MSCベリッシマの姉妹船である「グランディオーサ」の真夏の地中海クルーズに、親子3人で乗船した際のレビュー記事第6回目です。
今回はクルーズ6日目に寄港したイタリアのシチリア島・パレルモで訪れた、豪華絢爛・異文化融合のパラティーナ礼拝堂とノルマンニ宮殿の観光情報と共に、ランチに食べた絶品シーフード料理についてもご紹介します。
前回までの記事は以下をご覧ください。
パレルモ入港~周遊トレインバスで観光
この日の予定
この日は7月19日でクルーズ6日目、シチリア島のパレルモに寄港です。公式スケジュールでは午前8時に入港、午後6時出港となっています。
私たちを乗せたグランディオーサは午前7時半過ぎにパレルモのクルーズターミナルに着岸。バルコニーから見えるターミナルは、意外とキレイで新しそうです。
私たちのこの日の予定は、豪華絢爛なモザイクで有名なパラティーナ礼拝堂とノルマンニ宮殿を見学した後、旧市街を散策し、ランチにおいしいシチリア料理を食べて船に帰るというものです。
パレルモは比較的コンパクトな街で、クルーズターミナルも市街地から近いので徒歩だけで回れないこともないですが、朝の時点ではタクシーかバスで移動しようと考えていました。ちなみにクルーズターミナルと主な観光地の位置関係は次のとおりです。
中東のような喧騒と混沌
クルーズターミナルを出ると、すぐにタクシーや1日ツアーの客引きが何人も群がって来ました。このノリはもはやヨーロッパではなく、中東や東南アジアを思わせます。
ターミナルから、タクシーやバス乗り場がある最寄りの街道まで徒歩で移動しましたが、目に入る車はひどく汚れてて傷があるものが多く、道路上ではクラクションがひっきりなしに鳴っています。
また、道端では男たちが大声で何かの言い合いをしており、まるでアラブ世界のような喧騒と混沌です。
それもそのはず、パレルモを含むシチリア島は昔から多くの異なる文化・宗教の影響を受けており、ギリシャやカルタゴ、ローマ、アラブ、ノルマン、フランス、スペインなど歴史上何度も支配者が入れ替わってきました。そのため、現在はイタリアの一部としてヨーロッパの社会システムをベースとしつつも、どことなくアラブや北アフリカのような空気も感じます。
トレインバスチケットを購入
客引きの中に、市内周遊トレインバスのチケットを売っている女性がいたので詳細を聞いてみると、私たちが訪れる予定のパラティーナ礼拝堂や旧市街のレストラン近くを通るようです。値段は大人一人10€、子供一人5€でタクシー往復より安く済むし、かわいいデザインの車両で息子が乗りたがっていたので、チケットを購入することにしました。
トレインバスの見た目はこんな感じです。
観光地によくあるHop-on/Hop-offバスと同じように、複数あるバス停で乗り降り自由で、バスは15分~20分に一度の間隔で走っています。クルーズターミナルから最寄りの街道に出てすぐの所にもバス停があり、クルーズ客にとって便利です。
なお、パレルモには複数のトレインバス運行会社があり、自分がチケットを購入した会社のバスにしか乗れないので注意が必要です。私たちが現地で見たところ少なくとも3社はあり、とても紛らわしいので注意が必要です。
パレルモでは、もちろん普通のHop-on/Hop-off周遊バスも走っていました。トレインバスの乗り心地は正直言って良く無いので、子供を喜ばせるという目的が無ければ、普通の周遊バスの方が良いかもしれません。
パラティーナ礼拝堂とノルマンニ宮殿を見学
唯一無二の多文化融合建築
トレインバスは排気ガスとホコリが舞う旧市街を30分ほど走り、ノルマンニ宮殿近くの停車場に到着。そこから数分歩いて宮殿の入口・チケット売り場に向かいました。
ノルマンニ宮殿は、元々アラブ統治時代の城塞があった場所に、12世紀に当時シチリアを支配していたノルマン王のルッジェーロ2世が自身の宮殿として建造させたと言われています。
