアは通常のプランに比べると料金は高めに設定されていますが、個人的には上記のメリットに見合うものだったと思います。特に食事時間のフレキシブルさを求める方にはおすすめです。
アウレア特典の魅力については、ベリッシマの姉妹船である「グランディオーサ」に乗船した時のレビュー記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
Day 1 出航日のハイライト
大黒ふ頭ターミナルでのチェックイン
MSCベリッシマは巨大客船なので、横浜ベイブリッジの下をくぐることが出来ません。なので、乗船手続きは他のクルーズ客船とは異なり、大黒ふ頭というベイブリッジの外側で行われます。この場所は公共交通機関がなく、クルーズの乗客は荷物も多いので、首都圏にお住いで車をお持ちの方は、自家用車で来場されるのが便利だと思います。
その際に、必ず事前に駐車場を予約した方が良いと思います。横浜市が提供しているドライブ&クルーズ駐車場が唯一の選択肢(周辺には民間のコインパーキングはありません)になります。料金は、私が利用した時は一日1,000程度だったと記憶しています。駐車場は船の停泊場所の目の前なので、荷物が多くても問題ありません。カートも用意されていました。
私たちが2023年4月29日に乗船した時は、チェックインの手続き自体はおおむねスムーズに進みました。なぜか私のクルーズカードが準備されていなかったり、カードにアウレアの記載がないものを渡されたりといった小さいトラブルはありましたが、10時半頃に現地に到着し、11時過ぎには船内に入ることができました。
レストランでランチ
まだ部屋は準備できていなかったので、とりあえずメインレストランで腹ごしらえです。
あまり知られていないかもしれませんが、クルーズ客船では出航日の昼にもレストランで食事をすることが可能です。もちろん初日はバタバタしているし、乗船時間が遅い場合はもちろんレストランは利用できないので、一般的には初日は昼食を済ませてくるか、ブッフェで食べる人が多いとは思います。
レストランは空いていて、窓側の席に案内してくれました。窓から港を見下ろしながら、昼からスパークリングワインを飲みながらコース料理を堪能です。クルーズの醍醐味ですね。
こちらは白身魚のカルパッチョ。普通においしかったです。
こちらは魚介のトマト煮込みのような料理。ムール貝がゴロゴロ入っていて旨味たっぷりでした。
海側バルコニー客室の印象
部屋の準備ができたということで、13階中央の部屋に向かいます。海側バルコニーの部屋は標準サイズが17平米なので家族3人には狭いですが、部屋自体は新しく機能的な作りで好印象です。掃除も行き届いていました。シングルベッドが2台と小さめのソファが1台あり、就寝時はソファをベッド仕様にすることで、3人が泊まれるようになっています。
客室係は基本的に毎日同じ人が担当するので、初日にこちらの希望を伝えておくといいと思います。例えば「毎日午前中の掃除の際にベッドをソファに戻して、夕方の掃除(ターンダウン)の時に再度ベッドにしてください」というようにリクエストすると良いかと思います。
クローゼットは結構狭めです。収納棚はそこそこの容量があるので良いのですが、ハンガーをかけるスペースが3人以上だと足りないです。
クルーズでは基本的にジャケットやドレス、ワンピースを複数持ち込むので、ハンガースペースが小さいと不便です。また、ハンガー自体の数も少なかったです(10本もなかったと記憶しています)。リクエストすれば追加を持ってきてくれると思いますが、はじめから自分で必要な本数を持って行った方が良いと思います。
水回りはまだ新しく、シャワーブースは大人一人がやっとのスペースなので子供と一緒に入るには窮屈ですが、清潔感はありました。
バルコニーは、部屋の面積に対してまぁまぁの広さがありました。イス2脚とカウチ兼簡易テーブルが1台あり、ちょっとした食事をしたり、洗濯物を干したりできます。洗濯物を干す際は、強風に注意してください。
船内を散策
荷解きをすませて、早速船内を散策です。息子は初めてのクルーズに大興奮。
早速キッズクラブに登録。ただ、クルーズ中に何回か息子を預けようとしたものの、人見知りの彼は毎回猛烈に拒否して結局一度も預けられませんでした…。
ジャン・フィリップ・モーリーのショコラティエの前で、謎の生き物を形どった巨大チョコと記念撮影。
船の中央エリアの近くには、このようなパノラマエレベーターもあります。全体的に設備がスタイリッシュで現代的です。
その後はプールに入ったりして夕方まで過ごし、ディナーの後は寝不足と疲労ですぐに就寝しました。
Day 2 終日航海日
朝はブッフェで朝食をとろうと思いましたが、8時ごろに向かうと非常に混雑していて席の確保に10分ほどかかりました。
