MSCベリッシマの姉妹船である「グランディオーサ」の真夏の地中海クルーズに、親子3人で乗船した際のレビュー記事第五回目です。
今回はクルーズ5日目に寄港したチュニジアのラ・グレット(La Goulette)で、アント二ヌス浴場をはじめとするカルタゴ遺跡やチュニス旧市街の迷路のような街並みの観光情報をご紹介します。
前回までの記事は以下をご覧ください。
エクスカーションに初参加
この日の予定
この日(7月18日)はクルーズ5日目で、チュニジアの首都チュニスから東に15kmほど離れた港町、ラ・グレット(La Goulette)に寄港です。公式のスケジュールでは午前8時に入港、午後6時出港となっています。
私たちは、事前にMSCが用意した寄港地観光ツアー(エクスカーション)に申し込んでいましたので、それに参加してチュニス周辺の主要な観光地を巡る予定です。
ツアー概要
私たちにとってクルーズ旅行は今回で4回目ですが、エクスカーションツアーに参加するのは、実は初めてです。

ツアーに参加を決めた理由は、チュニジアは公共交通機関がヨーロッパの国ほど整備されておらず、猛暑のなか幼児を連れて効率よく観光するためには、エクスカーションが最も安全で効率的だと考えたためです。値段は大人一人67ユーロ、子供が50数ユーロと高めでしたが、結果的にカルタゴ遺跡とチュニス旧市街の主要な見どころを効率良く周ることができたので、良い選択だったと思います。
ツアーの概要は、午前9時半頃にラ・グレットの港をバスで出発し、アントニヌス浴場など主なカルタゴ遺跡を訪れた後、メディナ(首都チュニスの旧市街)に移動して世界遺産に登録されている街並みなどを散策。午後3時頃に船に戻るというものです。
今回のエクスカーションツアーで巡る場所とそれぞれの位置関係は、次のとおりです。

入国審査~ツアー出発
超テキトーな入国審査
チュニジアは今回のクルーズ寄港地で唯一の非ヨーロッパ国で、当然シェンゲン協定にも加盟していないため、船の外に出る場合は入国審査を受ける必要があります。

ただしクルーズ客は当日中に出国することが予定されているため、あくまで「トランジット」のような扱いで、パスポートにスタンプは押されず、記入した入国カードの裏にスタンプが押されるのみでした。
ちなみに入国審査は超いい加減でした。私が家族を代表して3人分の記入済み入国カードを渡すと、入国審査官はパスポートの写真ページを開きもせずに、ポンポンとスタンプを押してくれました。今まで50カ国以上に入国したことがありますが、トランジットとはいえ、ここまでいい加減な入国審査は初めてです。
ツアーバス乗車
チュニジアへの入国手続きを経てターミナルの外に出ると、エクスカーション用のバスが多数待機していました。私たちのチケットに記載された番号のバスは、チュニジア人の英語ガイドが添乗するもので、40人ほどの乗客がいました。車内は若干ボロ目でしたが、ちゃんとエアコンが効いていて良かったです。
ちなみに、同じエクスカーションコース用に複数のツアーバスが用意されていましたが、英語ガイドのバスは1台のみで、他のバスは全てスペイン語、イタリア語、フランス語のガイドが同乗していました。グランディオーサの乗客の大半はこれらの言語話者なので、納得です。
カルタゴの古代軍港 隠された要衝
ツアーバスは午前9時45分頃にクルーズターミナルを出発しました。窓から街並みを眺めると、今までのヨーロッパの都市と比べて明らかに雑然としており、スラムっぽい雰囲気が漂っている場所もありました。
クルーズターミナルから最寄り駅まで徒歩20分ほどで行くことも可能みたいですが、外はめちゃくちゃ暑いし、子連れなので、ツアーバスを選んで正解でした。

クルーズターミナルからバスで30分ほど走ると、古代カルタゴの軍港があった場所に到着しました。

カルタゴは古代フェニキア人によって建設された国家で、紀元前9世紀~2世紀頃まで栄えていました。海洋技術に優れ、地中海貿易で潤い、ローマと並ぶ強国だったカルタゴの軍事面の要衝であった軍港の跡が、ここに残っています。下記写真の奥に見える中州のような場所が、古代軍港の跡地です。

ガイドの説明によると軍港は直径約300mの円形で、下記の地図のとおり、長方形の商業港の奥に隠すような形で建設されました。

商業港を通らないと軍港にはアクセスできないようになっており、外海からはその存在を知ることも出来なかったようです。面白いからくりですね。ちなみにこの軍港では、220隻もの船を収容する能力があったとのことです。
なお、カルタゴは紀元前2世紀にローマとの戦争に敗れ、当時の都市は徹底的に破壊されたため、現在残っている「カルタゴ遺跡」のほとんどは、後世のローマ統治時代に建設されたものです。ただし、この古代軍港はカルタゴ時代から残っている数少ない遺跡の一つだということです。
アントニヌス浴場 ローマ帝国で最大級の「ととのい」スポット?
私たちを乗せたバスはさらに10分ほど走り、「カルタゴ遺跡」の主要な施設である「アントニヌス浴場」に到着しました。