また、ノルマンニ宮殿の中にあるパラティーナ礼拝堂も、同じ時期にルッジェーロ2世の命令によって造られたとされています。
宮殿はその後シチリアの支配者が入れ替わる度に何度も増改築を経て、現在の姿になったようですが、特徴としてはノルマン、アラブ、ビザンティンの建築様式が見事に融合・調和している点だと言われています。多文化・多民族の歴史を持つシチリアの象徴のような存在ですね。
なお、ノルマンニ宮殿は現在もシチリア州議会の議事堂として使用されており、2015年には世界文化遺産にも登録されています。
パラティーナ礼拝堂 圧倒的な豪華絢爛さ
ノルマンニ宮殿の入口を抜けてすぐに階段があり、2階にあがるとパラティーナ礼拝堂があります。
中に足を踏み入れると、視界に入るものほぼ全てに複雑かつ豪華な装飾が施されていることに驚きます。壁という壁、祭壇という祭壇が金をベースに施されたモザイクで輝いています。
壁一面のモザイクは、旧約聖書と新約聖書の中の様々な場面(天地創造、キリストの生涯など)や重要な登場人物を描いています。
隅々まで、信じがたいほど精緻な装飾がなされています。
ビザンティン様式の特徴であるドームもあり、内側には8体の天使に囲まれたキリストが描かれています。
サイドのアーチと柱は、イスラムとビザンティン様式を取り入れた造り・デザインとのことです。この礼拝堂と宮殿を造らせたルッジェーロ2世が、多宗教・多文化に寛容だったと言われていることが関係しているのでしょうか。
パラティーナ礼拝堂には壁だけでなく、天井にも際立った特徴があります。「ムカルナス(Mugarnas)」と呼ばれる、立体的な木製の幾何学装飾が天井一面に施されています。
信じがたいことに、一つ一つの木製パーツはほんの数センチで、それを無数に組み合わせて様々な幾何学模様を作っているとのことです。
星形の幾何学装飾がたくさんありますが、4つの星に囲まれたエリアは十字架を表しているようです。
いやはや、パラティーナ礼拝堂の装飾の豪華さ、精緻さとスケールには度肝を抜かれました。
ヨーロッパを旅行していると、観光地には必ず教会や礼拝堂があり、大体同じに見えて飽きてくるのですが、この礼拝堂は本当に別格です。パレルモ周辺を旅行する機会があれば、ぜひ訪れることをおすすめします。
ノルマンニ宮殿 現役の議事堂と王の間
パラティーナ礼拝堂を出て宮殿の3階に上がると、今もシチリア州議会の議事堂として使われている「ヘラクレスの間」があります。
天井には、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスについて描かれた絵画があります。
議事堂を出てさらに進むと、宮殿には複数の部屋があります。レッジェーロ王の間、副王の間、中国の間、ポンペイの間などがあり、それぞれの部屋には素晴らしい装飾と家具が展示されています。
なお、ノルマンニ宮殿3階は、シチリア州議会が開かれている毎週火~木曜日は入場できませんので、ご注意ください(2階のパラティーナ礼拝堂は入場可)。また、日曜日と祝日は午後12時半で終了とのことなのでご留意ください。
パレルモ旧市街を歩く
ノルマンニ宮殿とパラティーナ礼拝堂の見学を終えた後は、宮殿前の庭園を軽く散策しました。緑が多く、良く手入れされています。このような不思議な形のサボテン(?)もありました。
南国っぽい木もたくさん生えています。
周囲の道路には、観光客目当てのトゥクトゥクもいました。完全に東南アジアですね。
色の組み合わせはイタリアらしく、やたらカッコいいです。
喉が渇いたので、生絞りジュースのスタンドでオレンジとレモンのジュースを買いました。
フレッシュでおいしかったです。旧市街で似たようなスタンドがいくつか出ていますが、値段を明記していない所ではふっかけてくることもあるので注意が必要です。基本的に1€が相場だと思われます。
