MSCベリッシマの姉妹船である「グランディオーサ」の真夏の地中海クルーズに、親子3人で乗船した際のレビュー記事第最終回です。
クルーズ7日目はイタリアのナポリに寄港。国立考古学博物館で見学した美しい彫像の数々や、おしゃれな店が立ち並ぶトレド通りなどの観光情報を中心にご紹介します。また、クルーズターミナルから地下鉄駅への行き方や、地下鉄の切符の買い方・乗り方などについてもお役立ち情報をお伝えします。
さらに、最終日の下船の様子についてもご紹介します。
前回までの記事は以下をご覧ください。
ナポリ入港
この日の予定
この日は7泊8日のクルーズの7日目で、最後の寄港地であるイタリアのナポリに立ち寄ります。公式スケジュールでは午前6時に入港、午後4時に出港となっています。
朝7時過ぎに目を覚ましてバルコニーから外を見ると、船はすでに港に到着しており、ナポリの街並みが広がっています。イタリアらしい丸い屋根のドームがある教会も見えますね。
観光の計画
この日は船には出港の30分前、午後3時半までに戻る必要があるので、あまり時間的に余裕がありません。なので、私たちの計画としては初めに地下鉄で国立考古学博物館を訪れて見学し、その後ナポリのメインストリートであるトレド通りを散策した後ランチを食べて、昼過ぎにグランディオーサに戻るというものです。
ナポリのクルーズターミナルは市街地に近く、最寄りの地下鉄駅までも歩いていくことができて便利です。ターミナルと市内の主要観光地の位置関係は次のとおりです。
クルーズターミナルからは地下鉄が便利
クルーズ船が4隻も寄港中
ブッフェで朝食を食べてから午前9時ごろに船の外に出ると、港にはグランディオーサの他に3隻もクルーズ船が停泊していました。
こちらはロイヤル・カリビアンのオデッセイ・オブ・ザ・シーズですね。
屋外プールには、巨大なアームの先に展望カプセルが取り付けられています。
このアームが旋回して、空中で吊り下げられたカプセルの中から海を展望できるというものらしいですが、高所恐怖症の方は避けた方がいいかもしれませんね。それにしても発想がすごいです。
その後ろには、ノルウェージャン・クルーズの船が見えます。おそらくNorwegian Vivaでしょうか。
さらに、バイクング・クルーズのバイキング・ジュピターも寄港中でした。
バイキング・クルーズは日本ではあまり馴染みがないと思いますが、スイスに本社があり、小型ラグジュアリー船を中心としたラインナップでヨーロッパでは評価が高いです。
日本でも、2024年秋からバイキング・エデンが国内発着クルーズを運航しますし、2025年のゴールデンウィークにも横浜発着クルーズがあります。航路もユニークなものが多いので、個人的に注目しています。
詳しくは当ブログの下記の記事でも取り上げているので、興味のある方はご覧ください。
ナポリ地下鉄 切符の買い方・乗り方
冒頭で紹介した地図のとおり、ナポリのクルーズターミナルから最寄りの地下鉄駅「Municipio」までは徒歩10分ほどです。アクセス抜群の素敵な港ですね。
まずはクルーズターミナルを出て、まっすぐ進みます。
すると、すぐにメトロを意味する「M」の標識が見えてきます。その先が地下道になっているので、そのまま進みます。
ちなみに地下道の入口から振り返ると、先ほど紹介した寄港中のクルーズ船たちが間近に見えます。いかに近いかが分かりますね。
地下道を抜けるとエスカレーターがあり、上がると地下鉄Municipio駅に到着です。
地下鉄の切符は券売機で購入します。英語表記に対応しており、Englishまたはイギリスの国旗が表示されている所をタッチすると、英語に切り替わります。
後はお目当ての切符を購入するだけです。観光の場合は1回券または1日券を購入される方が多いと思います。1日券の場合は英語でOne day ticketなどと表示されていると思うので、それを選びます。支払いはクレジットカードでも行えます。
こちらが私たちが購入した1日券(イタリア語で「Biglietto Giornaliero」)です。4.5€でした。
この切符を駅の自動改札に通して入場します。
地下鉄はLinea 1、Linea 2とLinea 6の3路線がありますが、Municipio駅に通っているのはLinea 1です。トレド通りや考古学博物館方面に行くのはPiscinola方面、ナポリ中央駅方面に行くのはGaribaldi方面なので間違えないようにしましょう。
私たちは最初に考古学博物館に向かうので、Piscinola方面行きのホームに進みました。ホームは想像以上にキレイで、ヨーロッパの地下鉄でよくある落書きやゴミは少なかったです。
電車は5分ほどでやってきました。ちなみに、次の電車が何分後に来るかを示す電光掲示板もあります。
