ミュンヘンを代表する観光スポット、バイエルン王家の「レジデンツ」を2024年11月に見学したので、最新の観光情報と見どころを紹介します。
レジデンツはとても広大で見どころも多いので、見学に最低でも2時間はかかるものとして予定を立てた方が良いと思います。
レジテンツについて
基本情報
レジテンツは、かつてミュンヘンを支配していたバイエルン王国の君主・ヴィッテルスバッハ家の宮殿・邸宅群です。
元々は14世紀終わりごろに城として建築された建物が、20世紀前半に至るまで歴代の君主たちによって増改築を繰り返しながら、ドイツを代表する荘厳で豪華絢爛な宮殿として拡大し、邸宅として使用されてきました。
レジデンツでは5世紀以上の長きにわたる増改築の歴史から、多様な建築様式が併存しています。具体的には建物の増改築が行われた年代に流行していたルネッサンス(14世紀~16世紀)、バロック(16世紀~18世紀初め)、ロココ(18世紀)、新古典主義(18世紀後半~19世紀)の各様式の特徴が見られる、ユニークな建築物です。
宮殿の建物は1920年から一般に公開されており(バイエルン王朝は1918年に滅亡)、約130の部屋を持つ広大な宮殿を見学することができます。
- 施設名称:ミュンヘン・レジデンツ(Münchner Residenz)
- 住所:Residenzstraße 1, 80333 München
- 公式HP:https://www.residenz-muenchen.de/index.htm
- 開館時間:
- レジテンツ博物館&宝物館: 9:00~18:00(4/1~10/19)、10:00~17:00(10/20~3/31)クリスマス、年末年始以外無休 *最終入場は閉館の一時間前まで
- 劇場:公式HP参照
- 入場料(2024年11月時点)
- レジテンツ博物館のみのチケット: 大人10€、18歳未満無料。
- レジテンツ博物館&宝物館のセットは大人15€。これに劇場も加えたセットは大人20€。18歳未満無料。
行き方
レジテンツには、ミュンヘン中央駅(München Hbf)から地下鉄UバーンのU4/U5で約10分、または路面電車(トラム)の19番に乗って約15分で行くことができます。
主な見どころ
宮殿は複数のエリアに分かれており、観光客が見学できるのは(1)レジデンツ博物館、(2)宝物館、(3)キュビリエ劇場の3つです。
このうち、いわゆる「バイエルン王家の豪華な宮殿」を見学できるメイン施設は(1)のレジデンツ博物館です。なお、レジデンツ博物館だけでも100を超える部屋がある超大ボリュームの施設ですが、この記事ではレジデンツ博物館の主要な見どころに絞って紹介していきます。
必ず音声ガイドを入手しよう
レジデンツ博物館の入場券を購入後、チケットオフィスを背にして少し戻って左側に音声ガイドの貸し出しコーナーがあるので、必ず音声ガイドを借りるようにしましょう。ガイドがあると無しとでは、展示内容の理解度が全く違ってきます。
レジデンツの全体図は以下のとおりで、赤い丸で囲ってある場所がチケットオフィス、青い丸が音声ガイドの貸し出し場所です。
なお、音声ガイドは日本語音声に対応しています。係の人が「Are you Japanese?」とか聞いてくるので、Yesと言って日本語に設定してもらいましょう。
祖先画ギャラリー
レジデンツ博物館の入口を進んですぐ現れるのは、ヴィッテルスバッハ家の歴代当主などの肖像画が飾られた祖先画ギャラリー(Ancestral Gallery)です。
このギャラリーと絵画は、神聖ローマ皇帝としても戴冠したバイエルン選帝侯・カール7世(カール・アルブレヒト)が1720年代に造らせたもので、計100枚以上の肖像画が飾られています。
部屋の全体的なデザインは植物をモチーフにした金細工を多用するなど、当時流行していたロココ様式の典型と言えそうです。
美しい陶器などの調度品も飾られています。
岩屋の中庭
順路を進むと、小さな中庭に出ます。ここはGrotto Courtyardと呼ばれる場所で、貝殻の装飾をふんだんに使った建築が特徴です。16世紀後半に造られたもので、どことなくヒンズー教寺院のような雰囲気も感じます。
ギリシャ神話の英雄ペルセウスの金像があり、
その下には岩屋のような造りの噴水があります。
アンティクヴァリウム
さらに進むと、レジテンツで最大かつ最古の広間であるアンティクヴァリウム(Antiquarium)に出ます。とても広い空間です。