ジュースを飲みながら、シチリア料理のランチを食べるために旧市街の大通りを東の方へ歩いていきました。
途中でパレルモ大聖堂がありましたが、今回は時間がないのでパスです。
シチリアはイタリアの中でも治安が悪くてスリが多いと聞きますが、お巡りさんがパトロールしてました。
イタリアはパトカーもかっこいいですね。アルファロメオのトナーレ(?)でしょうか。
大通り沿いにはたくさんのお店があり、シチリアらしいレモンを使った商品が目を引きます。
途中、このような広場がいくつかありました。イタリアって本当に「絵」になる街並みが多くて、私は好きです。
地元の人気レストランでシチリアの極旨シーフードを堪能
30度を超える猛暑のなか旧市街を15分以上歩き、ようやくお目当ての店「Trattoria Al Ferro di Cavallo」にたどり着きました。
家族経営で人気の地元レストランということで、評判も良いので来てみました。テラス席について、まずはイタリアのビールで喉を潤します。
ちなみにこのレストランは紙製のテーブルクロスにメニューが印刷してあり、とてもユニークです。
前菜は二品注文しました。一品目はイワシの団子をトマトソースで煮込んだ、パレルモの名物料理です。
イワシの旨味が凝縮されていて、トマトソースとの相性はもちろん抜群、少し入っているレーズンがアクセントになってとてもおいしかったです。
前菜二品目は大きなエビのグリルです。
塩を振ったエビをグリルしてハーブとレモンをかけて頂くというシンプルなものですが、その分素材の良さが際立ちます。カリカリにグリルしてあるので、頭まで食べられます。身も甘みがあって最高に美味でした。
続いて、メインのイカ墨パスタがやってきました。
こちらもアツアツの太めのスパゲッティに濃厚なイカ墨ソースが絡み、口に含むとイカの旨味とガーリックの風味が広がります。イカの身も柔らかく、思わずため息がでるような逸品でした。
最後の一皿は、まるごとのイカの身にマグロ、イカのワタ、玉ねぎ、香草、オリーブなどの詰め物をした料理です(名前は忘れました)。
ものすごく手間がかかってそうです。発想としては日本のイカめしに似ていますね。日本以外でこういう調理をするイカ料理があるとは知りませんでした。
中身はこのようになっています。
この料理は本当に素晴らしかったです。詰め物はイカとマグロ、香味野菜の旨味が混然一体となっており、肉厚なイカの身は香ばしくも柔らかく、全てが高次元でまとまったおいしさです。ゲソの部分も旨味がぎゅっと凝縮されていました。白ワインが進みすぎて困ってしまいます。
これだけ料理を食べて瓶ビール2本、グラスワイン2杯、ミネラルウォーター1本とジュース一杯を加えて、60€以下だったと思います。ごちそうさまでした。
食後は最寄りのトレインバス乗り場で乗車し、午後3時ごろにグランディオーサに戻りました。
この日はとにかく暑かったので、船に戻ってから6階のジェラート屋でアイスを食べました。
種類が豊富でおいしく、値段も1カップ3€位から注文できるので、おすすめです。
地中海ナイトのディナー
この日は大満足のランチをたくさん食べたので、ディナーは少し遅めの午後8時ごろから頂きました。メニューは下記のとおりで、Mediterranean Night(地中海ナイト)と銘打っているとおり、地中海風のシーフードメニューが多かったです。
私が前菜に注文したのは、イカとエビのフライです。
さすがにランチで食べた絶品シーフードと比べてはいけませんが、これはこれで充分美味しかったです。付け合わせのかぼちゃのフライが地味に美味でした。
メインは「地中海風シーフードグリル」で、具体的にはエビ、イカ、メカジキのグリルの盛り合わせです。