アントニヌス浴場は、古代カルタゴがローマ軍に滅ぼされた後、ローマ支配下の2世紀ごろに建設されたものです。総面積は約3万5,000㎡で、ローマ帝国領内で3番目に大きかった浴場ということです。

他のローマ領内の浴場と同じく左右対称のつくりで、ガイドによると浴場内には温度の違う複数のお風呂、サウナ、水風呂、休憩所、更衣室、談話室など多数の部屋があったということです。基本的に男女混浴だったものの、男女別の浴室もあったようです。

浴場は本来は2階建てですが、現存しているのは風呂を温める設備等があった1階部分のみです。イメージ的には、下記の図で風呂のある部分が今は存在しない2階部分で、残っているのは1階のボイラー部分です。

現物はこんな感じです。上の図と同じようなアーチ部分が、下の写真でも見られますね。

浴場から海に向かって左側は現在の大統領官邸ですが、当然撮影禁止です。なお、ガイドによると、歴代の支配者の邸宅がアントニヌス浴場に隣接して建設されていたとのことです。

確かに目の前に真っ青な地中海が広がる開放的な環境で、屋外の休憩所ではインフィニティプールのように海との一体感が楽しめる施設だったことが想像できるので、権力者にとっても魅力的な場所だったと思われます。
風呂やサウナの入浴後に心地よい地中海の風に吹かれて、今風の言葉で言えば絶好の「ととのい」スポットだったのではないかと勝手に想像しました。

浴場跡地は自由に歩くことができます。息子には「ここに昔、大きなお風呂屋さんがあったんだよ」と伝えましたが、日本のスーパー銭湯とは違いすぎでピンとこないようです。

それにしても本当に規模が大きいです。当時のローマ帝国は、各地の領内にこのような浴場を多数建設していたので、お風呂にかける情熱というか執着心は相当なものですね。

浴場の名称にもなっている、ローマ皇帝アントニヌス・ピウスの名前が刻まれた石碑もありました。

これだけの規模の浴場に、どうやって大量の水を安定して供給していたかが気になるところですが、それについては後ほど触れるローマ水道が鍵を握っていました。
なお、このアントニヌス浴場を含むカルタゴの遺跡群は、1979年に世界文化遺産に登録されています。
ローマ水道橋の跡 驚きの古代技術
アントニヌス浴場を後にして20分ほど走ると、バスはローマ統治時代に造られた水道橋の跡地に到着しました。

こちらの橋に通っていた水道は、水源であるザグーアンの山から引かれていたもので、延べ総延長は132km(諸説あり)もあり、ローマ帝国内の水道として最長とのことです。
ザグーアンからカルタゴ中心部までは90kmの距離がありますが、その区間で水道の高低差は約260mしかなく、平均傾斜はわずか0.3%です。ガイドによると、その高低差のうち半分は最初の6kmで発生しているということで、残りの84kmの距離を、本当に微々たる傾斜(平均0.15%)をつけて街中まで通していたとのことです。ローマの技術は異次元ですね。
ザグーアンから水道を通って運ばれた水は、アントニヌス浴場や支配者層の住居に供給されていたようです。
チュニス旧市街(メディナ)を散策
カスバ広場から出発
バスは水道橋を出発してさらに30分ほど走ると、ようやく「メディナ」と呼ばれるチュニスの旧市街に到着しました。バスは官公庁が集まる「カスバ広場」に駐車し、そこで降車して旧市街に向かいます。

広場から道路を渡り、少し歩くと周囲の雰囲気がガラッと変わり、一気にアラブの雰囲気が色濃く漂う街並みになりました。

迷路のようなスーク(市場)
チュニスは元々カルタゴの衛星都市として建設され、一度はローマ帝国に破壊されたものの、その後ローマ統治時代に復興。都市として本格的に発展したのは、イスラム勢力の支配下に入りアラブ化した8世紀以降です。
チュニスの旧市街地域は1979年に世界文化遺産に登録されましたが、現在残っている旧市街の建物や城壁などのほとんどは、チュニスがイスラム化した時代に建設されたものということです。
旧市街のスーク(市場)は網の目のように細い道が張り巡らされ、迷路のようになっています。

道の両脇には貴金属店や土産物屋、カーペット屋などがひしめき、さかんに客引きが行われています。

途中、ガイドが提携している土産物屋に立ち寄りました。下記の写真は、昔ながらの手作業でカーペット生地を編む作業をしている女性です。

けっこう大きな土産物屋で、食器や革製のカバン、雑貨類などがたくさん売っていました。シーシャ(水たばこ)の用具もありました。

うちの息子は、目についた太鼓のような楽器がどうしても欲しいというので、旅の思い出に一つ購入しました。

チュニジアっぽい雰囲気のデザインで、手で叩くとポンポンと良い音がします。なお、複数のサイズがあり、これは中サイズで他にも小と大サイズもありました。
屋上テラスからグランドモスクと街を見渡す
土産物屋の奥にある階段を上がって屋上にでると、ガイドブックでもよく見る旧市街が一望できるテラスに出ました。