ブッフェ自体は種類も豊富で味もおいしかったです。日本食が意外なほど充実していて、毎日ご飯、おかゆ、味噌汁、総菜数種類、漬物各種、納豆、海苔、明太子などが用意されていました。
朝食後は、一日の大半をプールで過ごしました。
ベリッシマのプールは、メインとなる大型のプールが15階に二つあり、一つは屋外、もう一つは屋内プールです。両方とも海水を使用しているのが特徴で、人工的な波が出ている時もあります。私たちが利用したゴールデンウィークの時はまだ肌寒く、ほとんどの人は屋内プールを利用していました。
プールのすぐ隣にブッフェがあるので、ブッフェからすぐに食べ物を取ってくることができます。
また、ブッフェに入らなくてもすぐ手前に簡易的なフードコーナーが設けられているので、ランチ時はここでピザやホットドッグなどをもらえます。ピザは毎回数種類が用意されており、いずれもおいしかったです。イカ墨を生地に練り込んだような凝ったものもあり、さすがイタリア船だと感心しました。
改めて気が付いたのは、子連れの乗客がとても多いということです。ゴールデンウィークということもありますが、やはり子供料金無料というのが大きいのだと思います。プールでもレストランでもその他の共有スペースでも、未就学児~中学生ぐらいまでの子供を連れた家族が多いので、「子供が騒いで迷惑かけないかな」と心配する必要はありません。
逆に言うと、落ち着いた雰囲気はあまりないので、ゆっくり静かな時間を楽しみたい方は別の選択肢を考えても良いかもしれません。
プールを満喫した後は、ジャン・フィリップ・モーリーのショコラティエで甘いものを食べて休憩。マカロンがおいしかったです。
この日は最初のフォーマルナイトでした。息子もおしゃれを楽しみます。
フォーマルナイトは食事も少し豪華になります。エビ好きの息子はロブスターに挑戦です。あっという間に平らげました。
クルーズのドレスコードのポイントや、実際にどの程度ドレスコードが守られているかについては、以下の記事でまとめています。ディナーでの子どもの服装についても紹介しています。
Day 3 鹿児島 桜島などを観光
3日目は最初の寄港地、鹿児島に午前7時頃入港です。出航が15時の予定で、14時頃までには船に戻らなければいけないので、バタバタするのが苦手な我が家はサクッと桜島だけ観光する計画です。
朝食後に船の外に出ると、港にはこのような案内が貼ってありました。
やはりGWのクルーズで日系旅行会社のチャーター企画ということもあり、乗客の98%以上が日本人のようです。
港のターミナルからは、船が用意してくれたシャトルバスに乗って市内の「ドルフィンポート跡地」という所まで移動です。大体30分程度でしょうか。ここからは天文館まで徒歩で10分程度、桜島行きのフェリーターミナルにも10分以内で行けます。
フェリーは大体20分おきに出ています。運賃は片道大人200円、同伴の未就学児は無料でした。Suicaでも支払い可能です。約15分で桜島に到着。
その後は港から島内を循環するバスに乗り、ビジターセンターで降りました。ビジターセンターでは、桜島の成り立ちや歴史が分かりやすく解説されており、興味深かったです。
ビジターセンターの近くには足湯が楽しめる場所もあります。この辺は至る所で温泉が出ているんでしょうね。
桜島の火山を背景に記念撮影。
徒歩で桜島港まで戻り、再びフェリーで鹿児島市内へ。ベリッシマの停泊場所までシャトルバスがピストン輸送されていましたが、長蛇の列が出来ていたので諦めてタクシーで船まで帰りました。
ブッフェに直行して、ビールで喉を潤しつつ港を眺めながらゆっくりとランチです。これがクルーズのいいところですね。
予定より少し遅れて16時ごろに出航。港では地元の人たちが見送りのために伝統音楽を披露してくれていました。あちこちのバルコニーから拍手が送られます。
この後もプール好きの息子にせがまれて、夕方までプールで過ごしました。7時半ごろからレストランで食事をし、あっというまに3日目が終了です。
まとめ
この記事では、2023年のゴールデンウィークに家族で乗船したMSCベリッシマのクルーズについて、コースや船概要と航海3日目までの様子をお伝えしました。4日目以降の乗船レビューは以下の記事をご覧ください。
2025年のベリッシマの日本発着クルーズについては、以下の記事で全コースをまとめています。
最近はクルーズ旅行の人気がとても高まっており、どの航路も早めに予約が埋まってしまいます。クルーズ旅行の計画はお早めに。
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当ブログには、筆者が過去に経験した4つのクルーズの乗船記をはじめ、船内のドレスコードやドリンクパッケージの是非などのお役立ち情報、また今後の日本発着コースのまとめ記事など、たくさんのコンテンツがあります。
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