全長66メートルの長さがあるこちらの広間は、バイエルン公アルブレヒト5世が16世紀後半に造らせたもので、アルプス以北にあるルネッサンス様式の広間としては最大かつ最も豪華なものとされています。ここでは宴やパーティーが催されていたようです。
天井とアーチ状の柱には、余すところなく絵画が描かれています。絵画は基本的に聖書の中のエピソードを題材にしています。
王女の部屋
こちらの部屋は、元々は16世紀に来客用として造られた後、19世紀前半にバイエルン王マクシミリアン1世の三女カロリーネ・アウグステのための部屋として改装されたものです。部屋の中央には豪華な装飾のベッドがあります。
王女が使用していた部屋ということで、調度品や絵画にも女性らしい雰囲気を感じます。
音楽の部屋
王女の部屋の隣には、音楽の部屋(Music Room)があります。こちらも王女カロリーネが主に使用していたと言われています。
縦型のチェンバロ(?)のような楽器もありました。
謁見の間
こちらは歴代のバイエルン選帝侯が、外交使節など要人と面会するために使っていた謁見の間(Audience Room)です。きらびやかな金細工が天井まで施されたロココ様式のつくりです。
選帝侯は赤いベルベットの豪華なイスに座り、訪問者は一段下のところで立ったまま面会が行われていたようです。
こちらは謁見の間の隣にある、訪問者の待合室です。
このような豪華な装飾の部屋が2つあり、訪問者は正式なプロトコールとして、必ずこれらの部屋を通ってから謁見の間に向かいました。選帝侯の権威を強調するため、あえてそのようなプロセスにしていたと言われています。
緑のギャラリー
謁見の間の奥には、緑のギャラリー(Green Gallery)と呼ばれる宴会場があります。上で紹介したカール7世が1730年代に造らせたもので、緑色の壁はダマスク織の絹が貼られたものです。
この部屋は宴会場であると同時に、展示ギャラリーでもありました。合計70以上の絵画は3段に配置され、左右対称となるよう緻密に配列されています。また、左右に向かい合う絵画はそれぞれ同じテーマで揃えられています。
絵画が無いところには大きな鏡が配置され、たくさんの絵画を映し出しています。また、アーチ状の窓は宮殿の中庭に面しています。
この部屋に飾られている調度品や装飾は、華美な宮廷文化の本場であるパリから取り寄せたものが多いとのことです。
ベッドルーム
続いては、選帝侯のベッドルーム(State Bedroom)です。
いかにも「王様のベッド」といった感じの豪華さですが、この部屋は実際の寝室として使われていたわけではなく、展示目的で造られたものです。当時のお隣フランスの王宮では、王様が家臣のいる前で寝起きをしていたことから、それに倣って「公のベッドルーム」としてこしらえたようです。
なお、調度品やベッドの素材などはパリから取り寄せたとのことです。
ミニチュアの小部屋
ベッドルームに隣には、かわいらしいサイズの小部屋(Cabinet of Miniatures) があります。
赤色の壁には絵葉書のようなサイズの絵が約130枚飾られており、それらはヴィッテルスバッハ家が所有していた16世紀~18世紀の作品です。
物書きをするための机も、ミニサイズながら豪華絢爛です。
ホーフガルテン(庭園)でひと息
ミュンヘン・レジテンツの北側には、宮殿に付属する庭園があります。
オデオン広場から東に進むと宮殿のテラスがあり…
その向かい側にホーフガルテン(庭園)があります。
この庭園は17世紀前半から建設が始まったもので、中心にはルネッサンス様式の円形の東屋があります。
庭園は市民の憩いの場として開放されており、和やかな雰囲気です。ベンチもたくさんあるので、レジテンツ見学後にここでひと息つくのもおすすめです。
まとめ
この記事では、バイエルン王家の宮殿ミュンヘン・レジテンツの2024年11月時点の観光情報と、主な見どころをご紹介しました。
レジテンツはその広大な規模もさることながら、贅を尽くした華麗な装飾は圧巻であり、見学していて思わずため息が漏れるほどでした。
レジテンツを訪れる少し前にはポツダムにある「サンスーシ宮殿」を見学したのですが、こちらは宮殿の主(プロイセン王フリードリヒ2世)が過大な贅沢を好まなかったこともあり、こじんまりとした宮殿だったのとは対照的でした。同じドイツの宮殿でも大きな違いがあり、興味深かったです。
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