前菜と似たメニューですし、何ならランチで食べたものとも同じ路線ですが、そんなことは気にしません。せっかくシチリアに来たので、飽きるまでシーフードを食べ続けます。ちなみに味はとても良かったです。特にメカジキが意外なほどコクがあり、肉厚のイカも柔らかくて満足です。
こちらは妻がメインで頼んだシーフードパエリア。
少し貰いましたが、たくさんの貝類やイカが入っていて、それらの旨味がご飯に溶け込んでいて大変美味でした。
デザートには夫婦揃ってティラミスを頂きました。甘すぎず、カカオの風味が良かったです。
シアターショーに感激
ディナーの後は、予約していたシアターショー「Live from MSC Grandiosa」を見にいきました。
通常のクルーズでは、コースの最終夜に最も豪華で総合的なショーが行われることが多いですが、今回私たちが乗船したグランディオーサの地中海クルーズは、航路上の6つの港のうち5カ所のどこからでも乗船可能(7泊8日後に元の港で下船)というものなので、人によって最終夜は異なります。
ただし、スペインのバルセロナとイタリアのナポリから乗船してくる客が圧倒的に多いため、それぞれの港に入港する前日が最終夜となる乗客が多くなります。そのため、コース上バルセロナの一つ前であるマルセイユ出港日の夜と、ナポリの一つ前であるパレルモ出港日の夜に、それぞれ豪華かつ総合的なショーが行われていました。
本当はマルセイユ出港日に行われていたショー「Bon Voyage」も観たかったのですが、満席で予約が取れませんでした。代わりに、パレルモ出港日であるこの日に総合ショー「Live From MSC Grandiosa」を予約できたので、家族全員楽しみにしていました。
ショーの内容は、歌、劇、ダンスと映像を巧みに組み合わせたもので、それぞれの演者のレベルも高く、大満足でした。
ショーの終盤では「We are the World」が演奏されましたが、会場ではペンライトの代わりに、観客の多くがスマホの懐中電灯機能を使って左右に揺らしていたのが印象的でした。
また、この手の総合ショーでよくあるように、ショーの終わりに船の各部署から主要スタッフが登壇して観客に挨拶し、会場からは盛大な拍手が送られるという場面もありました。
私たちにとってクルーズはまだ一日残っていますが、下船前に感動的なショーが見られて良かったです。
まとめ
この記事では、MSCグランディオーサの地中海クルーズ6日目に寄港したイタリア・シチリア島のパレルモで訪れた、パラティーナ礼拝堂やノルマンニ宮殿などの観光情報をお伝えすると共に、絶品シーフードが味わえる地元レストランでの食事についてもご紹介しました。
次回はクルーズ7日目、最後の寄港地であるイタリアのナポリで訪れた、国立考古学博物館の美しい彫像の数々や、おしゃれな店が立ち並ぶトレド通りなどの観光情報を中心にご紹介します。
なお、オーシャニアクルーズ・リビエラの地中海クルーズでシチリアのタオルミーナを訪れた時の記事もありますので、併せてご覧ください。
今回の乗船記で紹介しているMSCグランディオーサとほぼ同型の「MSCベリッシマ」は、日本路線で多数のクルーズを運航しています。2024年秋~冬にかけても沖縄を含む多数のコースが設定されており、最安料金では3万円台から販売されているようですので、ぜひ検討してはいかがでしょうか。
\ 最安3万円台から /
船会社を問わず地中海クルーズに興味のある方は、日本からの航空券付きのツアーを手配するのがおすすめです。コースによっては、日本人添乗員が同行してくれる場合もあります。
\ 憧れの地中海・エーゲ海 /
当ブログでは、以下のとおりクルーズ関係の記事が多数ありますので、ぜひ併せてご覧ください。
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