テラスからは、チュニスのグランド・モスクのミナレット(尖塔)と白いドームが見えます。

バルセロナで買った謎の扇子と一緒に記念撮影です。

美しいイスラム装飾と家屋
私たちツアーの一団は、その後もチュニス旧市街の散策を続けました。途中、オスマントルコ統治時代の王様用ベッド(本当のキングベッド)を見たりして…

その後は、ガイドが提携しているカーペット屋に連れていかれました。なぜかグループ人数分の椅子が用意してあり、エアコンもガンガン効いているという用意周到ぶりですw

店主が何種類ものカーペットを広げて、それぞれいかに素晴らしいかを力説し始めました。中東の観光地ではよくある光景ですね。買う気はありませんが、休憩がてら椅子に座ってボーっと聞いていました。
値段も高そうだったので、誰が買うのかと疑問に思っていましたが、ツアー客の中に小型カーペットを2枚お買い上げした人がいました。

こういうカーペットは単体で見ると素敵なデザインですが、部屋全体の中でインテリアとして調和させるのは難易度が高いと思います。
カーペット屋を出た後は、カラフルなドアが印象的な邸宅を見学させて頂きました。

ドアにはノック用の鉄製ノブが上下1個ずつ付いていますが、上が男性客がノックするためのもので、下が女性客用とのことです。上と下で音が違うため、家の中にいると訪問者が男性か女性かが分かり、男性がやってきた場合は男性の家人が対応するという伝統があったようです。
最後に、またまたガイド提携の香料屋に、トイレ休憩がてら立ち寄ることになりました。チュニジアの植物から抽出した、たくさんの香料の原液が展示してあります。

ジャスミンなど、チュニジアの花から抽出された香料の80%はフランスに輸出され、高級ブランドの香水として使われるようです。この店では、「高級ブランドと同じものが安く買える」という売り文句で色々な香水を販売しており、試しに香りを嗅ぐこともできました。
私たちは買いませんでしたが、同じグループのツアー客の中には、たくさん香料を購入している人たちもいました。特に中華系の方達が熱心に買っていました。
グランディオーサに帰船
チュニス旧市街の散策を終えたツアーの一団は元のカスバ広場に戻ってバスに乗り、午後3時ごろにクルーズターミナルに到着しました。
ターミナルの入口から乗船口までの通路には、まるでスーク(市場)のような土産物屋がたくさんありました。

旧市街の本物の市場で売られていた土産物の多くが、実はここでも売られています(香水、民族衣装、アクセサリー、食器、工芸品、ドライフルーツなど)。しかも、ここでは価格がしっかり表示された明朗会計で、値段は旧市街よりも安いものが多かったです。私たちが買った太鼓も例外ではありませんでした。
クルーズでチュニスを訪れる際は、土産物は旧市街ではなく、最後にクルーズターミナルで買うのが良いかもしれません。
午後3時半頃に船に戻った後は、ランチがまだだったので、15階のブッフェに直行。家族全員お腹が空いていてたので、多めに食べ物をとって来て、よく冷えたビールと共に頂きました。

この日はランチが遅かったこともあり、ディナーは前菜だけで軽く済ませました。
エクスカーションに参加したのは今回が初めてでしたが、移動手段とガイド付きの観光はやはり効率が良く、物事の歴史的な背景も教えてくれるので、満足度は高かったです。値段との兼ね合いもありますが、今後のクルーズでも必要に応じてエクスカーションに参加するのはアリだと思いました。
まとめ
この記事では、MSCグランディオーサの地中海クルーズ5日目に寄港したチュニジアのラ・グレットで訪れた、アントニヌス浴場をはじめとするカルタゴ遺跡や、チュニス旧市街の観光情報をご紹介しました。
次回以降の記事は下記をご覧ください。


今回の乗船記で紹介しているMSCグランディオーサとほぼ同型の「MSCベリッシマ」は、日本発着で多数のクルーズを運航しています。ベリッシマは日本で大人気なので、予約がすぐに埋まります。
\ 予約は早いもの勝ち /
グランディオーサをはじめとする地中海方面のクルーズは、こちらから探せます。コースによっては日本から添乗員が同行してくれる場合もあります。
\ 憧れの地中海クルーズ /
当ブログには、筆者が過去に経験した4つのクルーズの乗船記をはじめ、船内のドレスコードやドリンクパッケージの是非などのお役立ち情報、子連れクルーズに役立つ持ち物、今後の日本発着コースのまとめ記事など、たくさんのコンテンツがあります。
クルーズ関係のすべての記事はこちらにリンクがありますので、気になる記事を探してみてください。