車両も思ったよりきれいで、これまたヨーロッパお決まりの落書きはありませんでした。意外です。
目的地の駅に着いたら、自動改札に切符を通して出場するだけです。1日券であれば、切符は戻ってきます。
考古学博物館 ギリシャ・ローマの美しい彫像
Municipio駅からLinea 1の地下鉄に10分ほど揺られ、Museo駅に到着しました。その名のとおり考古学博物館の最寄り駅で、駅とほぼ直結です。
地上に出ました。ナポリの街はバイクが縦横無尽に爆走していて、前日のパレルモに引き続き東南アジアを感じさせます。
考古学博物館の入口です。ナポリの古い建物は、このように赤茶色っぽい色が多いですね。
ちなみにこの建物は、16世紀に騎兵隊の宿舎として建設されたものらしいです。
考古学博物館の入場料は大人一人22€、17歳未満の子供は無料(2024年7月時点)です。大人2人だと40€のファミリーチケットがあるので、私たちはそれを購入しました。
この博物館は、ギリシャやローマ時代の貴重な彫刻や絵画を多数収蔵していることで有名です。1階には美しい大理石の彫像が数多く展示されています。とりわけ有名なファルネーゼ家の財宝(ファルネーゼ・コレクション)を中心に、著名な「ファルネーゼのヘラクレス」などが展示されていました。
こちらはファルネーゼ・コレクションの一つ、「フローラ」です。
まとっている服の立体感と臨場感があり得ないレベルです。特にこの辺のシワとか…
大理石の彫刻で、一体どうやってこんな生き生きした表現が出来るのか不思議でなりません。それも今から2,000年近く前に造られたというのですから、驚きです。
歴代ローマ皇帝の彫像も並んでました。これはアウグストゥス。
本当は色々な作品をゆっくり見たかったのですが…
旅の疲れか息子の機嫌が悪く、ぐずったりしていたのでちゃんと鑑賞できず、写真もあまり撮れませんでした。幼児連れの旅行だと、どうしてもこういうことがありますよね…。そのうち大人だけで再び来た時にゆっくり見たいです。
ちなみに中2階にはポンペイ遺跡から発掘されたモザイク画などが展示されており、2階には銅製の彫像などが多数展示されていました。
こちらは2階の大広間です。
とても広大で優雅な空間です。ここで催し物が開かれることもあるようです。
なお、本来は地下にはエジプトから出土したミイラや彫刻などが展示されている「エジプト展」があるようですが、私たちが訪れた時はメンテナンス中とのことで閉鎖されていました。
博物館の建物には大きな中庭があり、ベンチがいくつかあるので休憩にぴったりです。気持ちの良い風が吹き抜けます。
トレド通りでショッピング
地下鉄トレド駅がアートすぎた
考古学博物館を後にし、ナポリの代表的なショッピングストリートである「トレド通り(Via Toledo)」に向かうため、再び地下鉄に乗りました。
Museo駅から2つ先のToledo駅で降りると、地上へと続くエスカレーターの天井が、このように芸術的なデザインで彩られていました。
上から見た様子です。とても地下鉄駅とは思えません。
拡大してみると、小さなタイルを組み合わせたモザイクになっています。
防犯カメラも同じ色で統一するという徹底ぶりです。
エスカレーターを上がると、こんな壁画もありました。
繰り返しですが、ここは美術館ではなく地下鉄の駅構内です。まさに駅全体がアートという感じで、ナポリの人たちの美へのこだわりが感じられます。
トレド通りの洋服店やカバン屋を物色
地上に上がると、すぐにトレド通りに出ました。
トレド通りはショッピング街ですが、ファッションストリートとしても知られており、おしゃれな洋服店やカバン屋などが軒を連ねています。値段はピンキリですが、比較的リーズナブルな価格でMade in Italyの瀟洒な洋服が買えるので、おすすめです。
私はイタリアのファッションが好きなので、紳士服店をいくつか覗いた後、下記の店で麻の白のショートパンツを購入しました。
値段はセール中で39€でした。もちろんMade in Italyです。いまどき珍しい職人の手仕事が感じられるしっかりした作りで、麻の質感も良く、満足です。今後、ビーチリゾートやクルーズで活躍してくれそうです。
ちなみにこの店の隣にある「CARPISA」というかばん屋も有名で、おしゃれな革かばんが良心的な値段で売られているので、おすすめです。男女両方楽しめると思います。
ランチは現代版ナポリ料理?のおしゃれプレート
そろそろランチの時間になりました。ナポリと言えばピザが有名ですが、おいしいピザは日本やドイツでも食べられるし、グランディオーサのブッフェでも結構イケてるピザを食べていたので、どうしてもナポリピザを頂きたいという感じでもありません。
そこでピザ以外のナポリ料理を食べたいと思い、適当にGoogle Mapで検索したところ、下記の店「Etto(エット)」がブッフェスタイルで色々な料理を食べられそうなので、行くことにしました。
トレド通りを北上し、ダンテ駅を過ぎて脇道に入った先にあります。
店に入ると、どうやら「ブッフェスタイル」は結構前に止めたらしく、今は普通の注文式レストランになっていました。当てが外れましたが、他の店を探すのも面倒だし、店のスタッフもフレンドリーでいい感じなので、ここでランチを食べることにしました。
たくさんのメニューがありますが、店主のこだわりなのか、地元産の野菜をたくさん使った健康的な料理が多いです。
私たちは2品頼みました。まずはこちら、ミートボールと夏野菜のグリル、ピクルス風の野菜をご飯の上に乗せたものです。
味は普通においしかったです。特にカポナータ風の焼き野菜が絶品で、ミートボールもジューシーでした。
2品目はこちらのプレートです。
説明が難しいですが、エビ、タコ、カニの身、マグロのスモークを野菜と一緒にマリネしたような料理です。一つ一つの素材は上等で、使われているバルサミコやオリーブオイルも質が良く、大変美味でした。
伝統的なナポリ料理かと言われると違うと思いますが、新鮮なシーフードを多用したり、色とりどりの夏野菜の素材を活かした調理だったり、ナポリらしさは随所に感じることができました。料理と一緒に頂いたビールやハウスワインもおいしかったです。
結果として、こちらの店でランチを食べて満足でした。
ランチの後は、最寄りのダンテ駅から地下鉄に乗り、午後3時前にグランディオーサに戻りました。
最後の午後もプール満喫
チョコレート屋でプレゼント購入
船に戻った後は、6階のジャン・フィリップのチョコレート屋に立ち寄りました。ここに来た理由は…
アウレア専用レストランで毎日私たちのテーブルを担当してくれたMarelさんという方が、とても気が利いて私たち家族に良くしてくれたので、最後のディナーにささやかなお礼として何か渡そうと思い、プレゼントになりそうなものを探しに来ました。
実際に購入したのは上の船型のチョコではなく、大人向けのシックなものです。
なお、ここにはチョコレートで作った面白いオブジェが飾ってありますが、潜水艦のようなものもありました。かなりリアルです。
アクアパークで遊ぶ
最後の午後は、息子が大好きな19階のアクアパークで終了時間の午後5時まで遊び倒しました。
アクアパークの詳細については乗船記の2回目で詳しく触れていますが、息子はここのアクアパークが大好きで、特にウォーターガンと小型スライダーがお気に入りでした。
息子曰く「楽しすぎるからまた絶対来たい!」とのことですが、親としてはMSC以外のクルーズにも乗りたかったりします。
下船案内・荷物タグが来ていない
午後6時ごろに部屋に戻ると、明日の朝に下船だというのに、いまだに下船の案内と下船用荷物タグが来ていません。通常のクルーズだと下船日の前々日夜か、おそくとも前日の夕方までには案内が来るはずです。
レセプションに電話して聞いてみると、「今日の夜7時半以降に下船案内を届けるようにする」とのことでした。私たちの部屋について忘れている訳ではなく、明日下船の乗客に対してみんな同じ対応をしているようでした。
下船前夜は日付が変わるまでに大きな荷物を部屋の外に出しておかなきゃいけないのに、あまりにギリギリすぎじゃないですかね…。この時点では明日何時に下船かも分かりませんでしたが、とりあえず荷造りだけを先に進めておきました。
最後のディナー&ショー
プレゼント&お返しに鶴の折り紙
最後の晩餐は、いつもどおりアウレア専用レストランに午後7時半頃に行きました。この日のメニューは以下のとおりです。
注文を終え、用意してきたプレゼントを息子からMarelさんに渡すと、少し照れていましたが、喜んでくれてよかったです。
しばらくしてMarelさんが最初の飲み物を持ってくるときに、お返しとしてこのような鶴の折り紙を息子に作ってくれました。
尾の部分を引っ張ると、羽が上下に動くようになっています。息子は恥ずかしそうに「Thank you very much」と返して、とても嬉しそうです。
そういえば日本でベリッシマに乗船した時も、レストランで顔なじみになったインドネシア出身のスタッフが、同じような鶴の折り紙を息子にプレゼントしてくれたのを思い出しました。
今日もおいしい食事に満足
前菜メニューには大好きなムール貝があったので、当然選びました。
ベリッシマにもありましたが、大きめのムール貝がゴロゴロ入っていて満足です。
メインに頂いたのは、豚フィレ肉のバルサミコ・デミグラスソースがけです。
こちらも肉が思ったよりも大きく食べ応えがあり、やさしい酸味のあるソースが美味でした。
妻がメインに食べたのは、白身魚のチャウダースタイル。
シェアしてもらいましたが、チャウダーはしっかりしたアサリの旨味があり、魚も香ばしくソテーされていておいしかったです。
デザートはダークチェリーのクラフティを頂きました。甘すぎず、しっとりした食感が好印象でした。
この日のディナーも満足でした。改めて調理スタッフとレストランのサービススタッフに感謝です。
スペイン語歌謡曲中心のショー
ディナーの後は、予約していたショーを観るためにシアターに向かいました。
ショーのタイトルは「Rock Nation」。「定番のロックナンバーで盛り上がろう」みたいな案内書きだったので、始まる前は期待していました。蓋を開けてみると、演奏された曲の大半はスペイン語圏とイタリアの定番曲(?)のようで、観客の多くは盛り上がっていましたが、私たちにとっては知らない曲ばかりでした。
唯一知っていたのはボン・ジョヴィの「Livin’ on a Prayer」だけでしたが、それでも懐かしい曲が聞けて嬉しかったです。
午後10時頃に部屋に戻ると、ようやく下船手続きの案内が来ていました。
大きなスーツケースは前夜のうちに部屋の前に出しておく必要があるので、眠い目をこすって荷物をまとめ、日付が変わる頃に眠りにつきました。
リヴォルノ港でスムーズな下船
手荷物預かりは大助かり
いよいよ下船日の朝がやってきました。船は朝7時半にリヴォルノ港に入港。7泊8日の楽しかったクルーズも、あっという間に終わりを迎えました。
私たちはアウレアの部屋なので、優先的に初回の9時から下船開始というグループです。ただし、部屋は8時までに明け渡さなければいけないので、急いで身支度を整えて、時間ギリギリに一週間お世話になった部屋を後にしました。
朝食は15階のブッフェで食べても良かったのですが、小型のキャリーケースを引いて大混雑のブッフェに行くのは避けたかったので、5階のレストランに行くことにしました。一週間のクルーズ中、朝食は毎日ブッフェで食べていたので、レストランで朝ごはんを食べるのはこれが最初で最後です。
レストランに向かう途中、少しでも身軽にするために、6階に設けられた下船客用の手荷物預り所でキャリーケースを預かってもらいました。
荷物を預けると、このような番号札を渡されます。番号札は、荷物をピックアップする際に引き換えとなります。
このサービスはとても優れていると思いました。日本でベリッシマに乗船した時は無かったと思うので、今回のクルーズで良かった点の一つです。
8時過ぎにレストランに着くと、すぐに席に案内してもらえました。私はオムレツとソーセージ、ベーコン、付け合わせにハッシュドポテトとマッシュルームを頂きました。どれもおいしかったですが、同じものはブッフェでも食べられますね。
妻はエッグベネディクトを食べていました。これはブッフェにはないので、レストランで朝食を食べる利点の一つ
と言えそうです。
朝食を終えると9時ちょうどだったので、6階で預けていた手荷物をピックアップしてから、私たちの下船グループの集合場所に行き、待つこともなくスムーズに下船しました。
一泊二日の長距離ドライブで帰宅
下船時のターミナルは、一週間前に乗船した時とは違う場所でしたが、私たちが駐車サービスで預けていた車もこちらのターミナルに移動してくれていたようで(車のキーを預けてあります)、ターミナルから出てすぐ目の前が駐車場でした。ラッキーです。
車のトランクに荷物を積み込み、再びドイツのデュッセルドルフまで、約1,200kmの長距離ドライブの始まりです。途中スイスのバーゼルで一泊し、2日間かけてデュッセルドルフまで戻ります。
日本で横浜発着のクルーズに乗船する時は、横浜港で下船してから自宅まで一時間以内なので、下船=旅の終わりですぐ現実に引き戻されますが、今回は私たちの旅はまだ少し続きます。
今回のクルーズのために敢行した、デュッセルドルフからリヴォルノまで往復2,500kmのヨーロッパ縦断長距離ドライブについては、別の記事をアップする予定です。
最後まで乗船記を読んで頂きありがとうございました。
一連の乗船記で紹介したMSCグランディオーサとほぼ同型の「MSCベリッシマ」は、日本路線で多数のクルーズを運航しています。2024年秋~冬にかけても沖縄を含む多数のコースが設定されており、最安料金では3万円台から販売されているようですので、ぜひ検討してはいかがでしょうか。
\ 最安3万円台から /
船会社を問わず地中海クルーズに興味のある方は、日本からの航空券付きのツアーを手配するのがおすすめです。コースによっては、日本人添乗員が同行してくれる場合もあります。
\ 憧れの地中海・エーゲ海 /
当ブログでは、以下のとおりクルーズ関係の記事が多数ありますので、ぜひ併せてご覧ください。
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